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2025年7月9日

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舗装温度を約5度低下させた雨水貯留型舗装技術、都市の熱対策に新たな可能性【令和6年度実証】

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「グリーンインフラ創出促進事業」 の開発支援成果を取りまとめました! ~民間企業等のグリーンインフラに係る新技術の開発を支援~(国交省)

令和7年6月23日、国土交通省が実施した「グリーンインフラ創出促進事業」の令和6年度における開発支援成果が公表されました。この事業は、自然環境が持つ多様な機能を活用することで、都市の防災・減災や快適性の向上、生物多様性の保全、さらには気候変動への対応を図るために、まだ実用化されていない新技術の開発を支援するものです。対象となるのは、防災・減災に資する雨水浸透技術、定量的な効果のモニタリング技術、またはその他グリーンインフラに関連する実用化前の技術であり、民間主体による提案に基づいて実証が行われています。

今回取りまとめられた4件の開発成果のうち、まず注目されたのは、舗装構造を工夫することで雨水の貯留と蒸発を促進し、道路表面の温度上昇を抑える技術です。この技術は、透水性舗装と湿潤舗装を組み合わせた構造を採用し、路盤層に雨水を一時的に貯留することで、降雨時の流出を減らしつつ、日中には貯まった水分が蒸発することで周辺温度の上昇を和らげる仕組みとなっています。実証試験では、一般舗装と比較して路面温度を約5度下げる効果が認められ、都市部におけるヒートアイランド現象の軽減に向けた実用的な技術として期待が高まっています。また、30分程度で路盤内の水位が減少することが確認され、次の降雨に対しても適切に対応可能であると評価されました。

続いての成果は、限られた都市空間においても設置可能な雨水浸透施設の改良型です。この技術は、縦型の浸透施設に二重管構造を採用することで、土砂の堆積による目詰まりを回避し、長期にわたり安定した性能を維持することができます。施設の内部には交換可能なドレーン管が組み込まれており、定期的なメンテナンスが簡便に行える設計となっている点も特徴です。実証試験では、1施設あたりの設計浸透量が1時間当たり5.77立方メートル、すなわち毎分96リットルを超える能力があることが確認されました。この性能は、100平方メートルの面積に対して50ミリ毎時の降雨を処理可能であり、従来型よりも省スペースで高機能な雨水処理手段として注目されています。

また、生態系の再生と防災を両立する取り組みとして、里山地域に人工湿地を造成し、その機能と効果を実証的に評価した試みもあります。この実証では、降雨時の雨水流出抑制効果が見られたほか、環境DNA解析を通じて希少な水生生物の生息も確認されました。設置したカメラによる観測や植生調査の結果からも、多様な動植物の定着が進んでいることが分かっており、都市周辺部における自然再生の新たなモデルとしての意義が高まっています。加えて、地域住民による湿地の整備活動やモニタリングへの参加が促進されることで、グリーンインフラの社会実装に向けた市民協働の可能性も示されました。

さらに、斜面の緑化に関しては、リサイクル資材を活用した持続可能な植生工法の試験が実施されました。この技術では、畳の端材や廃棄きのこ菌床などの再生資材を用いた植生マットを使用し、法面における在来種の自然定着を促進します。植被率や植物の種数の分析から、従来工法よりも優れた緑化性能が確認され、特に1平方メートルあたり3種以上の在来植物が定着するなど、生物多様性の向上にも貢献する結果が得られました。加えて、資材は生分解性でありながら耐久性にも優れており、景観への配慮が求められる国立公園や自然保護地域での活用にも適しています。

これら4つの成果に共通しているのは、自然の機能を利用した技術を通じて、環境負荷の低減と社会的課題の解決を同時に実現しようとする姿勢です。都市開発が進む中で、こうした技術が普及すれば、防災・減災と環境保全の両立が可能となり、持続可能な社会インフラの整備に寄与します。国土交通省は今後も、グリーンインフラ技術の社会実装を支援する取組を継続するとしており、研究開発の現場と行政が連携しながら、地域に根差した新技術の導入が加速することが期待されています。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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