2025年7月24日
労務・人事ニュース
製造業の月給平均は44万4,494円、賞与10万円超の安定雇用が企業競争力に直結(毎月勤労統計調査地方調査 令和6年平均分結果概要)
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「駅チカ」/准看護師・正看護師/内科/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年7月31日 22:36
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/残業ありません
最終更新: 2025年7月31日 22:36
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「土日休み可」/准看護師・正看護師/有料老人ホーム/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年7月31日 22:36
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「夜勤なし」/正看護師/内科/小児科/アレルギー科/クリニック
最終更新: 2025年7月31日 22:36
毎月勤労統計調査地方調査 令和6年平均分結果概要 表4 事業所規模30人以上 製造業(厚労省)
令和6年の毎月勤労統計調査における「事業所規模30人以上・製造業」の結果は、日本の製造業における労働環境や給与体系の実態をより明確に映し出す重要な資料です。この統計は、全国及び都道府県別に労働時間、給与、出勤日数などが詳細に記録されており、企業の採用活動や人事施策を立案する上で極めて有用な基礎データとなります。採用担当者が自社の労働条件を見直す際に、こうした客観的な数値は欠かせない判断材料となります。
全国平均では、常用労働者数が596万6,400人と報告されており、事業所規模が大きい製造業が引き続き雇用を支える基幹産業であることがうかがえます。労働時間に関しては、月間の総実労働時間が158.5時間、そのうち所定内労働時間が143.9時間、所定外労働、つまり残業時間が14.6時間となっています。出勤日数は平均18.8日で、週5日勤務をベースに月4週間以上稼働している状況が明らかです。これらの数値からは、一定の労働時間と休日バランスが維持されており、生産効率を高めるための働き方が定着しつつあることが推察されます。
給与面では、現金給与総額が全国平均で444,494円に達し、そのうちきまって支給される給与が341,770円、所定内給与が307,559円、さらに特別給与が102,724円となっており、賞与や一時金の水準も高く、安定した報酬体系が構築されていることが見て取れます。特別給与の構成比が給与総額の約23%を占めており、業績や成果に連動した報酬制度が大規模事業所では一般的であることが明示されています。
地域別の分析では、東京都の数値がひときわ目を引きます。総実労働時間は155.0時間とやや短めである一方、現金給与総額は585,553円と全国平均を大きく上回っています。所定内給与も406,864円と高水準で、特別給与は149,242円と突出しており、年2回の賞与を手厚く支給する体制が整っていることがうかがえます。このような状況は、大都市圏における高い生活コストを反映した結果でもあり、給与の絶対額だけでなく地域特性を考慮した待遇設計が求められることを示しています。
愛知県でも同様に、労働時間は160.9時間、所定外労働時間が17.3時間と全国平均よりやや長めですが、現金給与総額は509,348円、特別給与は131,965円と非常に高い水準にあります。これは、自動車産業を中心とした製造拠点としての性格が反映されており、高い技能や専門性が求められる労働力に対して、相応の報酬が支払われている証左といえます。
一方で、青森県のように労働時間が長く、出勤日数が多い地域においても、給与水準が全国平均を下回るケースが見られます。青森県では、総実労働時間が161.4時間と全国平均を上回るにもかかわらず、現金給与総額は301,834円、特別給与も53,092円と低めです。これは、地域経済や産業構造の影響を受けており、地元企業が優秀な人材を確保するためには、給与以外の働きやすさや福利厚生面でのアピールが必要となります。
また、地方都市の中でも福岡県は比較的好調な部類に入ります。総実労働時間は159.5時間と全国平均並みですが、現金給与総額は404,457円、特別給与が93,417円と高く、製造業が地域経済をけん引している実情が浮かび上がります。このようなバランス型の地域では、採用時にも比較的強みを発揮しやすく、働き方と報酬の両面で安定感を訴求できる環境が整っているといえるでしょう。
加えて、女性や若年層の就業環境改善にもつながる指標として注目されるのが、所定外労働時間の長さです。全国平均では14.6時間ですが、和歌山県では17.0時間、神奈川県では16.9時間と、月間で2日分以上の時間外労働が発生しています。企業にとっては、このような地域特性に応じて残業抑制策やシフト制導入など、柔軟な働き方への対応が求められます。特に、若年層の就職希望者は労働時間を重視する傾向があるため、適正なワークライフバランスを提示できることは、採用競争における重要なポイントとなります。
出勤日数の観点からも、地域によって特徴が分かれます。沖縄県では平均出勤日数が19.9日と全国で最も多く、他方で東京都は18.5日とやや短めです。このような差は企業文化や産業構造だけでなく、地域の労働慣習や法定休日の取り扱いにも起因しており、全国展開する企業にとっては拠点ごとの人事制度の見直しも必要になるかもしれません。
こうしたデータから読み取れるのは、企業が採用活動を行う際には、全国平均だけでなく地域別の特性を踏まえた対応が不可欠であるということです。給与、労働時間、出勤日数のいずれかにおいて突出した指標を持つ地域では、その特徴を採用のアピールポイントとして活用することが可能です。一方で、平均を下回る指標が多い地域では、待遇以外の魅力を明確に打ち出すことで、応募者に選ばれる企業づくりが求められます。
また、採用担当者は、これらの客観的データを社内で共有し、自社の人事戦略や待遇制度の見直しに活かすことができます。特に、優秀な人材の定着には、単に報酬を高くするだけではなく、働きやすい環境、柔軟な勤務制度、将来性のあるキャリアパスなど、多面的なアプローチが求められます。こうした取り組みが、結果として企業の成長と持続的な競争力確保につながるのです。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ