2025年5月3日
労務・人事ニュース
建設現場の生産性1.5倍向上へ、i-Construction 2.0で進化する人材ニーズとは
- 「夜勤のみOK」/准看護師・正看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年5月2日 22:31
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設
最終更新: 2025年5月2日 22:31
- 「土日祝休み」/准看護師・正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年5月2日 22:31
- 「駅チカ」/正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年5月2日 22:31
「i-Construction 2.0」の2025年度の取組予定をまとめました ~建設現場のオートメーション化による省人化(生産性向上)~(国交省)
国土交通省は令和7年4月18日、「i-Construction 2.0」の2025年度の取り組み予定を公表しました。この取り組みは、建設現場のオートメーション化を主軸に据え、省人化と生産性向上を目指す国家的プロジェクトです。少子高齢化による労働力不足やインフラの老朽化、災害の頻発化といった社会的課題に対応するため、国は2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、生産性を1.5倍に向上させるという明確な目標を掲げています。
この構想では「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」の3つを柱とし、AIやICTといった先進技術を建設業に導入することで、現場で働く一人ひとりの負担軽減と価値創出を同時に実現することを目的としています。2024年度には、このうちのいくつかの取り組みが試行的に実施され、実際の効果も可視化されました。
たとえば、北海道の長沼町で行われた土工工事では、ダンプトラックやバックホウの位置情報と稼働状況を把握・分析することで、運搬経路を最適化し、日当たりの施工量を25%向上させました。さらに、積込バックホウのバケット容量を1.0㎥に変更したことにより作業効率が上がり、最終的には工程を8日間短縮し、延べ80人分の作業員を削減するという成果が得られています。
また、山岳トンネルの自動施工や遠隔施工においても、先進的な取組が行われました。具体的には、ダムや導水トンネルの現場で、自動ダンプ、自動ブルドーザ、自動振動ローラなどの建設機械が連携しながら施工を進めるシステムが導入され、400km離れた拠点から3名のITパイロットによって14台の建設機械が昼夜を問わず管理・監視されるという画期的な取り組みが展開されています。これにより、現地作業員の負担は大きく軽減され、安全性も向上したと評価されています。
このような実証結果を踏まえ、2025年度には自動施工の対象工種が拡大され、山岳トンネルや海上工事にも応用が進められる予定です。さらに、遠隔施工についても、現在は災害復旧現場を中心に行われているものが、今後は通常の工事でも一般化され、より多くの現場で活用される見込みです。その中で特に注目されているのが、K-DIVEやSmart Construction Teleoperationといった遠隔操作技術の導入であり、30km以上離れた本社から重機を操作する事例も生まれています。
さらに、建設業界における人材育成も大きな焦点となっています。2025年度からは「自動施工コーディネーター」や「遠隔施工オペレーター」といった新たな職種に対応する人材育成プログラムが本格始動します。すでに令和6年度には30回の無人化施工講習会が開催され、のべ1,018人が受講しており、現場でのニーズに即した専門人材の育成が急速に進められています。
また、データ連携の面でも革新が進行しています。BIM/CIMの活用を通じて、2次元図面に頼らず3次元モデルを契約図書とする試行が86件実施され、2025年度にはそれをさらに推進するためのルール整備やロードマップ作成が行われる予定です。この取り組みにより、図面作成や整合確認の手間が削減され、設計から施工、検査までの全体プロセスが一貫して効率化されることが期待されます。
さらに、コンクリート工事においても省人化の動きが加速しています。従来の生コン受け入れ試験を代替する技術として、生コンの流下画像をAIで解析し、スランプ試験の省略を可能にするシステムが導入されています。この試行では、現場での検査人員を7人から1人に削減することに成功しており、建設現場全体の業務効率化に大きく貢献しています。
このような一連の技術革新は、企業の採用戦略にも直接的な影響を及ぼします。従来の土木施工技術者に加え、AI、IoT、BIM/CIM、リモート操作などの先端技術に精通した人材の確保が急務となっており、採用要件の再構築が必要不可欠です。また、新たな職種の出現や育成プログラムの普及により、建設業界でのキャリアパスが広がり、多様な人材の参入が期待されています。
企業にとっては、これまでのように現場経験の有無だけで人材を評価するのではなく、デジタル技術への適応力や学習意欲、チームでの連携力といった新しい基準を取り入れることが求められます。また、AI活用のためのエンジニアやデータサイエンティスト、遠隔施工のオペレーターなど、異業種からの転職者もターゲットとなるため、採用マーケティングの再設計も必要となります。
国土交通省が進める「i-Construction 2.0」は、単なる建設技術の進化にとどまらず、業界の構造そのものを変え、人材ニーズにも大きな転換を促すプロジェクトです。今後は、企業がこの変化をいち早く察知し、未来を見据えた人材投資を行えるかどうかが、持続的な成長の鍵となっていくでしょう。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ