2025年6月17日
労務・人事ニュース
福島県の求人倍率1.31倍、令和7年4月のデータが示す採用強化の必要性
- 「駅チカ」/正看護師/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年6月16日 22:31
- 「駅チカ」/准看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月16日 22:31
- 「ブランクOK」/准看護師・正看護師/介護施設/残業ありません
最終更新: 2025年6月16日 22:31
- 看護師/北九州市八幡西区/福岡県/筑豊香月駅
最終更新: 2025年6月16日 07:35
会津若松市の1.51倍求人倍率を背景に考える人材確保のコツ
令和7年4月の福島県における有効求人倍率は1.31倍と発表され、全国平均の1.26倍を上回る結果となりました。これは前月より0.01ポイントの上昇で、福島県全体としては引き続き雇用が堅調であることを示しています。全国順位では受理地ベースで17位、就業地ベースでは18位となり、東北地方の中でも比較的高い倍率を維持しています。しかし、この1.31倍という数字は、一見すると人手不足の深刻さを物語る一方で、求職者にとっては選択肢の多さを示しており、企業側が受け身の採用活動を続けている限り、優秀な人材の確保は難しい状況が続くと考えられます。
特に注目すべきは、新規求人数が前年同月比で11.3%増の17,877人に達している点です。業種別に見ると、医療・福祉分野での求人が非常に活発で、前年同月比15.8%の増加となっており、県内の高齢化に対応するための人材需要が背景にあると考えられます。さらに、建設業(19.2%増)や情報通信業(25.3%増)などでも大幅な求人増加が見られ、インフラ整備やデジタル化に対する企業の積極姿勢がうかがえます。一方で、卸売・小売業や製造業などの分野では求人が減少しており、業種ごとに採用環境が大きく異なることがデータから明らかになっています。
企業の採用担当者はこうした業種ごとの求人傾向を踏まえ、まず自社が属する業界の人材ニーズがどう変化しているのかを正確に分析する必要があります。たとえば、同業他社の求人動向と比較して自社の採用条件が魅力的かどうか、競合よりも目立つ募集要項を作成できているかといった視点が求められます。さらに、福島県の正社員有効求人倍率が1.01倍と前年同月比で0.03ポイント上昇していることからも分かるように、正規雇用へのニーズが確実に高まっています。企業は非正規雇用での安定的な人材確保にこだわるのではなく、長期的な人材育成を視野に入れた正社員登用を積極的に打ち出すべき時期に来ています。
採用の現場では、求人票の「見せ方」も極めて重要な要素となります。求職者は求人票を通じて企業文化や職場環境を読み取ろうとするため、ただ給与や労働時間を記載するだけでは不十分です。業務内容を可能な限り具体的に記載することに加え、働き方の柔軟性や育児・介護支援制度、資格取得支援など、職場での生活のイメージが湧く情報を積極的に掲載することが、応募率の向上に直結します。特に若年層や転職回数の少ない求職者にとっては、「入社後の成長プロセス」や「キャリアパスの明示」が応募意欲に大きな影響を与えることが調査でも明らかになっています。
また、地域別の有効求人倍率にも着目すべきです。令和7年4月の時点で最も高かったのは福島市の1.73倍で、次いで会津若松市が1.51倍、郡山市が1.31倍となっています。一方、いわき市は1.06倍にとどまり、地域ごとに人材需要の格差が顕著です。これは、企業が採用活動を行う際に、ターゲットとする求職者層の居住エリアをどこまで広げるかという戦略的判断に影響を与えます。通勤手段の確保や、遠方からの通勤者への交通費支給制度、あるいは移住支援制度などを導入することで、幅広い層からの応募を集めることが可能となります。
一方、求職者の動向を見ると、令和7年4月の新規求職申込件数は12,636人で、前年同月比1.4%の減少となっています。特に65歳以上の高年齢層は4.2%増加しており、高齢者の就労意欲が引き続き高いことが分かります。これを踏まえると、企業はシニア人材の活用に対しても積極的な対応が求められます。具体的には、定年後再雇用制度や短時間勤務制度、軽作業への配置転換など、年齢にとらわれない多様な働き方の提供が、人手不足対策として有効です。
離職理由に関するデータからは、自己都合退職が前年同月比で3.4%増加しており、職場とのミスマッチが依然として課題であることが示唆されます。この課題に対応するためには、採用の初期段階で求職者に正確な職場情報を提供し、ミスマッチを防ぐ工夫が必要です。さらに、職場環境の改善やマネジメント体制の見直し、従業員満足度の定期的なチェックなど、定着率向上に向けた地道な取り組みも欠かせません。
福島県の就職件数は4,181件と前年同月比で2.4%増加し、特に45歳以上の中高年層の就職件数は2,230件と、全体の約53%を占めています。この数字は、中高年層の経験豊富な人材が引き続き活発に就職活動を行っていることを示しており、企業としてもこれらの層を活用した職場の安定化が大いに期待されます。経験やスキルを持つ人材を即戦力として迎えるだけでなく、社内教育やOJT体制を整えることで、若手との世代間連携も促進できます。
最後に、今後の採用戦略を考える上で企業が留意すべきは、単に数字を追うのではなく、その背景にある社会的・地域的要因を深く理解する姿勢です。福島県は震災後の復興過程を経て、現在は安定した経済活動を取り戻しつつありますが、人口減少や若年層の都市部流出といった構造的な課題は依然として存在しています。このような中で、地元人材の定着と、Uターン・Iターンを含めた多様な層へのアプローチが、採用の成功に大きく関わってくるのです。
⇒ 詳しくは福島労働局のWEBサイトへ