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2025年6月20日

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生成AIや量子に加え鉄鋼・造船まで対象拡大、産業基盤強化アクションプラン再改訂

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「経済安全保障に関する産業・技術基盤強化アクションプラン再改訂版」を公表しました(経産省)

2025年5月30日、経済産業省は「経済安全保障に関する産業・技術基盤強化アクションプラン」の再改訂版を公表しました。これは、急速に変化する国際情勢と技術革新の進展に対応し、日本の産業と技術の基盤を経済安全保障の観点から強化することを目的としています。このアクションプランは、わずか1年前の2024年5月に改訂されたばかりですが、その後の1年間で、我が国を取り巻く経済安全保障環境は想定以上の速さで変化し、より一層厳しさを増す状況となっています。このため、再度の見直しが不可欠であると判断されました。

経済安全保障の文脈では、これまで主に軍事や安全保障に直結する領域での対策が中心でしたが、現在ではその射程が大きく拡大しています。特に注目されているのが生成AIや量子コンピュータなどの先端技術領域であり、これらの分野では世界の主要国による開発競争が激化しています。さらに、鉄鋼や造船といった従来型の製造業においても、サプライチェーンの再構築や技術革新が求められており、日本企業の競争力をいかに維持・強化するかが重要な課題となっています。

このアクションプランでは、先端技術の自律的な開発能力の強化や、代替が効かない重要技術・素材の確保といった視点が特に重視されています。これは、他国に依存しない経済構造の確立を目指す「経済の自律性」と、国際社会にとって不可欠な存在となる「不可欠性」の両立を実現することが目的です。日本が将来的に技術的・産業的に世界において欠かせない存在であり続けるためには、リスクに対応できる強靱な基盤が求められます。

加えて、宇宙、海洋、極地といった新たな戦略領域におけるプレゼンスの確保も重要視されています。これらの領域では、既に米国や中国などの大国が積極的な投資と政策を進めており、日本としても技術力と人材力を総動員して、戦略的な技術確保に取り組む必要があります。例えば、宇宙産業に関してはロケット打ち上げ能力の維持向上や、衛星関連技術の民生転用などが検討されています。また、海洋に関しては資源探査や通信インフラの強化などが想定されています。

このような状況を踏まえて、政府は今回のアクションプランの再改訂を通じて、国家としての技術戦略を再定義し、産業界と連携しながら強固な産業・技術基盤の構築を目指すと明言しています。特に注目すべきは、再生可能エネルギーや次世代電池といったエネルギー分野への注力です。これらは製造業やIT産業の基盤を支える重要インフラであり、その安定供給は経済活動全体の安全保障と直結します。

また、政府はこのアクションプランの実行にあたり、関係省庁との連携だけでなく、民間企業や研究機関との協力体制の強化にも言及しています。これは、経済安全保障がもはや一部の専門分野の課題ではなく、産業界全体の将来を左右する国家的なテーマであることを示しています。さらに、アクションプランの運用にあたっては、KPI(重要業績評価指標)などの具体的な評価指標を設け、進捗管理を徹底する方針が打ち出されています。これにより、各分野での取り組みが実効性を伴って進められることが期待されています。

現在の経済安全保障を巡る環境変化を、単なる脅威としてではなく、日本の産業・技術基盤の飛躍の契機として捉える姿勢は、今後の経済政策の方向性を象徴するものでもあります。たとえば、量子コンピューティングの分野では、2025年までに世界トップクラスの研究拠点を整備することや、AI分野では2026年までに国内の半導体生産能力を倍増させる目標が掲げられています。これらの数値目標は、日本が再び技術大国としての地位を確保するための意志を示しているとも言えるでしょう。

このような取り組みは、単に国家の安全保障を強化するだけでなく、長期的には雇用創出や地方経済の活性化など、波及的な効果も期待されます。企業にとっては、今後の経済安全保障政策の動向を的確に把握し、自社の研究開発や事業展開にどう組み込んでいくかが、競争力を左右する大きな鍵となるでしょう。

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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