2025年4月18日
労務・人事ニュース
空き地率が12.4%に上昇、高齢者世帯による所有が約6割に達する背景
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
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まちづくりの課題となる空き地の対策を推進します! ~「空き地の適正管理及び利活用に関するガイドライン」を公表~(国交省)
2025年4月1日、国土交通省は、日本全国で急増する空き地問題への対策として、「空き地の適正管理及び利活用に関するガイドライン」を初めて策定・公表しました。このガイドラインは、空き地に関する多角的な実態調査と、先進的な自治体の取組み事例をもとにまとめられたものであり、今後地方公共団体や民間団体が空き地対策を講じる際の実践的な指針となることが期待されています。全国的に空き地の増加が続く中、放置された空き地がもたらす治安や衛生面での悪影響、地域イメージの低下といった問題が深刻化しており、この課題への対応は待ったなしの状況となっています。
空き地の急増の背景には、人口減少と高齢化の進展、相続や贈与による土地の取得後に活用されないケースの増加など、複数の社会的要因が絡んでいます。特に顕著なのは、2008年から2018年の10年間で、全国の空き地面積が632平方キロメートルから1,364平方キロメートルへと約2.2倍に膨れ上がっている点です。また、世帯が保有する土地に占める空き地の割合も6.5%から12.4%へと大きく上昇しています。このような傾向の中、空き地所有者の約6割が65歳以上という実態が明らかになっており、今後さらなる空き地の増加が予測されることは避けられません。
こうした課題に対し、国土交通省は令和5年度に「土地政策研究会」を立ち上げ、実態調査と政策提言を行いました。その成果としてまとめられた今回のガイドラインでは、空き地の管理不全が周囲に及ぼす影響として、雑草の繁茂、不法投棄、害虫の発生、景観の悪化、さらには火災の危険性など、さまざまな問題が指摘されています。全国の市区町村を対象に行ったアンケートでは、97.1%の高い回答率を得ており、そのうちの多数が空き地の増加を深刻な地域課題として認識していることが浮き彫りとなりました。
ガイドラインでは、空き地の適正管理と利活用を促進するための方向性として、第一に管理不全の空き地に対する法的な是正措置、第二に空き地を地域資源として活用するための制度整備と担い手の確保、第三に利活用の具体的な手法と事例紹介という三つの柱が掲げられています。たとえば、空き地の有効利用に関しては、都市部の宅地を地域農園やグリーンインフラとして転用する試みや、地域住民が主体となって管理を行う制度の整備が推奨されています。実際に、千葉県柏市の「カシニワ制度」では、空き地を緑地や市民農園として活用するためのマッチングシステムが導入されており、すでに土地登録122件、団体登録74件という実績を上げています。
また、福井県あわら市のように、住民組織が自治体と連携して空き地の管理や活用イベントを展開している事例や、徳島県鳴門市における「ふるさと納税」を活用した空き地の草刈りサービスの導入など、行政・地域・民間の連携による多様なアプローチも紹介されています。さらに、空き家と空き地を一体的に管理する取り組みも進められており、鳥取県米子市では管理システムの導入により、所有者情報と管理履歴をデータベース化することで、効率的な対応が可能となっています。
今回のガイドラインでは、空き地対策における条例の役割も強調されており、全国の市町村のうち約3割がすでに何らかの空き地条例を制定していることが明らかになっています。ただし、所有者の所在が不明であることや、管理レベルの線引きが困難であること、また規制の周知不足など、条例の運用にはさまざまな課題があるとされています。そのため、行政が主体的に介入するための法的基盤の強化や、地域住民への意識啓発、さらには民間事業者との連携体制の構築が今後の鍵を握るとされています。
企業の採用担当者や経営層にとって注目すべきは、空き地問題がもたらす社会的・経済的インパクトと、そこにビジネスチャンスが潜んでいる点です。空き地を利活用することによって地域に雇用が生まれ、グリーンインフラや福祉施設としての活用により企業のESG評価向上にも繋がります。特に、NPOや地域団体と連携した空き地管理や地域貢献型プロジェクトに関心を寄せる企業は、地域とのつながりを深めながら、企業ブランドの向上と同時に新たな人材採用にも好影響を及ぼすことが考えられます。
さらに、ガイドラインには空き地対策に活用可能な国の支援制度の一覧も掲載されており、たとえば空き地所有者への支援、利活用希望者への補助金制度、地方自治体向けの実証実験支援など、多岐にわたる制度が用意されています。これにより、事業者が新たな空間創造にチャレンジする際の経済的ハードルが大きく下がることとなり、持続可能な地域づくりの一環として、企業活動に取り込むことも十分に可能となります。
今後、ガイドラインの内容は法制度の進展や各地の取組成果に応じて、随時見直される予定であり、関係者が連携して最新の知見を共有し続けることが求められます。国が示す方向性に沿って、地域主導での空き地対策が着実に進んでいくことで、空き地の利活用が新たな地域価値を生み出し、結果的には日本全体の土地利用の効率性や都市の魅力向上に貢献する未来が見えてきます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ