2025年4月25日
労務・人事ニュース
東海 求職者登録が前年比40%減、現職定着と人材流出に企業はどう備えるか(令和7年3月調査)
- アイリスト/香春口三萩野駅/社員募集/5月2日更新
最終更新: 2025年5月2日 01:06
- 薬剤師
最終更新: 2025年5月2日 04:10
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最終更新: 2025年5月2日 04:10
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景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 東海(現状)―(内閣府)
令和7年3月に行われた景気ウォッチャー調査の結果によると、東海地域の経済は、業種や業態、立地条件によって異なる表情を見せており、消費行動や企業活動にも濃淡が見られました。全体的には個人消費に回復の兆しが感じられる一方で、物価高やコスト増加に対する不安感、先行きの不透明さが消費と投資の動きを鈍らせている構図が浮かび上がっています。また、人手不足の深刻化や採用難も地域全体で共通している課題であり、企業の採用担当者にとっては戦略的な雇用施策がより重要性を増す局面となっています。
小売や飲食業では、花見シーズンの到来や気候の回復によって、来客数や売上が持ち直してきている店舗もあるものの、依然として価格に対する消費者の敏感さは強く、単価の上昇が購買行動に直接的な影響を及ぼしています。例えば、スーパーではキャベツや白菜の価格が下がったことによって一時的に購買意欲が回復したとの報告もあるものの、商品の継続的な値上げにより買上点数は伸び悩んでおり、平日の来客数減少もあって安定した売上に結びついていない状況です。特に、米の価格上昇が顕著であり、これが個人消費に強い影響を及ぼしているとする報告も多く見られました。
コンビニエンスストアでは、来客数が前年を上回っており、値上げを行った商品であっても販売量が減っていないという点で、堅調な推移が確認されています。来店者の平均客単価は730円程度に達し、小規模店舗ではわずか10人の来客増減が売上に直結するため、現場ではアプリクーポンの活用や丁寧な接客によって顧客維持に努めている様子が伝えられました。一方で、インバウンド需要に頼る形で売上を伸ばす店舗も増えており、夜間や週末に外国人客の来店が集中している傾向も見られています。
観光や旅行業界においては、団体旅行の需要が増加し、インバウンドの回復も相まって宿泊料の上昇が続いています。それでもなお客は旅行を予約しており、行楽需要は底堅さを見せています。ただし、一部の業者からは家計の負担増により費用を抑えた計画に変更する顧客も増えているとの報告もあり、国内旅行の堅調さと海外旅行の伸び悩みという二極化が進んでいる印象です。
住宅や不動産関連では、展示場の来場者数が天候の影響で増えているとの声がある一方で、住宅販売に関しては、値下げを重ねなければ売却に結びつかない厳しい状況が続いています。特に若年層では「頭金なし」「全額借入れ」「返済期間延長」といった購入スタイルが目立ち、物価高の影響による将来不安が住宅取得における大きな障壁となっています。また、リフォーム需要も多くの見積りが提示されているにもかかわらず、建材価格の高騰により施工には至らないケースが多く、時間と労力を費やす割に利益確保が難しいという業者の悩みも浮き彫りとなりました。
製造業の動向を見ると、化学工業や電気機械器具製造業の一部では、年度末の設備投資需要による受注増が報告されており、特に台湾向けの輸出が増加しているとする企業もあります。しかしながら、生産量自体は横ばいが続いており、材料費や人件費の上昇分を価格に転嫁できたとしても、利益の拡大には結びついていない現状です。輸送用機械器具製造業では、部品供給の遅れから一部車種の販売停止が続いており、営業担当者からは「売りたくても売る車がない」との声も上がっています。
雇用環境に関しては、年度末ということもあり、求人数と求職者数は共に増加傾向にあります。特に宿泊・飲食サービス業、医療、建設、製造などの業種で求人数が増えているとの報告があり、小売業でも人手不足の声が多く挙がっています。一方で、求人を出しても応募が少なく、ようやく採用してもすぐに退職してしまうという課題も顕著です。中小企業では賃上げが難しいという事情から、採用力の差が生まれ、優秀な人材は条件の良い企業へと流れている実態が浮かび上がってきています。特に求職者の間では「賃上げがあるなら転職しない」という傾向が強まり、現職に留まる人が多いことが、新規登録者数の前年比40%減少という数字にも表れています。
こうした現状において、企業の採用担当者に求められるのは、単なる採用枠の拡大ではなく、応募者との条件マッチングの強化と、長期的な定着を見据えた職場環境づくりです。求人数が増えても人が集まらない状況が続くなかで、給与や福利厚生、リスキリング支援などを含むトータルな人材戦略が今後の競争力を左右する要素となっていくことは間違いありません。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ