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2025年5月29日

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若年層の約3割が気候変動対策を就職先選びの基準に、脱炭素経営が採用力の鍵に

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地域ぐるみでの支援体制構築ガイドブック(令和6年度版) ~地域で脱炭素経営を推進する意義~ の公表について(環境省)

令和7年5月19日に環境省が公表した「地域ぐるみでの支援体制構築ガイドブック(令和6年度版)」は、中小企業の脱炭素経営推進を地域レベルで支援するための道筋を明確にした実践的な資料として注目を集めています。このガイドブックは、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、全国26地域でのモデル事業の成果を踏まえ、脱炭素経営の意義を明確にした上で、それをどう地域の中小企業に浸透させていくかを詳細に解説しています。

特に、地域金融機関や自治体、商工会議所といった中小企業と日頃から接点を持つ支援機関が連携し、地域ごとの課題や特性を活かして脱炭素経営の支援体制を構築する必要性が強調されています。環境省は、令和5年度から16地域でモデル事業を開始し、令和6年度にはさらに10地域を加えて計26地域で取り組みを実施しました。こうした動きの背景には、中小企業が国内の温室効果ガス排出量の約2割を占める一方で、物価高騰や人材不足、DX対応など多くの課題に直面しており、脱炭素への取り組みが後回しになっている現実があります。

一方で、企業情報開示の義務化が進み、Scope3の排出量算定も視野に入った環境対応の強化が求められています。このような状況において、サプライチェーンの一翼を担う中小企業も無関係ではいられず、取引先からの要請や採用市場における企業イメージの向上を通じて、脱炭素経営が重要な経営戦略の一部となりつつあります。

ガイドブックでは、脱炭素の取り組みを単なる環境対応としてではなく、経営課題の解決や新たなビジネスチャンスと捉える「脱炭素の価値転換」という視点が提唱されています。具体的には、原材料費や光熱費の高騰に対応する省エネ対策、効率的な物流や工程改善によるコスト削減、人材確保のための企業ブランディングなど、脱炭素が企業経営の多方面に寄与することが示されています。

また、若者世代においては、企業の環境問題への取り組みが就職先選定における重要な基準となりつつあることも紹介されています。実際、全国の大学3〜4年生の約3割が、地球温暖化対策への取り組みを企業選びの際の重要な要素と回答しており、脱炭素経営は採用活動においても無視できないポイントとなっています。

ガイドブックは、支援体制の構築にあたって「知る」「測る」「減らす」という3つのステップに応じた脱炭素支援マップの作成方法や、関係機関の役割分担、地域の実情に即した施策の展開例を豊富に掲載しています。中でも注目されるのは、モデル事業において明らかになった成功要因と課題点を実例として整理している点です。例えば、岡山県ではGHG排出量の算定・開示を製品単位にまで拡張し、取引先からの要請に応えることで競争力を維持しつつ、新たなビジネスチャンスを創出しています。また、長野市では若年層の流出という地域課題に対し、脱炭素経営を通じた企業価値の向上と採用強化を実現するモデルを提示しています。

今治市の事例では、脱炭素経営を実践する人材が地域に新たなロールモデルとして定着し、多様な人材が集まる好循環を創出することが期待されています。このように、それぞれの地域が直面する課題に即した「意義」を設定することが、支援体制を実効的なものとする鍵であるとされています。

ガイドブックの目的は、支援機関や中小企業が脱炭素経営の実践に対して自発的に取り組める環境を整備することであり、最終的には地域全体の持続可能な成長に寄与することです。各地域がビジョンを共有し、協力して進めることにより、脱炭素は単なる環境対策にとどまらず、地域経済の活性化や産業競争力の強化へと繋がる大きな可能性を秘めています。

⇒ 詳しくは環境省のWEBサイトへ

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