2025年5月2日
労務・人事ニュース
正社員有効求人倍率1.05倍、令和7年3月に見る安定雇用ニーズの高まり
- アイリスト/西新駅/社員募集/5月2日更新
最終更新: 2025年5月2日 01:06
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最終更新: 2025年5月2日 04:10
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一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について(厚労省)
令和7年5月2日、厚生労働省は令和7年3月分および令和6年度分の一般職業紹介状況を公表しました。この発表によれば、令和7年3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.26倍となり、前月に比べて0.02ポイント上昇しました。また、新規求人倍率(季節調整値)は2.32倍で、こちらも前月比で0.02ポイントの上昇となっています。正社員有効求人倍率についても、同様に前月比で0.02ポイント上昇し、1.05倍を記録しました。これらの数値から、労働市場において企業側の採用意欲が引き続き堅調であることが伺えます。
3月の月間有効求人数は前月比で0.3%増加しましたが、月間有効求職者数は1.2%減少しています。新規求人に関しては、原数値ベースで前年同月比3.0%の減少となりました。産業別にみると、情報通信業では前年比8.2%の増加、宿泊業・飲食サービス業でも3.3%の増加が見られました。一方、卸売業・小売業は7.7%減、生活関連サービス業・娯楽業は6.9%減、教育・学習支援業も6.2%の減少を記録しています。これは、産業ごとの需要の変化や景気動向、消費者行動の変化を反映しているものと考えられます。
都道府県別に見ると、就業地別では福井県が最も高く1.84倍、大阪府が最も低く1.04倍となっています。また、受理地別では東京都が1.76倍で最高、神奈川県が0.90倍で最低という結果でした。これにより、地域ごとの求人状況にも大きな差があることが明らかになりました。福井県のような高倍率地域では人材確保がますます困難になる一方、大阪府や神奈川県では求職者にとってより多くの選択肢がある状況と言えるでしょう。
令和6年度全体を通じた平均有効求人倍率は1.25倍となり、前年度の1.29倍から0.04ポイント低下しました。平均有効求人数は前年度比で3.0%減少し、平均有効求職者数は0.2%増加しています。この数字からは、採用側がやや慎重な姿勢を取るようになったことが推測されますが、依然として求人数は求職者数を上回っており、全体としては「売り手市場」が続いている状況です。
さらに注目すべきは、正社員有効求人倍率が引き続き上昇している点です。正社員を希望する求職者にとっては、選択肢が広がりつつある一方で、企業にとっては質の高い人材を確保するための競争が激化していることが読み取れます。ただし、正社員有効求人倍率の算出方法には注意が必要であり、派遣労働者や契約社員を希望する求職者も含まれているため、厳密な意味での正社員求人倍率よりもやや低めの数値となっています。
産業別の動向に目を向けると、情報通信業界の好調さが際立っています。デジタル化の進展やIT需要の高まりに支えられ、引き続き高い成長率を示しています。一方で、卸売業・小売業、生活関連サービス業、教育業界では厳しい状況が続いており、特に小売業においては消費行動の変化や人手不足が深刻な課題となっています。また、宿泊業・飲食サービス業の求人が増加している背景には、国内観光需要の回復やインバウンド需要の拡大があると考えられます。
なお、ハローワークインターネットサービスの機能拡充に伴い、令和3年9月以降の数値には、来所せずオンラインで求職登録した求職者数や、オンライン応募による就職件数などが反映されています。このため、以前と比較する際には、数値の取り扱いに一定の注意が必要です。
今回のデータは、企業の採用戦略を見直す上でも非常に重要な示唆を与えています。特に有効求人倍率が高い地域では、採用活動をいかに効率化し、求職者にとって魅力的な条件を提示できるかが成否を分けるポイントとなるでしょう。また、成長産業における採用強化や、採用ターゲット層の見直しも求められています。令和7年度に向けた採用計画を立てる際には、今回発表された具体的な数値を十分に参考にし、自社にとって最適な人材確保策を練る必要があります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ