2025年8月14日
労務・人事ニュース
日本の労働時間は30年で約35時間短縮、週35〜42時間勤務が主流に
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「土日祝休み」/准看護師・正看護師/整形外科/リハビリテーション科/内科/病院
最終更新: 2025年8月21日 23:02
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「駅チカ」/正看護師/内科/クリニック/うれしい土日祝休み
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「駅チカ」/准看護師/デイケア/介護施設/夜勤なし
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「残業ゼロ」/准看護師・正看護師/内科/小児科/介護施設/車で通えます
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令和7年度経済財政白書 第2章 賃金上昇の持続性と個人消費の回復に向けて 第3節 労働市場の長期的な変化と課題(内閣府)
この記事の概要
過去30年間にわたる日本の労働市場の構造変化とその背景を、供給・需要両面から丁寧に分析した内容です。高齢化社会の進行、女性や高齢者の就労拡大、産業構造の変化、労働時間の短縮傾向、そして労働需給のミスマッチの現状など、採用や人事政策に関心を持つ企業担当者にとって実務的かつ示唆に富む情報を網羅しています。
日本の労働市場はこの30年間で大きく様変わりしてきました。特に注目すべきは、人口構造の変化がもたらす労働供給の質的変化です。1990年には1億人だった15歳以上人口は、2017年に1億1,118万人でピークを迎えたのち、2024年には1億995万人まで減少しました。その一方で、65歳以上の高齢人口の割合は、1990年の14.7%から2024年には33.0%にまで上昇し、高齢化の進行が数字で明確に表れています。
労働供給の側面では、15〜64歳の生産年齢人口が減少するなかで、女性と高齢者の労働参加が顕著に増加しています。とりわけ女性の就労はこの10年で大きく変化し、かつて見られた「M字カーブ」は緩やかになりました。かつて20代後半から30代にかけて顕著に低下していた就業率は、2022年には6歳未満の子を持つ女性の就業率が69.9%にまで上昇し、子のいない女性との差が10年前の約23%ポイントからわずか8%ポイントにまで縮小しました。
高齢者の働き方も変化しています。2010年から2024年にかけて、60代の労働参加率は20%ポイントも上昇し、特に65歳以上の労働力人口比率は1990年の5.6%から2024年には13.6%に達しました。男女問わず高齢者の就業が一般化してきていることがわかります。こうした変化は、継続雇用の義務化や多様な就労機会の創出といった政策的背景も影響しています。
一方で、労働時間は緩やかに短縮傾向にあります。1990年には月170時間を超えていた平均労働時間は、2024年には約135時間まで減少しました。これはパートタイム労働者の増加に加え、フルタイム労働者でも週当たりの労働時間が徐々に減少していることが背景にあります。特に男性ではかつて多かった週60時間以上の長時間労働が2022年には13.2%にまで減少し、週35〜42時間で働く割合が急増しています。この傾向は女性にも共通し、週60時間以上働く女性の割合は1992年の12.3%から2022年には5.5%に半減しました。
労働需要側では、特に非製造業において人手不足感がかつてないほど高まっています。日銀の短観調査では、バブル期に匹敵する水準まで人手不足感が上昇し、企業が求めるスキルを持った人材の確保が一層困難になっている実態が浮かび上がります。また、産業別では宿泊・飲食サービス業などでの人手不足が特に深刻です。
求人と求職の手段にも変化が見られます。ハローワークを通じた求職や求人の比率はこの15年で大きく低下し、2006年には求人の67.3%がハローワーク経由だったのに対し、2020年には57.3%と約10ポイント減少しています。代わって民間職業紹介所や求人アプリ、特にスポットワークのような柔軟な働き方を支援する手段が台頭しています。こうした変化は特に若年層の労働参加率の回復にも影響しており、大学進学率の上昇に伴って一度は低下した15~24歳の労働参加率も、2010年以降は再び上昇傾向に転じています。
産業構造の面でも変化は顕著です。1994年には製造業が23.5%の雇用者シェアを占めていましたが、2023年には16.3%に低下。一方で、医療・福祉や専門・科学技術、業務支援サービス業といった分野はシェアを大きく伸ばしており、サービス産業の割合は全体の75%にも達しています。これは人口の高齢化による医療・介護需要の増大、企業活動の高度化・アウトソース化などが背景にあります。
また、労働需給のミスマッチも大きな課題となっています。欠員率は2000年の1.1%から2023年には2.8%へと上昇していますが、職種や業種、企業規模によってその程度は大きく異なります。例えば「事務」や「管理的職業」では欠員率が比較的低い一方、「サービス職業」では顕著に高まっています。中小企業では欠員率が平均を上回る水準で推移しており、大企業と比べて人材確保が困難である状況が続いています。
構造的な労働市場の課題としては、労働生産性の高い分野への労働移動が進んでいないことも挙げられます。1994年から2023年にかけて、製造業では労働生産性が約30%上昇したにもかかわらず、雇用者シェアは減少傾向を示しています。一方でサービス業では生産性がむしろ低下しているにもかかわらず、雇用が集中している実態があります。これは経済全体の生産性向上を妨げる要因となっており、今後の政策対応が求められる分野です。
以上のように、日本の労働市場は人口構造、就労形態、産業構造の各側面において劇的な変化を遂げています。企業にとっては、こうした変化に対応した採用戦略の再構築が必要不可欠です。特に、柔軟な働き方の推進や多様な人材の活用を通じて、限られた労働力を最大限に活用する仕組みづくりが急務とされています。
この記事の要点
- 1990年以降、日本の生産年齢人口は1,000万人減少し、高齢者人口は2,000万人増加した
- 労働力人口は2024年に6,957万人と過去最高水準を記録した
- 女性の就業率は育児世代でも69.9%に達し、「M字カーブ」は解消傾向にある
- 月間平均労働時間は1990年の170時間超から2024年には135時間程度にまで減少した
- 非製造業を中心に人手不足感がバブル期並みの水準まで上昇している
- ハローワーク経由の求職・求人の割合は2006年から2020年にかけて約10%低下
- サービス産業の雇用シェアは30年で75%まで上昇したが、生産性はやや低下
- 職種や企業規模ごとに欠員率のばらつきが大きく、労働需給のミスマッチが顕著
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