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2025年8月16日

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建設業の従業者平均数が11.3人に減少、令和6年度 女性比率は19.2%に上昇

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令和6年度 建設業構造実態調査の調査結果について(国交省)


この記事の概要

令和6年度に実施された建設業構造実態調査の結果が公表され、建設業界の現状と課題が明らかになった。経常赤字企業の増加や従業者数の減少といった深刻な状況に加え、女性従業員の割合が上昇し、現場労働者の賃金形態にも変化が見られる。


令和6年度に実施された建設業構造実態調査は、5年ごとに定期的に行われている重要な統計調査であり、建設業界における産業構造の変化や課題を把握するための基礎資料として位置づけられている。今回の調査では、全国の建設業者約48万社から無作為に抽出された1万3,000社を対象に行われ、そのうち約48.1%にあたる6,252社から回答が得られた。最終的に、無効票や兼業比率の高い事業者を除外した5,664社のデータが集計の対象となった。

調査結果のなかでも特に注目すべき点は、経常損失、すなわち赤字となっている企業の割合が全体の21.8%と、令和元年度の10.2%から2倍以上に増加している点である。これは、物価高騰や人件費の上昇、資材不足などの要因が複合的に作用し、企業経営に大きな打撃を与えていることを示している。また、1社あたりの平均従業者数も13.8人から11.3人へと減少し、人材確保の難しさが顕著になっている。一方で、従業員全体に占める女性の割合は16.9%から19.2%へと上昇しており、女性の建設業参画が緩やかに進んでいる様子がうかがえる。

営業活動の面では、1社あたりの現金預金額が1億3,740万円から1億1,200万円に減少し、企業の資金繰りが厳しくなっている実態が浮き彫りになった。また、完成工事高も36.2%減の3億4,400万円となり、経済活動の低迷が顕著である。さらに、総資本経常利益率は5.6%、売上高経常利益率は5.8%と、いずれも減少傾向にある。

取引条件にも変化が見られ、工事施工後の現金受取の割合が73.5%に増加した一方で、手形での支払いは減少している。特に、90日以内の手形期間が54.8%にまで上昇しており、支払いの早期化が進んでいることがわかる。これは、下請業者への資金繰り支援を目的とした改善とみられ、業界内のキャッシュフロー改善に一定の効果をもたらしていると評価できる。

契約手続きの面では、基本契約書を交わし、注文書と請書を交換する方式が24.8%と最多であるが、工事ごとの契約書のみで対応する事例も20.3%と少なくない。このことから、契約に関する統一的なルール作りの必要性が依然として存在していることが示唆される。

さらに、現場労働者に対する賃金の支払い形態も変化しており、月払いの一定額方式が増加傾向にある。たとえば、職長では64.9%がこの方式であり、現場労働者全体でも50.3%に達している。これにより、安定した収入を得られる労働環境の整備が進んでいるといえる。また、臨時・日雇いの労働者についても月払い方式が増えており、非正規雇用者への待遇改善が一定程度進展していることがうかがえる。

今回の調査では、建設業を取り巻く環境が急激に変化していることが明らかになった。とりわけ、慢性的な人手不足や利益率の低下、資金調達の難しさなど、構造的な課題が浮き彫りとなった一方で、女性や非正規雇用者の待遇改善といったポジティブな動きも確認された。今後の政策立案においては、こうした調査結果を踏まえた現実的かつ持続可能な支援策が求められる。

この記事の要点

  • 令和6年度建設業構造実態調査は5年ごとの全国調査
  • 赤字企業の割合が21.8%に上昇し経営の厳しさが浮き彫りに
  • 平均従業者数が減少し女性比率は上昇
  • 企業の資金繰りや利益率が悪化
  • 工事代金の支払いは現金化・早期化が進む
  • 労働者への賃金支払い形態が安定化の方向へ
  • 政策立案に必要な基礎データが提供された

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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