2025年6月15日
労務・人事ニュース
月間生産性が10%向上、IoT導入事例から見る製造業のDX戦略最前線
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最終更新: 2025年6月15日 22:38
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2025年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)(経産省)
令和7年5月30日、経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省は、共同で取りまとめた「令和6年度ものづくり基盤技術の振興施策」(通称:2025年版ものづくり白書)を公表しました。本報告書は、ものづくり基盤技術振興基本法に基づき、我が国製造業の現状と課題、及び政府が講じた振興施策を体系的にまとめたものです。近年、国際情勢の変化や気候危機の進行などにより、製造業を取り巻く環境は急速に変化しており、その中で持続的な産業競争力を維持・向上させるための中長期的戦略が不可欠となっています。
2025年版白書の大きな特色は、産業競争力、脱炭素、経済安全保障という3つの要素を包括的に捉えた分析と提言を行っている点にあります。たとえば、企業の間では温室効果ガスの排出削減と事業の成長を両立するGX(グリーントランスフォーメーション)への取り組みが進展しており、これは資源価格の変動や環境規制への対応力を高めるのみならず、企業価値向上にも直結する戦略的な選択とされています。また、経済安全保障の観点からは、サプライチェーンの強靱化や重要技術の国内開発が喫緊の課題とされており、政策支援を通じた自立性の強化が急務とされています。
その中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したものづくりの高度化は、製造現場の生産性向上や熟練技能の継承に加え、新たなサービス価値の創出という観点からも極めて重要です。実際に、多くの企業がAIやIoTを導入することで、従来では見えなかった工程の最適化や稼働率の改善を実現しています。白書では、具体的な事例として、部品加工企業が設備にセンサーを導入することで月間の生産効率を10%改善させたケースなどが紹介されており、こうした技術導入の成果が数値で示されています。
さらに、就業動向の章では、製造業における人材の確保・育成が重要なテーマとして位置付けられています。特に若年層の製造業離れや熟練技能者の高齢化が顕著となっており、教育機関と連携した実践的な技術教育の拡充が求められています。2023年度には、高等専門学校や職業訓練施設におけるものづくり関連教育を受けた学生数が前年比3.2%増加するなど、将来を見据えた人材育成への投資が進められています。また、技能実習制度の見直しと新制度への移行に関する情報も掲載されており、多様な人材の受け入れと定着を見据えた制度改革が進行中です。
研究開発面では、2024年度における産学官連携プロジェクトの件数が2,130件に達しており、特にカーボンニュートラル技術や次世代半導体分野への研究資源の集中投資が加速しています。例えば、次世代パワー半導体開発に向けた国家プロジェクトでは、民間主導の研究機関に1,200億円の予算が投入され、製品化までの期間短縮が進められていることが報告されています。
これらの動向を総合的に踏まえた上で、白書では中小企業支援の重要性にも触れられており、経済産業省が提供する「中小企業成長促進パッケージ」を通じて、デジタル化支援、人材育成、設備投資への補助といった多角的な支援策が展開されています。特に、地域産業に根差した中小企業が担う技術力の維持と発展は、日本全体のものづくり基盤を支える要であると強調されています。
このように、2025年版ものづくり白書は、技術革新と人材育成、政策支援が三位一体となって我が国製造業の競争力強化を支えるという明確なビジョンを示しています。採用活動を行う企業にとっても、本白書は業界全体の動向や政策の方向性を知るうえで重要な情報源となるとともに、自社の中長期戦略の見直しや事業展開のヒントとなる内容が数多く含まれています。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ