2025年4月13日
労務・人事ニュース
救急出動771万件で過去最多(令和6年中の救急出動件数等 速報値)
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
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最終更新: 2025年5月1日 09:34
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最終更新: 2025年5月1日 23:00
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
「令和6年中の救急出動件数等(速報値)」の公表(総務省)
令和6年(2024年)における全国の救急出動件数が過去最多を更新し、その規模と社会的背景が注目を集めています。消防庁が公表した速報値によると、救急自動車による救急出動件数は771万7,123件となり、前年から7万8,565件(1.0%)増加しました。また、搬送人員も676万4,838人に達し、前年比で12万3,418人(1.9%)の増加となっています。これは、昭和38年の集計開始以降で最大の記録であり、日本社会が抱える高齢化、健康意識の変化、医療資源の地域偏在など、さまざまな要素が絡み合った結果と言えます。
出動件数の内訳を見ると、「急病」が最も多く519万5,253件で、全体の67.3%を占めており、前年と比べても2万759件(0.4%)の増加を記録しました。次いで「一般負傷」が122万4,127件(構成比15.9%)、こちらは3万8,730件(3.3%)の増加となっています。また「転院搬送」は58万1,685件で、前年比2万5,318件(4.6%)増と、医療機関間の患者移送も増加傾向にあります。一方で「交通事故」は39万3,875件で、前年比5,702件(1.4%)減と減少に転じており、交通安全対策の成果がうかがえます。
このような出動理由の分布は、救急車の運用負荷や医療体制に直接関係するものであり、企業にとっても従業員の健康管理や労働環境の安全性を見直す上で無視できない指標となっています。特に「労働災害」は6万2,260件で、前年比1,684件(2.8%)増となっており、働く現場における事故や体調不良による搬送が一定の水準で推移していることが明らかです。こうした実態は、企業の安全衛生管理体制の強化や定期健康診断の充実化を求める動きにもつながります。
搬送人員の年齢構成をみると、「高齢者」が428万2,228人と全体の63.3%を占めており、18万8,676人(4.6%)の増加を記録しました。高齢者の搬送人員は、今後も医療・介護の需要を高めていく一方で、家族を介護する現役世代のワークライフバランスにも影響を及ぼすため、企業としては介護離職や時短勤務への柔軟な対応が求められる局面が増えています。また、「成人」(18歳以上65歳未満)は196万8,285人で前年とほぼ横ばいでしたが、「乳幼児」は27万5,323人と前年より6万724人(18.1%)の大幅な減少となっています。この減少には感染症対策や育児支援の効果が影響していると考えられ、保育や小児医療の充実に寄与する施策の成果が見て取れます。
傷病の程度別に分類すると、「軽症(外来診療)」が316万7,205人と全体の46.8%を占める一方、「中等症(入院診療)」が301万8,266人(構成比44.6%)となり、前年比16万7,644人(5.9%)の増加を示しました。これは救急搬送される人々の容体が徐々に重くなっている傾向を示しており、企業にとっては従業員が体調を崩した際の迅速な対応や、健康起因の労働災害防止策を一層強化する必要性が高まっていることを示唆しています。「重症(長期入院)」に該当する搬送は48万8,340人で、前年比6,347人(1.3%)の増加でした。
さらに、都道府県別のデータに目を向けると、東京都が突出しており、救急出動件数は94万1,059件で、前年より1万6,959件(1.8%)増加しています。搬送人員も80万2,829人と、前年より2万3,493人(3.0%)の増加を見せており、都市部における医療資源の集中と救急需要の増加がはっきりと表れています。大阪府や神奈川県、埼玉県、愛知県などの主要都市圏でも同様の傾向が見られ、都市部で働く従業員の健康リスクに対する企業の取り組みが、これまで以上に問われる時代に入ったことを意味しています。
一方で、東北や北陸など一部の地域では出動件数・搬送人員ともに減少傾向が見られました。例えば、秋田県では搬送人員が前年から1,832人(4.1%)減少しており、地域差が鮮明になっています。これは地域医療体制の違いや人口動態の変化に起因していると考えられ、企業の地方進出やテレワーク導入の際には、こうした救急体制の実情も十分に配慮することが望まれます。
こうした背景を踏まえると、企業の採用担当者は健康経営を支える制度の充実とともに、従業員の突発的な健康トラブルにも対応できる体制整備を意識的に進めていく必要があります。定期的な健康診断だけでなく、メンタルヘルス対策、応急処置研修、災害時の安否確認システムなど、多角的なアプローチが求められます。また、ワークライフバランスに配慮した働き方改革は、採用においても重要な差別化要素となり得ます。候補者が企業を選ぶ際には「いざという時の安心感」も大きな判断材料となるため、採用戦略においても、こうした社会的背景を踏まえた福利厚生の設計が今後のカギを握るでしょう。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ