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2025年6月17日

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採用競争が激化する千葉県、令和7年4月の求人倍率1.17倍が意味する企業の採用課題とは

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千葉市の求人倍率1.30倍が示す都市部採用の難しさと対応の方向性

令和7年4月における千葉県の有効求人倍率は1.17倍で、前月に比べて0.02ポイントの上昇が見られました。全国平均の1.26倍にはわずかに及ばないものの、県内の労働市場においても求人数が求職者数を上回る状態が続いており、企業側にとっては人材確保が一層難しくなっていることを意味します。企業の採用担当者は、この求人倍率が示す労働市場の逼迫度を読み取り、適切な人材確保のために何をすべきかを冷静に判断する必要があります。特に人手不足が常態化している今、採用活動は単なる人員補充ではなく、企業成長を支える戦略的な投資として再定義することが求められています。

新規求人数は令和7年4月に32,226人となり、前年同月と比較して4.4%の増加となっています。この数値からも、企業が継続して新たな人材を求めていることがわかります。産業別に見ると、医療・福祉分野では前年同月比で10.3%増、建設業では4.1%増となっており、特に医療福祉は慢性的な人材不足が継続している分野です。企業の採用担当者は、こうした高い求人倍率が続く業種においては、求職者にとっての魅力を最大限に伝える工夫が必要になります。給与や労働時間といった条件面だけではなく、働きがいや教育体制、キャリア形成支援など、非金銭的な価値の提示が重要性を増しています。

一方、新規求職申込件数は前年同月比で4.2%の減少となっており、求職者側の動きが鈍っている状況が浮き彫りとなっています。求人数の増加と求職者数の減少が同時に進行していることから、企業間の人材獲得競争はさらに激しさを増しているといえます。こうした環境下においては、企業の採用活動は待ちの姿勢ではなく、攻めの姿勢が求められます。優秀な人材が他社と比較して応募を決断するまでのわずかな時間をいかに有利に進められるかが採用の成否を左右するポイントとなるのです。

千葉県内でも地域によって求人倍率には差があり、例えば千葉市や船橋市、柏市などの都市部では1.3倍前後の比較的高い倍率を記録しています。これに対し、館山市や南房総市といった郊外地域では1.0倍を下回るところもあり、地域間での人材分布に偏りが見られます。企業の採用担当者はこの地域差を踏まえ、採用エリアの見直しや柔軟な勤務地設定、通勤手当や住宅支援制度の拡充といった施策を検討することで、より広域からの人材確保が可能になります。また、オンライン面接や在宅勤務制度の導入も、地域を越えて優秀な人材を呼び込む上で有効な手段となります。

特に注目すべきは、65歳以上の高齢求職者の動向です。令和7年4月時点で、千葉県では高齢者層の求職者数が前年同月比で5.1%増加しており、高齢者雇用の可能性がますます高まっています。この層は豊富な経験と安定した労働姿勢を持ち合わせていることが多く、短時間勤務や軽作業などにおいては即戦力として期待されます。採用に際しては、業務内容の負担調整や安全対策、体調管理への配慮といった観点を取り入れた制度設計が求められますが、そうした対応が取れる企業は今後の労働力確保においても有利な立場を築くことができます。

また、正社員の有効求人倍率は1.04倍と、前年同月よりも0.01ポイント上昇しており、正規雇用を希望する求職者のニーズが引き続き高いことがわかります。企業としても、将来的な戦力となる人材を確保するためには、初めから正社員としての雇用を前提とする募集を打ち出すことが有効です。その際には、昇給制度や評価制度、キャリア形成支援制度などを明確に提示することで、求職者にとっての「将来への安心感」を提供することができます。

離職理由に関する調査でも、自己都合による離職が依然として高い割合を占めており、職場とのミスマッチが課題となっています。採用時のミスマッチを防ぐには、求人票の記載内容をより具体的に、そして誠実に記述することが不可欠です。たとえば、業務内容や1日のスケジュール、上司や同僚との関係性、職場の雰囲気などを具体的に記載することで、求職者が入社前に自身の働くイメージを持つことができます。また、入社後の定着を図るためには、初期研修の充実やメンター制度の導入、定期面談によるキャリア相談の実施が効果的です。

さらに、企業の採用活動において情報発信力は極めて重要です。ハローワークや求人媒体だけに依存せず、自社のウェブサイトやSNSを活用して企業の価値観や働く人の声、社内の様子などを積極的に発信することで、求職者との信頼関係構築につながります。とりわけ若年層の求職者は、企業の情報をインターネットで自ら調べる傾向が強く、発信力に乏しい企業はそれだけで選択肢から外れてしまうリスクがあります。採用ブランディングを意識した広報活動は、企業が「選ばれる存在」として認識されるための第一歩です。

このように、求人倍率1.17倍という数値からは、千葉県内の雇用市場が依然としてタイトな状況にあることがわかります。企業の採用担当者は、この市場の実態を正確に読み取り、自社にとって必要な人材を的確に引き寄せるための仕組みを構築していく必要があります。単に求人情報を掲載するだけではなく、その情報がどのように受け止められ、どのように応募につながっていくかを常に検証し、改善を重ねていく姿勢が採用活動の成否を左右します。採用とは一過性の業務ではなく、経営に直結する中長期的な戦略であるという認識を持つことが、これからの企業にとって極めて重要です。

⇒ 詳しくは千葉労働局のWEBサイトへ

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