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2025年5月15日

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生活保護受給者199万人時代、採用活動に求められる新たな社会的責任とは

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被保護者調査(令和7年2月分概数)(厚労省)

厚生労働省が発表した最新の生活保護被保護者調査、令和7年2月分の概数結果によれば、全国の被保護実人員数は1,998,606人となりました。これは前年同月比で18,649人、率にして0.9%の減少となっています。長年課題とされてきた生活保護受給者数の増加傾向に歯止めがかかっていることを示すものであり、社会福祉政策の一定の効果が現れつつある兆しといえるでしょう。また、保護率についても人口百人対で1.63%から1.62%へと微減しており、総体的な生活保護依存度もわずかながら低下しています。

続いて被保護実世帯数を見ていくと、1,646,229世帯で、こちらも前年同月比で3,446世帯減少しており、減少率は0.2%となっています。世帯単位での生活保護受給も着実に減少傾向にあることがうかがえます。こうしたデータは、景気の回復や雇用環境の改善、また各種自立支援策の効果が徐々に浸透してきた可能性を示唆しており、政策担当者にとっては今後の施策立案に向けた重要な指標となるでしょう。

世帯類型別に内訳を見てみると、高齢者世帯が最も多く897,525世帯となり、全体の54.8%を占めています。単身世帯は836,077世帯で全体の51.1%を占め、2人以上の世帯は61,448世帯で全体の3.8%という結果になりました。注目すべきは、母子世帯の減少傾向であり、62,286世帯と前年同月から3,210世帯減少しており、減少率は4.9%に達しています。これは支援施策の拡充により、母子家庭が生活保護に依存せずに自立できる環境が徐々に整ってきたことを意味している可能性があります。

障害者・傷病者世帯は415,987世帯で全体の25.4%を占め、前年同月比で2,200世帯増加しており、0.5%の増加率を記録しました。この数字は、障害者支援政策のさらなる拡充が求められる現状を浮き彫りにしています。また、その他の世帯も261,510世帯と前年同月比で1,767世帯増加しており、こちらも0.7%の増加率となりました。これらの結果から、高齢者世帯以外でも支援ニーズが高まっている層があることが明らかになり、多様化する生活困窮者像に対応した柔軟な支援体制の構築が今後の課題となるでしょう。

次に保護の申請件数を見ていきますと、令和7年2月における申請件数は19,078件であり、前年同月比で656件増加し、増加率は3.6%に達しました。これは、景気回復基調にある一方で、生活の厳しさを感じる層が依然として一定数存在することを示しています。申請件数の増加は、生活保護制度に対するアクセスの改善や、制度そのものへの理解が進んだ結果とも考えられます。

保護開始世帯数に関しては17,527世帯で、前年同月比で616世帯増加しており、増加率は申請件数と同じく3.6%でした。この数値は、申請から実際に保護開始に至るケースが増加していることを示しており、行政手続きの迅速化や、必要とする人への的確な支援提供が進んでいる可能性を示唆しています。

総じてみると、被保護実人員数と世帯数は減少傾向にある一方で、申請件数および保護開始件数は増加しているという二面性が今回のデータから浮かび上がっています。この現象は、一部では生活保護制度への心理的ハードルが下がり、困窮した際に早期に支援を求める意識が広まっていることの現れとも考えられます。しかし、同時に支援が必要な人々が依然として存在している現実を如実に物語っており、今後も生活保護制度の機能強化が求められます。

このような状況下で、企業の採用担当者にとっても、今回の調査結果は無視できない意味を持ちます。労働市場における脆弱な層への対応策を講じることで、自社の社会的責任を果たすと同時に、持続可能な人材確保にもつなげることができます。例えば、シニア人材の活用、障害者雇用の促進、シングルマザー支援を兼ねた職場環境整備などは、今回のデータで示されたニーズに直結する取り組みです。また、生活困窮者への就労支援プログラムを設けることで、社会貢献と人材獲得の両立を図ることも可能になります。

今後は、生活保護受給者数の減少傾向をさらに後押しするためにも、官民一体となった包括的な支援策が必要とされるでしょう。その中で企業は重要な役割を担うことになり、特に採用現場では、単なる労働力確保にとどまらず、社会包摂の視点から新たな採用戦略を検討することが求められています。働く意欲がありながらも就労機会に恵まれない人々に対して、適切なトレーニングやサポートを提供することが、企業の競争力強化にも直結するはずです。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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