2025年8月19日
労務・人事ニュース
有効求人倍率1.20倍となった2025年6月秋田県、採用担当者が備えるべき実務とは
秋田県内の雇用情勢(令和7年6月)(秋田労働局)
この記事の概要
2025年6月の秋田県における有効求人倍率は1.20倍で、前月と同水準を維持しました。一方で新規求人倍率は1.95倍と前月比で0.12ポイント上昇しており、求人意欲の回復がうかがえます。物価上昇の影響が一部に厳しさをもたらしている中、企業の採用担当者は慎重かつ戦略的な対応が求められます。
2025年6月の秋田県の有効求人倍率は1.20倍で、前月と同じ水準を維持しました。これは全国平均の1.22倍とほぼ同程度であり、都道府県別では25位に位置しています。また、就業地別の有効求人倍率は1.34倍で、全国21位と比較的高い水準にあります。この数値は求職者1人あたり1.2件の求人があることを意味しており、依然として人材確保の難しさが続いていることがうかがえます。企業の採用担当者はこの倍率を踏まえて、自社にとって最適な人材を獲得するための工夫を凝らす必要があります。
有効求人数は19,300人で前月比1.2%の減少、有効求職者数は9,379人で1.5%減少しました。求人も求職も減少しているという状況は、市場全体の動きがやや停滞していることを示しています。こうした環境では、企業は単に求人票を出すだけではなく、求職者の関心を引きつけるための情報提供力が問われます。たとえば、職場の雰囲気、業務の具体的な内容、キャリア形成の支援体制など、応募者が求める情報を的確に伝えることが重要です。
特に注目すべきは、新規求人倍率が1.95倍に達した点です。これは前月比で0.12ポイント上昇しており、企業の新たな採用意欲が回復傾向にあることを意味しています。新規求人数は11,176人で前月比1.9%増加しており、秋田県内における求人活動が再び活発化していることがうかがえます。一方で、新規求職者数は3,611人で8.5%減少しており、求人に対して求職者が追いついていない構図が浮き彫りとなっています。企業にとっては、今が積極的な採用活動を展開する絶好の機会であると同時に、求職者の獲得競争が激化するタイミングでもあるといえるでしょう。
また、正社員の有効求人倍率は1.19倍で、前年同月比で0.04ポイント上昇しています。この動きは、安定的な雇用形態に対する需要が依然として高いことを示しています。企業が正社員を求める理由は、長期的な人材育成や定着を視野に入れているからです。そのため、採用担当者は目先の採用成果だけでなく、中長期的な視点での人材確保の方針を明確にし、応募者に対して安心感と成長の機会を提供できる環境整備が求められます。
一方で、秋田県内の雇用情勢全体としては、「持ち直しの動きに弱さが広がっており、物価上昇等の影響により一部に厳しさがみられる」との判断がなされています。このような経済的背景を踏まえると、企業は採用活動と並行して、従業員の働きやすさをどう確保するかにも意識を向けるべきです。具体的には、賃金体系の見直しや福利厚生の充実、テレワークや時差出勤など柔軟な勤務体制の導入が、求職者にとって大きな魅力となる可能性があります。
求人数と求職者数の双方が減少する一方で、求人倍率は維持されているという状況は、一見安定しているように見えても、その実態は企業間の人材獲得競争が激化しているという現実を示しています。特に地方においては、人口減少や若年層の都市部流出が続く中で、優秀な人材をどう確保し、定着させるかが大きな課題となっています。採用担当者には、地域の特性や自社の強みを的確に伝えるための発信力がこれまで以上に求められます。
たとえば、地元で働くことのメリットや、地域密着型の企業活動による社会貢献などをアピールすることで、地域に根ざした働き方を求める求職者の関心を引きやすくなります。また、インターンシップの開催や職場見学会など、求職者が職場の雰囲気を体感できる取り組みも有効です。こうした地道な努力が、採用の成果に直結する時代となっています。
さらに、デジタル化の進展に伴い、オンラインでの応募受付やWEB面接といった新たな採用手法の導入も不可欠となっています。秋田県のように地理的な移動に制約がある地域では、オンラインの利便性を活かすことで、遠方の人材との接点を増やすことが可能になります。このようなツールを積極的に活用することで、採用活動の幅を広げることができるのです。
総じて、2025年6月の秋田県の求人倍率1.20倍という数字は、雇用市場の現状と企業に課された課題を的確に示しています。数値の変化を単なる統計と捉えるのではなく、その背景にある経済動向や地域特性、人材の動きなどを総合的に読み解く力が、採用担当者には求められています。そして、自社にとって本当に必要な人材を見極め、採用後の活躍までを視野に入れた戦略を描くことが、今後の採用成功のカギとなるでしょう。
この記事の要点
- 2025年6月秋田県の有効求人倍率は1.20倍で前月と同水準を維持
- 新規求人倍率は1.95倍に上昇し、企業の求人活動が活発化
- 新規求職者数は減少し、採用競争が一段と激しくなっている
- 正社員求人倍率も上昇しており、安定雇用への需要が継続
- 物価上昇などの経済環境の影響により、雇用情勢には慎重さが求められる
- 地域の特性と企業の魅力を的確に発信する採用戦略が重要
- デジタルツールの活用による採用の効率化と広域化が求められている
⇒ 詳しくは秋田労働局のWEBサイトへ