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2025年7月17日

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持家も貸家も分譲住宅も減少、令和7年5月の住宅着工数が2か月連続で落ち込む

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建築着工統計調査報告(令和7年5月分)(国交省)

令和7年5月における建築着工の動向が国土交通省より公表され、住宅着工に関する各種データからは、全国的に深刻な落ち込みが見られました。まず、全国の新設住宅着工戸数は43,237戸にとどまり、これは前年同月と比較して34.4%もの大幅な減少となりました。床面積も3,333千平方メートルで、前年同月比35.9%の減少となっており、住宅市場全体での冷え込みが顕著に表れています。さらに、季節調整済みの年率換算値でも529千戸と前月から15.6%も減少し、2か月連続の減少が続いています。

内訳を見てみると、「持家」は11,920戸と、前年同月比30.9%の減少が記録されました。これは、民間資金による建築が10,802戸で同31.8%の減少、公的資金による建築が1,118戸で同20.7%の減少となり、双方で減少傾向が続いていることを示しています。同様に、「貸家」も18,893戸と、前年同月比で30.5%の減少が見られました。特に民間資金による貸家建設は17,133戸で32.3%の減少、公的資金によるものも1,760戸と8か月ぶりに減少に転じています。

また、「分譲住宅」も11,924戸にとどまり、前年同月比で43.8%という非常に大きな落ち込みとなりました。この中でも「マンション」は4,778戸で前年同月比56.5%の大幅な減少を記録しており、「一戸建住宅」も7,083戸で29.9%の減少となっています。こうしたデータは、住宅市場の停滞だけでなく、消費者の購買意欲や資金調達環境の悪化、あるいは建設コストの上昇など複合的な要因が背景にあることを示唆しています。

地域別の状況を見ても、全国的に同様の傾向が見られます。たとえば首都圏では総戸数が前年同月比で31.5%減少しており、特に分譲住宅は51.5%減、マンションに至っては66.6%減という極めて厳しい数値が報告されています。中部圏でも総戸数は22.3%の減少となり、分譲住宅は41.7%の減少、マンションに関しては実に74.6%も落ち込んでいます。近畿圏では総戸数が36.0%減、貸家が51.2%減と特に落ち込みが大きく、その他の地域においても総戸数で40.5%減と、全国的な需要縮小が明白です。

建築工法別のデータでも同様の減少傾向が見られます。プレハブ住宅は6,962戸で前年同月比9.3%の減少、ツーバイフォー工法も5,251戸で26.4%の減少と、すべての工法において2か月連続で前年を下回っています。

一方、非住宅部門にはいくつか明るい兆しも見られます。民間非居住用建築物の着工床面積は335万平方メートルと前年同月比で27.2%の増加を記録し、4か月連続の増加となりました。特に注目すべきは「倉庫」の増加で、床面積は133万平方メートルとなり、前年同月比116.2%という非常に大きな伸びを示しています。この傾向は、EC市場の拡大や物流需要の高まりを背景としたもので、今後も持続的な成長が期待されます。

「情報通信業用」の建築物も、床面積が6万平方メートルで前年同月比81.0%の増加を記録しています。これにより、データセンターや通信設備への投資が強化されていることが推察され、デジタルインフラ整備の重要性が改めて認識されています。また、「工場」も床面積61万平方メートルで29.0%の増加となり、こちらも7か月ぶりのプラスに転じています。生産拠点の再編や国内回帰といった動きも背景にあると考えられます。

これに対して、「事務所」は34万平方メートルで前年同月比31.1%の減少となり、7か月連続の減少傾向が続いています。テレワークの普及やオフィス縮小の流れが依然として続いており、企業の不動産戦略が見直されている可能性があります。

全体の建築物着工床面積は700万平方メートルで、前年同月比16.3%の減少となりました。公共建築物の床面積も23万平方メートルで15.0%の減少、民間も677万平方メートルで16.4%の減少と、住宅分野の不振が全体の統計を大きく引き下げています。

今後、建築業界においては、住宅市場の回復が重要な課題となることは間違いありません。住宅ローン金利の動向や資材価格の推移、さらには国の住宅政策や補助制度の動きが、着工数に与える影響も注視する必要があります。一方で、物流施設や情報通信インフラなどの分野は引き続き拡大が予測され、非住宅市場での成長余地が見込まれます。企業の経営戦略としては、住宅需要の停滞リスクを意識しつつも、非住宅の成長分野への積極的な展開が鍵となるでしょう。

以上のように、令和7年5月の建築着工統計からは、住宅着工の著しい減少という厳しい現実が浮かび上がる一方で、非住宅部門の一部では成長の兆しが見られ、今後の建設業界の方向性を左右する重要な分岐点に差し掛かっていることが明らかとなりました。企業の採用担当者や経営企画部門にとっても、今後の事業計画や人材配置、投資判断において有益な情報であることは間違いありません。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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