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2025年6月3日

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職場でAIが導入されているのは12.9%、生成AI利用者は6.4%に上昇

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AIの職場導入による働き方への影響等に関する調査(労働者Webアンケート)結果(JILPT)

令和6年5月23日、独立行政法人労働政策研究・研修機構は、調査シリーズ第256号として「AIの職場導入による働き方への影響等に関する調査」の結果を公表しました。本調査は、厚生労働省職業安定局雇用政策課からの研究要請に基づき、経済協力開発機構(OECD)の知見を取り入れながら実施され、国際比較が可能な形で日本におけるAI活用の現状と労働者への影響を捉えた大規模な分析です。調査対象は、令和2年国勢調査をもとにした構成比に従って層化抽出された雇用者2.2万人で、2024年5月から6月にかけてWebアンケートを通じてデータが収集されました。

調査の結果、企業全体でAIが使用されていると回答した労働者は12.9%にあたる2,833人で、そのうち自身が実際にAIを使っていると答えた人は1,854人、全体の8.4%にのぼりました。また、生成AIを利用しているとした回答者は6.4%の1,401人でした。さらに注目すべきは、AIを使用する職場では、その導入状況が2年前と比較して「大幅に/やや拡大している」と答えた人が57.9%に達しており、職場へのAIの浸透が着実に進んでいることが明らかになった点です。

今後10年以内にAIの職場利用がさらに進展すると見込んでいる労働者の割合は全体で55.6%、実際にAIを使用している労働者に限れば92.5%という高い水準で、労働現場におけるAI活用が不可逆的な流れとなっていることが示されています。

AI利用者に対して、仕事の質の変化を尋ねた結果、仕事のパフォーマンスやマネジメントの公平性、メンタルヘルスや職場の安全性において「改善した」と答えた人の割合が「悪化した」と答えた人を上回りました。これは、OECDの先行研究と一致する傾向であり、日本においてもAIの導入が職場の質的向上に貢献している可能性が高いことを示唆しています。特に、月間の残業時間が減少したとする回答が多く、加えて年次有給休暇の取得日数、平均賃金額、社内のコミュニケーション機会、新しいことを学ぶ機会の増加など、仕事環境全体の改善が多数報告されています。

こうした効果をより強く得るためには、企業と労働者との円滑なコミュニケーションが重要であることも明らかになりました。AIが職場に導入される際に話し合いを行っている企業は、全体では15.6%と限られていますが、AI導入済み企業では32.0%と高くなっており、話し合いの実施が仕事の質の改善に寄与することが確認されました。

加えて、AIを使いこなすための「学び直し(リスキリング)」への取り組みも調査されました。全体では27.1%の労働者が何らかの学び直しに取り組んでおり、そのうち6.9%がAI関連のスキル習得に取り組んでいることが分かりました。さらに、AIを使っている労働者のうち60.6%が「もっとAIを学びたい」と回答しており、学習意欲の高さも顕著に表れています。

一方で、企業がAIを活用しながら働くための訓練や資金援助を行っている割合は、AI利用企業の労働者ベースで25.3%、全体ではわずか3.3%にとどまり、企業側による人的資本投資がまだ十分でないことも明らかになりました。このことから、AIの職場導入による効果を最大化するには、企業による教育・支援体制の構築が不可欠であるといえます。

最後に、労働者が企業や政府に求める対策として、安全性の確保や技術の信頼性向上に加え、パフォーマンス向上と賃上げにつながる技術開発、働き方や職場環境の改善につながる支援策などが多く挙げられました。これらの要望に応える形で、企業や行政は透明性のある技術導入と並行して、労働者支援の充実を図ることが、今後のAI社会において求められていると言えるでしょう。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ

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