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2025年6月21日

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建設業界の就業者原単位が令和5年度に21.7%減少、施工現場の省人化と採用戦略の見直しが急務に

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建設資材・労働力需要実態調査【建築部門】の結果について ~令和5年度の金額原単位はすべての資材及び就業者で減少~(国交省)

令和7年6月2日、国土交通省は「建設資材・労働力需要実態調査(建築部門)」の令和5年度調査結果を公表しました。この調査は昭和49年度からおよそ2年ごとに実施されており、今回で20回目を迎えます。調査の目的は、建設資材と労働力の投入量、すなわち原単位を正確に把握し、建設業界の需要構造や生産性の実態を明らかにすることにあります。企業にとっては、施工現場の効率化状況や資材・人材コストの動向を知る貴重な情報源となる調査です。

今回の調査では、令和5年度に全国で着工された約48万件の建築工事から抽出した4,878件を対象に、2,976件の回答を得て、そのうち2,162件が資材、2,484件が労働力に関する有効な標本として集計されました。その結果、請負工事費100万円あたりに投入されるすべての主要建設資材および就業者の「金額原単位」が前回調査の令和3年度と比較して減少したことが明らかになりました。たとえば、セメントは0.59トンから0.47トン、生コンクリートは1.61立方メートルから1.27立方メートル、木材は0.36立方メートルから0.28立方メートル、鋼材は0.31トンから0.26トンへと軒並み減少しています。これらの数値は、単に資材の使用量の変化を示すだけでなく、建設現場における工法の進歩や効率化、さらには資材価格の変動が労働投入量に与える影響をも反映しているといえるでしょう。

特に注目すべきは、「就業者」の金額原単位の減少です。令和3年度には6.63人日であったのに対し、令和5年度は5.19人日と、大幅な減少が見られました。これは実に21.7%もの減少率にあたります。この背景には、施工管理の自動化、機械化の進展、デジタルツールの導入などがあり、現場の生産性が向上していることが推察されます。しかし、この数字は一方で、現場で必要とされる人材の質が大きく変化してきていることも意味しています。従来の単純な作業力ではなく、ICTを活用できる技術者や、少人数でも高い生産性を維持できる多能工の需要が高まっているのです。

また、延べ床面積10㎡あたりの「面積原単位」についても同様の傾向が見られました。セメントや生コンクリート、鋼材においてはむしろ増加しているものの、就業者は18.78人日と前回の19.02人日からやや減少しています。これは構造別に見ても一定の傾向が確認されており、特に鉄筋コンクリート造(RC造)では、木材や鋼材を除いた資材の投入量が減少し、就業者数も約28%近く減ったという結果が出ています。現場における省人化が、各種構造の違いに関わらず進んでいることがうかがえます。

こうした状況は、建設業界全体における人材戦略にも大きな示唆を与えています。人材不足が叫ばれるなかで、単に人手を増やすのではなく、より少ない人数で高い成果を上げられる体制づくりが求められているのです。建設会社の採用担当者にとっては、今後の採用方針や人材育成計画を見直すうえで、この調査結果は極めて重要な指標となるでしょう。特に、若手層の技術者確保に際しては、デジタルスキルや機械操作能力を持つ人材を優先的に採用し、現場での即戦力として育成していくことが必要です。

このように、今回の調査からは、建設現場での「人と資材の使い方」が大きく変わりつつあることが浮き彫りになりました。従来のような大量動員型の建設体制は、すでに過去のものとなりつつあります。今後、企業は建設資材のコスト管理とともに、より効率的な人材配置と育成に注力していく必要があります。国土交通省の統計情報は、今後の業界全体の動向を予測するうえで信頼性の高い資料ですので、企業の採用や研修方針に活かすことができるでしょう。

以上のような調査結果は、建設業界における労働力の再定義と、スマートな施工体制への転換を加速させる一助となります。今後の人材確保と技術継承のバランスを取るためにも、企業にはデータに基づいた戦略的な人材マネジメントが求められます。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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