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2025年6月26日

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白物家電が前年比120%増の販売好調、中国地方で進む消費の二極化とは(令和7年5月)

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景気ウォッチャー調査(令和7年5月調査)― 中国(現状)―(内閣府)

令和7年5月に実施された中国地方における景気ウォッチャー調査の結果は、地域経済の現状と今後の見通しに関して、さまざまな分野の動向が浮き彫りとなる内容となっていました。家計、企業、雇用の3つの柱で構成されるこの調査は、現場に即した視点から地域景気の肌感を詳細に捉えるものであり、特に採用担当者が注視すべきトピックが多数含まれています。

まず、家計動向に関しては、全体として物価高騰の影響が広範囲に及んでいることが明らかになりました。スーパーでは来客数自体は前年並みを維持しているものの、買い物かごに入る商品の点数が減少し、特売商品への依存度が高まっていることが顕著です。中には米の価格上昇が続き、消費者の「米離れ」が進んでいるという報告もあり、日常生活における価格感度の高まりが強く反映されています。家電量販店では冷蔵庫やエアコン、洗濯機などの白物家電の販売が前年比で120%を超える伸びを示した一方で、衣料品や贅沢品に関しては節約志向が強まり、価格を理由に購入を控える消費行動が広がっています。さらに、旅行代理店の調査では、円安の影響を上回る形で物価高が旅行需要を抑制しており、特に海外旅行の低調が続いています。

企業動向においても業種ごとの明暗がくっきりと分かれています。輸送機械器具製造業やICT関連企業などでは、受注の増加や需要の拡大が報告され、会計事務所でも新年度に合わせた案件のスタートが多く、比較的好調な様子がうかがえます。しかしその一方で、繊維業や建設業、さらには電機関連産業では米国の関税政策や原材料の価格上昇による影響を受けて、受注の減少や生産調整の傾向が見られます。例えば、自動車関連部品の製造業では、関税の影響から生産が70%まで落ち込んだという深刻な報告も出ており、国際的な政策変動が地域経済に及ぼす影響の大きさを再認識させられます。また、通信関連企業ではクラウドサービスやデータセンター需要の増加といった明るい話題がある一方で、価格競争の激化や顧客の価格感度上昇による契約単価の低下といった課題も浮上しています。

住宅や不動産の分野では、GX補助金や金利の動きなどから一時的に関心が高まっているという声もある一方で、顧客からの問い合わせが減少しているという報告もあり、安価な物件以外では来場者数が顕著に低下しているという実態が明らかになっています。さらに、都市型ホテルでは、インバウンドによる宿泊需要が一定程度の効果をもたらしているものの、単価の大きな上昇には結びついておらず、地方都市における観光需要の回復にはばらつきが見られます。

こうした経済状況の中、雇用に関する調査結果も重要な示唆を含んでいます。まず、2026年新卒の内定保有率が4月末時点で70%に達しており、前年と比較して10ポイント上昇していることは、採用市場が依然として求職者優位の「売り手市場」であることを意味しています。文系では70%、理系では45%の学生が内定を保持しつつ就職活動を継続しており、特に理系人材の確保が難しい現状が浮き彫りとなっています。人材派遣市場においては、企業側の採用意欲がやや鈍化しているものの、派遣求人数自体は前年を上回っており、長期雇用ではなく短期の人材ニーズにシフトしている傾向が明らかです。一方で、求職者数の確保は難しく、求人と人材のミスマッチが解消されていない状況が続いています。

こうした動向を踏まえると、企業の採用担当者は市場の早期変化に対応するために、より柔軟で戦略的な採用手法を構築することが求められます。例えば、賃上げによる待遇改善だけではなく、採用広報の強化、インターンシップや職場体験の機会提供を通じた母集団形成、さらには在宅勤務制度やフレックスタイム制度といった働き方の多様化を推進する必要があります。特に中小企業においては、大手との待遇差を埋めるための魅力づけやブランディングがより重要になるでしょう。

このように、中国地方における地域経済は、一部業種では明るい兆しを見せているものの、全体的には物価高騰や国際情勢の不安定さによる先行きの不透明感が強く、消費者・企業ともに慎重な姿勢を維持している状況にあります。採用活動においても、その時々の景気の波を読み取りながら、時機を逸しない柔軟な対応が求められています。採用のタイミングや募集方法、そして求職者に伝える企業の魅力の打ち出し方を今一度見直すことが、今後の人材確保における鍵となるでしょう。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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