2025年5月20日
労務・人事ニュース
建設受注総額126兆円超、前年比16.6%増で業界全体が拡大基調に(令和6年度計分)
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最終更新: 2025年5月19日 22:32
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最終更新: 2025年5月20日 01:01
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最終更新: 2025年5月19日 11:01
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最終更新: 2025年5月19日 22:32
建設工事受注動態統計調査報告(令和6年度計分)(国交省)
令和6年度における建設工事の受注状況が、国土交通省の最新の調査により明らかになりました。建設業界全体の受注高は前年比で16.6%増加し、総額では約126兆6,418億円に達するという大きな成長を示しました。この結果は、コロナ禍を経た景気回復やインフラ再整備、企業の設備投資再開といった多面的な要因が重なり合った結果と考えられます。
元請と下請の受注動向をみると、元請の受注高は34兆2,999億円で前年比18.0%の増加、下請の受注高は約79兆5,273億円で前年比16.0%の増加でした。元請が取り扱う大規模工事が着実に増加している一方で、下請にもその需要が波及していることがわかります。この傾向は建設業界全体における仕事量の底上げを示すものであり、各地での建設需要の高まりが反映されています。
業種別に見ると、最も大きな割合を占めたのは総合工事業で、その受注高は約81兆9,841億円、前年比で14.6%の増加となりました。特に大型インフラや再開発案件が集中的に発注されたことが背景にあると考えられます。設備工事業は約21兆6,091億円で前年比9.7%の増加、職別工事業も約12兆8,147億円で同じく大きな伸びを記録しており、建設業界全体でバランスの取れた成長が確認できます。
発注者別では、公共機関からの発注額は34兆2,999億円、前年比18.0%の増加、民間等からの発注額は約79兆5,273億円で前年比16.0%の増加となっています。特に民間投資の回復は顕著で、不動産業からの受注は前年比6.9%増の1兆181億円、製造業からの受注は同50.2%増の5,277億円、金融業・保険業からの受注は驚異的な前年比1,205.9%増の3,571億円を記録しました。これらは、企業の設備更新や新拠点設立に向けた投資意欲の回復を如実に示しており、経済活動の再加速が建設業界に直接的なインパクトを与えていることが分かります。
工事の種類別に見ると、建築工事は前年比33.0%増の約7兆4,696億円、機械装置等工事は同13.7%増の約8,745億円となっており、建築分野の伸びが特に顕著です。住宅関連の工事は約9,022億円、事務所工事は7,028億円、工場・発電所関連は5,858億円と、それぞれ高水準で推移しています。これらの数字から、都市部や再開発エリアを中心に、商業施設や工場の新設・改築が活発に進められている実態がうかがえます。
土木工事では、総受注高が約3兆9,278億円となり、前年比6.2%の増加でした。道路工事が1兆1,445億円、治山・治水工事が6,156億円と、基盤整備分野での投資が継続されていることが確認できます。また、運輸業・郵便業の鉄道工事は2,700億円、製造業の機械装置工事は2,521億円に達し、輸送インフラや産業設備への積極的な投資が続いている状況です。
地域別にみると、北海道の建設受注高が6078億円で前年比55.3%増という際立った成長を示しました。とりわけ総合工事業では52.2%、職別工事業では実に203.7%もの増加を記録しており、地域インフラの整備や防災・復興関連事業が進展していることが想定されます。関東地域では約8兆8,668億円の受注があり、うち東京都単独で6兆8,275億円を占めるという圧倒的な存在感を示しています。都市再開発や大規模インフラ整備が集中しており、首都圏が日本の建設需要をけん引していることは明白です。
こうした建設需要の増加は、企業の採用活動にも直接的な影響を与えています。現場監督や施工管理技士、設計技術者、専門職種の技能労働者など、あらゆる階層において人材の確保が急務となっており、慢性的な人手不足が深刻化しています。特に大規模工事の現場では、資格保有者や経験者の取り合いが発生しており、企業は待遇や働きやすさの面で他社との差別化を図る必要があります。
加えて、若年層の建設業離れに対する対策も急がれており、企業としては職場の魅力を的確に伝える情報発信力が問われています。たとえば、現場でのデジタル化の進展や、安全対策の強化、ワークライフバランスを重視した勤務制度などを打ち出すことで、次世代の担い手を引き寄せる工夫が求められています。
さらに、設備工事や機械装置工事など、高度な専門性を要する分野では、OJTや資格取得支援などによる人材育成が不可欠です。受注の安定が見込まれる今だからこそ、中長期的な人材投資を行う好機であり、採用と育成を一体で進める戦略が重要性を増しています。
このように、令和6年度の建設工事受注統計は、建設業界が引き続き強い成長基調にあることを明示しており、企業の人材戦略や経営方針に多くの示唆を与える内容となっています。統計から読み取れる需要の高まりに対応するためには、いかに優秀な人材を確保し、現場力を高めていくかが、今後の企業成長を左右する重要な鍵となるでしょう。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ