労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 旅行単価が47,212円に上昇、観光業の高付加価値化で専門人材の採用競争が激化(旅行・観光消費動向調査 2025年1-3月期(1次速報))

2025年5月31日

労務・人事ニュース

旅行単価が47,212円に上昇、観光業の高付加価値化で専門人材の採用競争が激化(旅行・観光消費動向調査 2025年1-3月期(1次速報))

Sponsored by 求人ボックス

旅行・観光消費動向調査 2025年1-3月期(1次速報)(観光庁)

2025年1月から3月期にかけての旅行・観光消費動向調査の一次速報によると、日本国内の旅行市場が力強い回復基調にあることが明らかになりました。観光庁が取りまとめた最新の統計によれば、この3か月間における日本人による国内旅行消費額は5兆6,483億円に達し、前年同期比で15.5%の増加を記録しました。この数字は、全国的な移動需要の回復が本格化しつつあることを示しており、特に宿泊旅行と日帰り旅行の双方において消費が増加傾向にある点が注目されます。

このうち、宿泊を伴う旅行における消費額は4兆5,866億円で、前年同時期と比較して18.5%の増加となりました。一方、日帰り旅行の消費額は1兆617億円で、こちらも4.1%の増加を示しています。特に宿泊旅行の伸び率が顕著であることから、地域に滞在する時間の長い旅行スタイルが再び好まれる傾向にあることがわかります。また、旅行者1人あたりの平均消費額、すなわち旅行単価についても前年度を上回る数値が見られ、旅行の質の向上が消費動向にも反映されていることが伺えます。

具体的には、2025年1~3月期における1人1回当たりの旅行単価は47,212円で、前年同期比で8.9%の増加となりました。このうち、宿泊旅行における1人当たりの旅行支出は68,807円で9.8%の増加、日帰り旅行では20,040円で前年比0.4%の微増となっています。こうした数字からは、宿泊旅行を中心に高付加価値な旅行商品が選ばれやすくなっている傾向が見て取れます。また、買い物や体験型サービスへの支出が増えている可能性も高く、旅行者のニーズが「モノ」から「コト」へとシフトしている現状を示唆しています。

旅行者の総数については、延べ旅行者数が1億1,964万人となり、前年同期比で6.0%の増加が記録されました。その内訳を見ると、宿泊旅行者数は6,666万人(前年同期比8.0%増)、日帰り旅行者数は5,298万人(同3.7%増)となっており、特に宿泊旅行が全体を牽引している様子が明確です。これは、感染症の影響が薄れたことで長距離の移動や滞在に対する心理的抵抗が和らぎ、より自由な旅行スタイルが復活していることを裏付けています。

月別に見ると、3月が最も消費額の高い月であり、宿泊旅行では1か月で18,974億円が消費され、前年同月比で23.5%という大幅な伸びを示しています。これには、春休みの旅行需要や気候の回復が影響していると考えられます。一方で、日帰り旅行は季節や天候に左右されやすく、3月の消費額は4,281億円で前年同月から2.2%の微減となっています。このように、旅行形態によって季節要因や経済状況に対する感応度が異なる点も、今後の観光政策や商品開発においては重要な示唆となるでしょう。

企業の採用担当者にとって、こうした旅行市場の回復動向は直接的な影響を持つ可能性があります。まず、観光業界を中心としたサービス産業では人材需要が再び活発になりつつあり、新卒・中途採用ともに競争が激化することが予想されます。宿泊業、交通機関、小売業など旅行者を受け入れる側の業種では、人手不足が慢性化している地域も多く、求人の際には待遇改善や働きやすい職場環境の整備がより重要になります。また、観光需要の増加に伴って、地域経済の活性化も進むため、地方での雇用創出やUIJターンの促進にもつながる可能性があります。

さらに、旅行単価の上昇は、観光を取り巻くビジネスの高付加価値化が進んでいることを意味しており、今後は接客力や企画力といった専門スキルを持つ人材が求められる傾向が一層強まると考えられます。観光業に限らず、ホスピタリティ精神や顧客対応能力を重視する企業にとっては、こうした能力を有する人材を採用・育成するチャンスでもあります。観光が盛り上がることで、人の流れが活性化し、地域経済全体が潤うことにより、地元企業への注目度や就職希望者の増加といった波及効果も期待できます。

このような背景を踏まえ、採用担当者が注目すべきなのは、単に「旅行者が増えた」という事実だけでなく、その背景にある「旅行スタイルの変化」や「消費意欲の向上」といったトレンドです。これらの情報を把握することで、業界全体の動向を先読みし、必要な人材像や採用戦略の再構築に活かすことができます。観光需要の回復は、一過性のものではなく、長期的な視点での人材投資が必要とされる時期に来ているといえるでしょう。

⇒ 詳しくは観光庁のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ