2025年6月29日
労務・人事ニュース
日本含む主要10か国の非化石電源比率比較で見えるグローバル対応力の必要
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「土日祝休み」/正看護師/特別養護老人ホーム/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月28日 23:04
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「駅チカ」/准看護師・正看護師/内科/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年6月28日 23:04
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「夜勤なし」/准看護師/老人保健施設/介護老人保健施設/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年6月28日 23:04
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「ブランクOK」/准看護師・正看護師/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年6月28日 23:04
「令和6年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2025)が閣議決定されました(経産省)
令和7年6月13日、政府はエネルギー政策基本法に基づき、「令和6年度エネルギーに関する年次報告」、通称「エネルギー白書2025」を閣議決定しました。本報告書は、エネルギーの需給に関する前年度の施策を取りまとめたものであり、毎年国会に提出される重要な政策文書です。今年度の白書では、従来の需給報告に加え、福島復興の進捗、グリーントランスフォーメーション(GX)およびカーボンニュートラルに向けた国内外の取組、さらには主要10か国・地域における温室効果ガス削減の動向についても詳しく取り上げられました。
まず福島復興の進捗について、東京電力福島第一原子力発電所では、2号機における燃料デブリの試験的取出しが2回成功し、安全かつ確実な廃炉作業が進展していることが報告されました。また、ALPS処理水の海洋放出に関しては、国際原子力機関(IAEA)による評価および継続的なモニタリング結果から、その安全性が確認され、国際的にも一定の理解が進んでいます。さらに、帰還を希望する住民が実際に戻れるよう、新たに設けられた「特定帰還居住区域制度」に基づき、大熊町・双葉町・浪江町・富岡町・南相馬市で復興再生計画が認定され、2025年3月には飯舘村と葛尾村でも一部避難指示が解除されるなど、住民の生活再建に向けた重要な進展が見られました。
同時に、福島地域では再生可能エネルギーの導入促進や水素社会の構築に向けて、「福島新エネ社会構想 加速化プラン2.0」が策定されました。この構想では、地域における新たな産業基盤の形成を図り、持続可能なエネルギー社会を先進的に実現するモデルケースとして、国内外の注目を集めています。復興とエネルギー政策が融合するこのアプローチは、今後の地域経済の再生にも大きな意義を持つと評価されています。
次に、GXとカーボンニュートラルに向けた取り組みとして、日本は2050年の脱炭素社会実現に向けて、デジタル化(DX)と並行して電力の需要増を見越したエネルギー政策を強化しています。特に、近年急速に拡大するデータセンターの電力需要に対応するため、電力供給の地域的偏在や脱炭素電源との整合性を考慮した「ワット・ビット連携」の必要性が明記されています。これは、電力インフラと通信インフラを効率的に連携させることで、全国各地に分散するDCと再エネ供給地を結び付け、安定したエネルギー供給体制を築くことを目的としています。
さらに、日本企業による次世代エネルギー技術への投資と研究開発も本白書では注目されています。たとえば、「光電融合」技術では、光と電気を融合させた新たな情報通信インフラの構築が進められており、データ処理効率と省エネ性能の大幅な向上が期待されています。また、「ペロブスカイト太陽電池」については、軽量で柔軟な構造を活かし、都市部や曲面建物への導入が進められています。さらに、「浮体式洋上風力発電」は日本の深海沿岸に適した技術であり、エネルギー自給率の向上と漁業共存型モデルの実証が注目されています。その他にも、「次世代地熱発電」や「次世代革新炉」、「水素・アンモニア・合成燃料」といったエネルギー源の多様化と技術革新が、2050年カーボンニュートラルに向けたカギとなることが強調されています。
また、主要10か国・地域(例えば、アメリカ、EU、中国、インド、日本など)のカーボンニュートラルに向けた政策とその背景も詳述されています。国ごとにエネルギー消費構造や温室効果ガス排出の状況は異なるため、各国の取り組みも一律ではなく、それぞれの現状に即した多様な手法が取られています。白書では、GHG排出量、最終エネルギー消費、非化石電源比率などのデータをもとに、各国の政策進捗を比較可能な形で提示しており、国際協調の中で日本がどのような立ち位置を取るべきかの判断材料にもなっています。
企業の採用担当者にとって、この白書が示す内容は極めて戦略的な意味を持ちます。再生可能エネルギーや水素などの新エネルギー分野では、新たな人材ニーズが急速に拡大しており、特に技術開発、インフラ構築、エネルギーマネジメントの各領域において、専門性と実務能力を兼ね備えた人材の確保が企業の競争力に直結するからです。また、GX人材に関しては、国が認定する育成プログラムとの連動や、リスキリング支援との併用など、人材戦略の再設計が必要とされています。
また、企業が自社のエネルギー消費に対する中長期的な視点を持ち、脱炭素社会への貢献を経営目標に組み込む場合、再エネ調達計画や排出量削減目標の策定には専門的知識を持つ人材が不可欠です。特に、電力調達、エネルギーデータ管理、サステナビリティ報告の策定といった業務は、今後ますます高度化が求められる分野となるでしょう。つまり、本白書は単なる政府施策の記録にとどまらず、企業にとっては採用・人材育成・中長期経営戦略に直結する重要な指針であると言えます。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ