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2025年6月20日

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熱中症による死者31人、死傷者の4割が建設・製造業に集中した2024年

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令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します(厚労省)

令和6年における職場での熱中症による死傷災害の発生状況が確定し、厚生労働省から公表されました。統計開始以来、最多の被害者数が記録される結果となり、企業における安全衛生対策の一層の強化が求められています。

2024年の職場における熱中症による死傷者数は、過去最多となる1,257人に達し、前年から約14%(151人)の増加となりました。このうち死亡者は31人で、前年と同数でした。死傷者のうち約4割が建設業および製造業で発生しており、特に死亡者については建設業で10人、製造業で5人となっており、重篤な症状の発見が遅れる、または適切な医療機関への搬送が行われなかった事例が多数確認されています。

業種別にみると、建設業と製造業が最も多く、建設業は5年間で961人(死亡者54人)、製造業は897人(死亡者19人)と、どちらも高い水準で推移しています。さらに運送業(659人)、警備業(497人)、商業(464人)と続き、死傷者の発生は特定の業種に集中している傾向があります。これらの業種では、高温環境下での肉体労働や屋外作業が多く、熱中症へのリスクが常に伴っています。

また、発生の時期については、7月と8月の2か月間に全体の約8割が集中しており、死亡者の大半もこの期間に発生しているという傾向が明らかになっています。特に2024年は7月に588人、8月に431人が被災し、死亡者もそれぞれ17人、13人と集中しました。

時間帯別では、午前中から午後3時にかけての時間帯に被害が多く見られますが、すべての時間帯にわたり発生しており、特に午後3時から5時にかけての時間帯には、気温のピークと重なることから重篤化しやすいことが懸念されます。また、夕方以降や作業終了後の死亡事例も複数報告されており、作業終了後の健康管理の重要性が改めて問われます。

年齢別では、死傷者の約56%が50歳代以上で占められており、死亡者については約67%がこの年齢層に集中しています。高齢労働者は身体機能の低下などにより熱中症のリスクが高く、死亡に至る割合も高くなる傾向が見受けられます。企業側には年齢に応じたリスク評価と作業配慮が求められます。

死亡災害の個別事例では、初期対応の不備や暑さ指数(WBGT)を把握していなかった事例が全体の大半を占めており、また、事前の労働衛生教育が実施されていなかったケースも14件確認されています。特に、糖尿病や高血圧といった既往症が熱中症の発症要因と考えられる事例が21件に上ることから、健康管理を含めた労働者個人への対応の強化が必要とされます。

こうした状況を踏まえ、厚生労働省では2024年6月1日から労働安全衛生規則第612条の2を施行し、職場における熱中症防止対策の強化を義務付けました。具体的には、作業中の労働者の健康状態を把握する体制を整えること、重篤化を防ぐための措置手順を策定し、それを全関係者に周知することが求められています。

さらに、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」が5月1日から9月30日まで実施されており、暑さ指数(WBGT)に基づく対策の実施や、事前の労働衛生教育、健康状態への配慮などを重点項目として掲げています。

企業においては、単に法令を遵守するだけでなく、実効性のある安全管理体制を構築することが求められます。とくに中小企業では、暑さ対策の体制が不十分である場合が多いため、教育・訓練の徹底と、日常の健康チェック体制の整備が急務です。また、WBGT計の活用や作業時間の調整、冷房設備や休憩スペースの整備など、労働者が安心して働ける環境づくりが企業の信頼にも直結します。

この公表を契機に、職場での熱中症対策が一層の具体化と強化を図られることが望まれます。人命に関わる重要なテーマであるだけに、採用担当者をはじめとする企業経営層が真摯に向き合う必要があります。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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