2025年8月15日
労務・人事ニュース
年金積立金の2023年度収益は45兆円超、運用利回り22.67%
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商業施設の常駐警備
最終更新: 2025年8月14日 11:33
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介護職員福岡市城南区/福岡県/福岡市営地下鉄七隈線/別府駅
最終更新: 2025年8月14日 02:02
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外資系保険業界でのITヘルプデスク業務/駅近/即日勤務可/賞与あり
最終更新: 2025年8月14日 09:36
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介護職員/福岡県/福岡市東区JR香椎線/土井駅
最終更新: 2025年8月14日 02:02
令和7年版厚生労働白書 第2部 第4章 若者も高齢者も安心できる年金制度の確立(厚労省)
この記事の概要
令和7年版厚生労働白書によると、2025年度の公的年金制度は、現役世代の保険料で高齢者世代を支える賦課方式を維持しつつ、経済や人口動態の変化に対応する形で制度の持続性が検証・強化されています。年金給付の調整、積立金の運用、制度改正案など、多角的なアプローチにより、老後の所得保障機能を安定的に確保しようとする取り組みが進められています。
年金制度は、多様化する社会の中で将来の不安を和らげるための重要な社会保障制度として運営されています。現行の制度では、現役世代の保険料を財源として高齢世代に年金を支給する賦課方式が採用されており、これは世代間の連帯を基礎に据えた仕組みです。年金の支給額は、賃金や物価の変動を考慮して調整されることで、実質的な購買力を確保し、生涯にわたり安定した収入を保障する制度設計となっています。
令和5年度末時点での年金被保険者は全国で約6,745万人に達し、全人口のおよそ半数を占めています。その内訳は、サラリーマンや公務員を中心とした第2号被保険者が約4,672万人、自営業者や学生などの第1号被保険者が約1,387万人、そして第2号被保険者の配偶者である第3号被保険者が約686万人です。近年の傾向として、第2号被保険者は増加している一方、第1号および第3号被保険者は減少しており、これは被用者保険の適用拡大や高齢者の就業促進といった政策の影響によるものとされています。
年金受給者は全国で約3,978万人にのぼり、高齢世帯の収入の約6割を年金が占めています。このように年金制度は、老後の経済的基盤を支える柱となっており、その持続可能性が強く求められています。これを受け、2004年には年金財政の安定運営を目的に、保険料の上限設定や積立金の計画的活用、マクロ経済スライドといった仕組みが導入されました。このスライド制度により、名目上の年金額を維持しつつ、実質的な給付額を物価や賃金の伸びに合わせて調整しています。
2025年度の年金額は、厚生年金モデル世帯で月額232,784円、国民年金の満額は69,308円とされています。また、年金額は毎年見直され、2025年度は名目賃金変動率2.3%に対して、マクロ経済スライドの調整率0.4%を差し引いた結果、1.9%のプラス改定となりました。
財政検証についても定期的に行われており、2024年には4つの経済シナリオを用いた財政見通しが発表されました。この検証では、女性や高齢者の労働参加が進んでいること、年金積立金の運用が好調であったことにより、多くのケースで将来的に所得代替率50%を維持できる見通しが示されました。特に若年層においては、厚生年金加入期間の延伸によって年金額が増えることが期待されています。
さらに、制度改革の一環として、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金の見直し、遺族年金の制度改善、標準報酬月額の上限引上げといった内容を盛り込んだ改正法案が提出されています。これにより、多様な働き方や家族構成に対応した年金制度の構築が目指されています。例えば、短時間労働者への保険適用拡大では、「106万円の壁」を意識した賃金要件の見直しや、企業規模にかかわらず適用を拡大する方針が示されています。
年金積立金の運用面でも、厚生労働大臣が策定する中期目標に基づき、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が管理を行っています。2023年度の運用実績は、収益率22.67%、収益額45兆円以上、資産総額約246兆円に達し、長期的な実質利回りは4.33%と、目標値を上回る好成績を残しています。これにより、今後の年金財政の安定に対する期待も高まっています。
また、公的年金に上乗せして老後の所得を補う企業年金や個人年金の制度改正も進められており、2024年12月からは拠出限度額の見直しや加入年齢の引き上げが実施されます。特にiDeCoや企業型DCについては、拠出限度額の増加が予定されており、これにより多様なライフスタイルに応じた資産形成が後押しされることが期待されています。
国際的な取り組みとしては、二重加入の防止や保険加入期間の通算を可能とする社会保障協定の締結も進められており、2025年4月時点で23か国と協定を発効させています。これにより、海外で働く日本人にとってもより公平で安心な年金制度が整備されつつあります。
制度運営の信頼性向上のためには、日本年金機構による正確かつ丁寧な業務運営が欠かせません。適用促進や保険料の納付対策、給付の申請漏れ防止、相談体制の強化など、多岐にわたる取組みが進められています。2023年度には国民年金保険料の最終納付率が83.1%に達し、11年連続で上昇するなど、成果が着実に表れています。
この記事の要点
- 2025年度の年金受給者は3,978万人で高齢世帯の収入の6割が年金
- 国民年金の満額は69,308円、厚生年金モデル世帯は232,784円
- 年金額は名目賃金変動率2.3%にマクロ経済スライド0.4%を加味して1.9%増加
- 被保険者総数は6,745万人でうち第2号が4,672万人と7割弱を占める
- 被用者保険の適用拡大や企業規模要件の撤廃などを盛り込んだ改正法案を国会提出
- 年金積立金の運用実績は2023年度に45兆円以上の収益で過去最高
- iDeCoの加入限度額を第2号被保険者で月6.2万円に引き上げる方針
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ