2025年6月13日
労務・人事ニュース
消費と投資が回復基調に!雇用環境の改善が示す企業採用戦略の転換点(6月月例経済報告)
- 介護職員/初任者研修/有料老人ホーム/デイサービス/日勤のみ
最終更新: 2025年6月13日 03:01
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最終更新: 2025年6月12日 23:00
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最終更新: 2025年6月13日 01:01
- 訪問看護師/即日勤務可
最終更新: 2025年6月13日 09:36
6月月例経済報告(内閣府)
令和7年6月の月例経済報告によれば、日本経済は全体として緩やかに回復基調にあるものの、米国の通商政策などを背景に、先行きにはいくつかの不確実性が残っていることが強調されています。特に企業活動や雇用、投資といった主要な経済指標においては、足元の回復の兆しが見られる一方で、世界的な貿易摩擦や金融市場の変動、さらには物価の上昇といったリスク要因が経済成長の重しとなる可能性が示唆されています。
まず、個人消費の動向についてですが、消費者の心理は依然として慎重な傾向が続いているものの、雇用環境や所得の改善に支えられて、消費活動は持ち直しの動きを見せています。2025年1~3月期の四半期GDP速報によると、民間最終消費支出は前期比で0.1%増となっており、堅調な動きが確認されました。また、消費動向指数や小売業販売額のデータからも、小売業が前月比0.5%増、新車や家電の販売において回復の兆しがみられています。ただし、旅行や外食などの消費項目には横ばいや緩やかな増加にとどまるものもあり、個人消費全体の勢いは限定的といえます。
企業の設備投資も同様に持ち直しの動きが見られ、法人企業統計では、2025年1~3月期における設備投資は前期比で1.6%増加しました。中でも非製造業の設備投資は2.4%増と堅調な伸びを示しており、省力化やデジタル投資を背景にした積極的な設備更新が進んでいます。日本銀行の短観調査では、2024年度および2025年度の設備投資計画も増加が見込まれており、将来的な生産性向上を見据えた動きが顕著です。特に、機械受注の増加や建築工事費予定額の上昇など、先行指標もポジティブな兆候を示しています。
住宅建設については、おおむね横ばいの状態が続いていますが、建築基準法などの改正に伴う駆け込み需要の反動で、2025年4月の新設住宅着工戸数は前月比42.0%減の年率62.6万戸となる大幅な減少が見られました。これにより、持家、貸家、分譲住宅すべてのカテゴリで軟調な動きが観測されています。今後は法改正の影響が一巡すれば、徐々に回復基調に転じる可能性もあるものの、短期的には横ばい推移が続く見込みです。
公共投資については、底堅く推移しており、2025年3月の公共工事出来高は前月比4.8%増と好調でした。また、政府は令和6年度補正予算において約2.4兆円を公共事業関係費として追加計上し、前年同期比では1.4%の増額となっています。これにより、今後も一定の経済下支え効果が期待される一方で、地方財政計画では横ばい傾向が続くことから、地域差や業種によって受ける影響には差が生じる可能性があります。
輸出と輸入に関しては、いずれもこのところ持ち直しの動きが見られており、特にアジアや米国向けの輸出は堅調です。ただし、米国の関税引き上げ措置が貿易収支に与える影響は依然として大きく、2025年4月の貿易収支は赤字ではあるものの、赤字幅は縮小しました。輸入はアジアからの品目を中心に回復傾向にあり、供給面での安定が国内産業活動にとってもプラスに作用する可能性があります。
生産については、鉱工業生産指数が2025年4月に前月比0.9%減とわずかに低下したものの、電子部品やデバイス分野では回復の兆しが見られています。業種によって明暗が分かれており、輸送機械や生産用機械は横ばいが続いています。また、第3次産業活動指数では持ち直し傾向が確認されており、サービス業を中心とした内需の底堅さが一定の支えとなっています。
企業収益については、全体として改善傾向にあり、2025年1~3月期の経常利益は前年同期比で3.8%増と発表されています。とりわけ非製造業が前年比7.0%増と高い伸びを示している点は注目されるべきです。一方、製造業は2.4%減にとどまり、輸出依存の高い業種では通商問題の影響を強く受けていることが分かります。企業規模別では、大・中堅企業の利益が前年比3.4%増、中小企業が4.6%増となっており、規模にかかわらず全体としては堅調な収益構造が構築されつつあります。
雇用情勢も改善傾向にありますが、完全失業率は2.5%と横ばいで、雇用者数や労働力人口に若干の減少が見られました。ただし、賃金は総じて増加しており、定期給与や現金給与総額も上昇基調にあります。民間職業紹介の統計では、正社員の求人増加に鈍化が見られる一方、パート・アルバイトの求人は緩やかな減少傾向を示しています。日本銀行の短観調査においても、人手不足感が依然として強く、全産業における雇用人員判断DIはマイナス37と高い水準にあります。
物価面では、企業向け物価や消費者物価のいずれも上昇が続いており、2025年4月の「コアCPI(生鮮食品とエネルギーを除く総合)」は前年比2.8%増、固定基準では3.0%増という水準となっています。消費者の間でも物価上昇を予想する声が強まっており、5月時点で「1年後に物価が5%以上上がる」と答えた割合は全体の31.0%に達しました。これは消費行動に抑制的な影響を与える要因であり、今後の景気推移における重要な注視点といえます。
こうした経済状況を踏まえて、政府は令和6年度補正予算や令和7年度予算を着実に執行し、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を展開しています。また、米国の関税措置への緊急対応パッケージの実施や「経済財政運営と改革の基本方針2025」の策定を通じて、政策対応にも万全を期す姿勢が取られています。日本銀行との連携も強化されており、物価と賃金の好循環を確認しながら2%の物価安定目標の持続的達成を目指す方針です。
企業の採用担当者にとっては、こうした経済環境の中での人材確保や労働市場の動向を的確に把握することが、今後の採用計画や人事戦略の策定において極めて重要となります。特に、労働市場の流動性が高まりつつある中で、いかに優秀な人材を早期に確保し、長期的に育成していくかが企業の持続的成長の鍵となります。
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