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2025年8月19日

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求人倍率1.13倍となった長崎県2025年6月、企業がいま強化すべき採用ポイント

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長崎県の雇用失業情勢(令和7年6月分)について(長崎労働局)


この記事の概要

2025年6月の長崎県における有効求人倍率は1.13倍で、前月と同水準を維持しました。新規求人倍率は1.72倍となり、求職者よりも求人の方が多い状況が続いていますが、業種ごとに求人減少が目立つ中、企業にはより戦略的な採用活動が求められています。


2025年6月、長崎県における有効求人倍率は1.13倍という結果となり、これは前月とほぼ変わらない水準であり、45か月連続で1.1倍以上という安定した推移を示しています。この倍率は、求職者一人に対して1件以上の求人があることを意味しており、一見すると企業にとっては人材確保のチャンスと捉えることができます。しかし、実際の採用活動においては数字の背景を読み解き、業種や地域、雇用形態などに応じた柔軟な対応が必要です。

まず、有効求人倍率を構成する要素である有効求人数と有効求職者数に着目すると、6月の有効求人数は25,076人で前月比1.4%の減少、有効求職者数は22,118人で前月比1.7%の減少となっています。つまり、求人も求職も減少している状況ですが、その差が一定であるために倍率は維持されているに過ぎず、企業にとっては人材獲得の難易度が徐々に高まっていることを示唆しています。

次に注目すべきは、新規求人倍率です。6月の新規求人倍率は1.72倍で、前月より0.08ポイントの低下となりました。新規求人の数は8,261人で前月比7.0%の減少、新規求職者数は4,815人で2.2%の減少となっています。つまり、新規に求人を出す企業が減り、それに応募する求職者も減っているものの、企業の採用ニーズの方が依然として高いという構図が続いています。

ただし、産業別に見ていくと状況は一様ではありません。たとえば建設業では929人の新規求人があり、前年同月比で4.7%の増加を記録しました。これに対して製造業は710人で11.1%の減少、宿泊業・飲食サービス業は348人で19.3%減、医療・福祉分野では2,659人で11.0%減と、主要産業の多くで求人が減少傾向にあることがわかります。企業の採用担当者としては、こうした産業ごとの動向を的確に捉え、自社が属する業界の中でどのようなポジションにあるのかを理解したうえで戦略を立てることが不可欠です。

さらに、雇用形態別に見ると、フルタイム求人は前年同月比で7.2%減少、パートタイム求人も8.5%減少しています。これは雇用の全体的な慎重化を反映しており、企業側が新規雇用に対してより選別的になっていることを示しています。採用の失敗が企業にとってコスト面・組織面の両方で大きな負担となる今、人材の定着率や長期的な貢献度を重視した採用方針が求められています。

求職者の側にも変化が見られます。新規求職者数は4,666人で前年同月比3.7%の増加となり、これは6か月ぶりの増加です。内訳をみると、フルタイム希望者は3.0%増、パート希望者は4.7%増と、雇用形態を問わず求職活動が活発化しています。また、離職者は6.5%増、在職中の求職者は2.0%増、無業者は7.1%減と、働く意思のある人々が市場に戻ってきている傾向が見て取れます。企業はこうした動向を踏まえ、採用対象を広げると同時に、求職者の背景やニーズに寄り添った提案ができるかどうかが問われます。

正社員の有効求人倍率は1.05倍で、前年同月と同水準となっており、企業が長期雇用を前提とした人材を求めていることがうかがえますが、それに応じた求職者が十分に確保できていない状況もまた事実です。このような環境下では、企業側が提示する条件をより具体的かつ柔軟にすることが求められます。たとえばキャリアアップ支援制度や在宅勤務の導入、業務内容の明確化など、求職者にとっての魅力を具体的に示すことで、応募意欲を高めることができます。

地域別に見ても、ハローワークごとの求人倍率には大きな差があります。たとえば対馬所では1.38倍と高水準を維持している一方で、江迎所では0.85倍と1.0倍を下回る水準です。このような地域差は、同じ県内であっても採用活動の難易度が大きく異なることを意味しており、地元での人材確保が難しい場合には、隣接エリアやリモート勤務なども視野に入れる柔軟な対応が不可欠です。

さらに、長崎県全体としては、物価上昇などの外的要因が今後の雇用情勢に与える影響も指摘されています。採用活動においても、従業員の生活コストを考慮した給与設定や、物価変動に柔軟に対応できる手当制度の見直しなど、現実に即した雇用環境の整備が重要です。

総じて、2025年6月の長崎県における有効求人倍率1.13倍という数字は、表面的には安定した雇用市場を表していますが、その内実には多くの課題とチャンスが混在しています。企業の採用担当者は、数字だけを見て判断するのではなく、その背景にある求職者の動向や業界別の傾向、地域の特性などを多角的に分析し、より実効性のある採用戦略を構築する必要があります。

この記事の要点

  • 2025年6月の長崎県有効求人倍率は1.13倍で45か月連続で1.1倍以上を維持
  • 新規求人倍率は1.72倍で求人意欲は高いが前月からはやや減少
  • 製造業や医療・福祉など主要産業の求人が軒並み減少している
  • フルタイム・パートタイム問わず求職者が増加し採用の競争が激化
  • 地域ごとの求人倍率にばらつきがあり採用戦略の地域最適化が不可欠
  • 物価上昇の影響も考慮し給与や待遇の見直しが必要
  • 採用条件の明確化と柔軟性が応募者増加と定着率向上の鍵となる

⇒ 詳しくは長崎労働局のWEBサイトへ

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