2025年4月15日
労務・人事ニュース
次世代船舶の世界市場でトップシェア獲得へ、国内13社参加で標準化した蓄圧式タンクとは
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
- アイリスト/社員募集/5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 01:10
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
- 「夜勤なし」/准看護師/オンコールなし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
アンモニア燃料タンクの標準化 ~次世代船舶の世界トップシェア獲得に向け、国内サプライチェーンを強化~(国交省)
令和7年3月28日、国土交通省は船舶分野における脱炭素化と競争力強化を両立させるための重要な取り組みとして、「蓄圧式アンモニア燃料タンク(Type-C)」に関する標準化を正式に発表しました。この取り組みは、今後拡大が見込まれる次世代環境対応型船舶の開発と普及を後押しするものであり、2030年には我が国がこの分野における世界の受注量のトップシェアを確保するという明確な目標のもとに進められています。特に、アンモニア燃料をはじめとする新燃料船の開発においては、燃料タンクを含む主要機器の標準化がサプライチェーンの強化とコスト競争力の確保に直結するため、今回の標準化は日本の海事産業にとって極めて重要なマイルストーンと位置づけられています。
今回標準化された「蓄圧式燃料タンク(Type-C)」は、アンモニア燃料を用いる次世代船舶の中核的な技術要素の一つであり、船種を問わず幅広く搭載されることが想定されています。これにより、造船所やタンク製造企業は、設計の共通化や生産プロセスの効率化が可能となり、製造コストの低減や納期短縮といったメリットが期待されます。また、設備投資判断の明確化や調達リスクの抑制にもつながり、国際的な競争環境の中でも有利な立場を築くことが可能となります。
この標準の策定にあたっては、国土交通省が主導する「船舶産業の変革実現のための検討会」において、産官学の海事関係者が連携し、2024年7月から議論が本格化しました。メンバーには、海運業界から川崎汽船、商船三井、日本郵船といった大手企業、造船業界からは今治造船、大島造船所、川崎重工業、三菱造船など、計10社以上が名を連ねており、さらには舶用機器関連企業、造船工業会、日本船舶技術研究協会なども参加しています。このように幅広い関係者が一丸となって標準化作業を進めたことは、業界全体の意識統一と今後の実装促進において大きな推進力となっています。
検討会においては、タンクメーカーなどの生産能力に大きく関わるタンク直径など、製造に不可欠な最小限の要素について合意形成が図られました。特に、船種ごとに異なる搭載環境に対応するための柔軟性を残しつつ、主要寸法や形状、圧力基準、安全性確保のための設計条件などについて、共通仕様が定められました。これにより、個別設計の手間を減らし、量産体制の確立を可能とする技術的基盤が整いました。
国土交通省は、標準の策定だけでなく、今後はその普及促進に向けた支援策の具体化にも着手する方針です。支援内容としては、試作費用の補助、量産対応への設備投資支援、さらには国際基準化機関との連携を通じたグローバルスタンダード化の推進などが検討されています。これにより、国内企業の国際競争力を高めると同時に、日本発の技術規格を世界に広めることも視野に入れています。
環境面での意義も大きく、従来の重油燃料からアンモニア燃料への転換は、温室効果ガス排出削減に直結します。アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないことから、IMO(国際海事機関)の定めるGHG排出削減目標達成に向けた有力な選択肢とされており、同時にその貯蔵・供給における安全性と経済性のバランスが極めて重要視されています。今回の標準化は、アンモニアを船舶燃料として本格導入する際のボトルネック解消につながり、サステナブルな海運システム構築への道を大きく切り拓くものとなります。
国内の海事産業にとって、この標準化は人材戦略や設備投資、さらには技術開発方針の再構築に直結する重要課題です。設計部門においては、新標準に基づくモジュール開発が求められ、製造現場では標準タンクに即した生産ラインの整備や品質管理体制の見直しが急務となります。また、調達部門においては、サプライヤーとの連携強化と部材の安定確保が課題となり、人事部門ではこのような変革を支える専門人材の確保・育成がますます重要性を増しています。
今後、標準に基づいた技術を軸に各企業の技術力やサービス力が競われるフェーズに移行していく中で、標準化に即応した開発・設計・製造能力を備えることが企業競争力の鍵となります。また、標準対応による納期短縮やコスト低減は、顧客企業にとっても大きな付加価値となるため、BtoB営業の現場においても本標準の理解と活用が新たな商談獲得の材料となることは間違いありません。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ