労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 病院の外来患者数が24,368人増、医療事務スタッフの採用ニーズが急上昇(令和7年2月分概数)

2025年5月23日

労務・人事ニュース

病院の外来患者数が24,368人増、医療事務スタッフの採用ニーズが急上昇(令和7年2月分概数)

Sponsored by 求人ボックス

病院報告(令和7年2月分概数)(厚労省)

令和7年2月に公表された病院報告によると、日本全国の病院における医療提供体制に関する最新の統計が明らかとなりました。特に注目すべきは、入院患者数や外来患者数の動向、病床の利用状況、そして平均在院日数の変化です。これらのデータは医療機関の経営状況や人員配置に大きな影響を与えるものであり、医療業界における採用や人材戦略の立案にも直結しています。今回の報告から読み取れる傾向や変化を、わかりやすく丁寧に読み解いていきます。

まず、全国の病院における1日平均の患者数は、入院患者が117万408人、外来患者が118万2945人という結果でした。入院患者数は前月比で1万1657人の増加となり、医療需要の高まりがうかがえます。特に一般病床における入院患者数は255,353人と、前月より1,109人増加しています。これは季節的な影響や感染症の流行といった要因が考えられ、急性期医療に対するニーズが引き続き高いことを示しています。一方で、感染症病床の患者数は322人から265人へと減少し、医療現場ではコロナ禍のピーク時とは異なるフェーズへ移行している様子がうかがえます。

月末時点の病床利用率に目を向けると、病院全体では78.6%で、前月の79.0%から0.4ポイントの微減となりました。しかしながら、依然として8割近い利用率を保っており、病院の稼働状況は高水準にあるといえます。特に精神病床では85.7%と、他の病床種別と比較しても非常に高い稼働率が続いており、長期入院のニーズが根強いことが読み取れます。また、一般病床でも80.5%の高い利用率が維持されており、急性期医療の需要が安定して高い水準で推移していることがうかがえます。感染症病床は12.7%と引き続き低水準である一方で、前月比では1.1ポイントの増加が見られ、季節要因などによる変動が影響していると考えられます。

次に、平均在院日数に関するデータでは、全体の平均が25.7日で、前月の26.7日から1.0日短縮されました。これは入院期間の短縮化が進んでいる兆候であり、診療報酬改定や在宅医療の推進といった政策の影響も反映していると考えられます。病床種別で見ると、精神病床は109.8日と依然として長期入院が一般的である一方、一般病床では16.0日と短期化が進んでおり、急性期から回復期への移行が迅速になっていることがうかがえます。また、療養病床では52.6日と前月比で5.3日延長しており、高齢者の慢性疾患や終末期医療の対応において、より長期的な入院が求められている現状が浮き彫りになっています。

外来診療の状況も注目すべき点です。令和7年2月の外来患者数は118万2945人となり、前月の115万8577人から2万4368人の増加となりました。これは年度末にかけての健康診断や通院需要の増加、または気候変動に起因する体調不良の増加など、複数の要因が重なっている可能性があります。診療所単位では外来患者数が1,486人と前月比38人の増加となっており、地域医療機関における需要の高まりも確認できます。こうした動きは、地域包括ケアやかかりつけ医機能の強化といった医療制度の変革とも連動しており、診療所における人員確保の重要性を浮き彫りにしています。

病床ごとの詳細な分析に目を向けると、療養病床の病床利用率が76.1%と前月比で0.7ポイント減少しており、一定の回転が見られます。療養病床は高齢者や慢性疾患の患者が中心となるため、季節性の影響や介護施設への移行などが関連していると推測されます。一方で、結核病床では月末病床利用率が24.1%と非常に低く、医療資源の活用効率という観点からは再編の必要性も論点となるでしょう。

このような医療現場の動向は、医療機関の人材採用戦略に大きく関わります。例えば、入院患者数の増加や病床稼働率の高止まりを背景に、病院側では看護師や看護補助者、医療事務スタッフの補充が急務となっています。特に精神病床の稼働率が85%を超えていることから、精神科領域の看護職員やソーシャルワーカーの確保が今後の安定的な運営に不可欠となるでしょう。また、在院日数の短縮化が進むなかで、退院支援や地域連携に強い人材の採用も重要性を増しています。加えて、療養病床における在院日数の延伸は、介護職やリハビリスタッフへの需要が根強いことを示しており、採用計画においては地域の高齢化動向も見据える必要があります。

医療従事者の確保だけでなく、外来患者数の増加に対応するためには、受付業務や会計業務、診療補助を担うスタッフの体制強化も求められます。特に診療所では少人数体制であるため、複数の業務を兼任できる多能工型の人材が求められる傾向にあります。加えて、電子カルテや予約システムなどのデジタル技術の導入が進むなかで、ITリテラシーを持った人材の採用が競争力を左右する要素となっています。

令和7年2月の統計結果からは、日本の医療現場が多様な課題と向き合いながらも、需要に応じて柔軟に対応している姿が見て取れます。その一方で、病床種別ごとの稼働率や在院日数の違いからも分かる通り、すべての医療機関が同じ課題を抱えているわけではなく、施設ごとに必要な人材や対策も異なります。企業の採用担当者にとっては、これらの医療動向を的確に把握し、自社が関わる分野に応じた採用戦略を構築することが、今後の人材確保と医療サービスの質向上に直結する重要な鍵となります。

以上のように、令和7年2月分の病院報告は、医療機関の経営や人材配置にとって多くの示唆を含むデータとなっています。特に採用担当者にとっては、地域や診療科の特性を踏まえた具体的かつ戦略的な人材確保が求められる局面に差し掛かっており、データに基づいた意思決定が強く求められる時代であることを改めて感じさせる内容となっています。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ