2025年4月27日
労務・人事ニュース
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「港湾施設の利用可否判断に係るガイドライン」をとりまとめ ~利用可否判断のポイント等を整理し、港湾施設の利用再開を迅速化~(国交省)
国土交通省港湾局は、令和6年能登半島地震の教訓を受け、災害発生時における港湾施設の迅速な利用可否判断を実現するための指針として、「港湾施設の利用可否判断に係るガイドライン」を令和7年4月7日に取りまとめ、公表しました。このガイドラインは、発災直後における岸壁や桟橋等の港湾施設の安全性を短時間で的確に評価し、災害対応や復旧活動の円滑な実施を支援することを目的としています。特に、地震・津波などの大規模災害の際には、被災地域への緊急物資の供給ルートとして港湾の機能維持が極めて重要であり、その可否を判断する仕組みの整備は、国全体の防災・減災体制の強化にも直結します。
今回のガイドラインは、国土交通省港湾局をはじめ、地方整備局、港湾関連の研究機関、技術者らによるワーキンググループが連携し、令和6年1月に発生した能登半島地震を契機に、現場で得られた知見とこれまで蓄積された技術的情報を集約したものです。能登半島地震では、発災直後から港湾施設の損傷の有無や利用可否についての判断が必要となりましたが、判断基準や情報共有の枠組みが十分に整っていないことが明らかになりました。その結果、施設の安全確認や活用に時間を要し、支援物資輸送の遅延が課題として指摘されました。この反省を踏まえたガイドラインでは、災害時の迅速な対応のために事前に整備すべき情報、調査の手順、判断基準などが体系的に整理されています。
ガイドラインは、大きく4つのフェーズに分かれた構成となっています。第一に「事前準備」として、施設に関する基本情報の収集・整理、構造物の位置や高さなどの計測、さらに防災基準点の設置や維持といった項目が挙げられています。災害前の準備として、構造物に計測点を設け、定期的に座標を取得しておくことで、地震などの際に変位量を迅速に把握することが可能になります。これにより、構造的健全性の把握が容易となり、無用な利用制限を避ける判断にも寄与します。
次に「発災後の調査」においては、被災状況の全体像を迅速に把握するための航空写真やドローン撮影の活用、さらには現地での目視調査や点検などの実施方法が示されています。ここでは、重力式係船岸、矢板式係船岸、桟橋といった施設ごとに異なる特性を踏まえた着眼点が整理されており、それぞれに最適な調査方法が提案されています。特に岸壁や護岸は、地震による地盤の液状化や沈下の影響を受けやすく、早期の安全確認が求められます。
第三のフェーズである「利用可否の判断」では、調査で得られた情報をもとに、安全に船舶の係留や荷役が行えるかどうかを評価する基準が具体的に定められています。たとえば、重力式岸壁においては、前面護岸の変位量、上部構造の沈下量、クレーン基礎の損傷の有無などが判断要素として設定されています。矢板式構造では、矢板の歪みや背面の土圧バランス、排水機能の保持なども重要な指標とされます。これらの基準は、施設ごとに既存の構造計算や設計図と照らし合わせることで、定量的な判断を可能にしています。
また、ガイドラインの最後には、災害対応に使用される船舶の種類や特性に関する参考情報が付録としてまとめられており、被災地域における最適な港湾施設の選定にも資する内容となっています。たとえば、車両積載が可能なRO-RO船や支援物資搬送に適したLST型船など、利用可能な船舶の特性を把握することで、より効率的な港湾活用が実現されます。
本ガイドラインの策定によって、災害発生時における港湾施設の迅速な活用が促進され、被災地への支援輸送が大幅に効率化されることが期待されます。同時に、施設の早期再開による物流機能の回復、地域経済の復興、さらには次の災害への備えといった観点からも、多くの意義を持ちます。国土交通省では、今後の研究成果や技術革新を反映しながら、本ガイドラインを継続的に更新していく方針であり、常に最新の実態に対応した実務資料として進化させていく構えです。
企業の採用担当者にとっては、こうした技術ガイドラインの登場は、防災・減災に対応できる人材育成や専門職の確保という面でも大きな影響を持ちます。災害時の港湾施設活用に必要な知見は、土木・建築・海洋工学にまたがる広範な知識と現場対応力を要し、特にインフラマネジメント分野の人材確保において、採用戦略の重点領域とする企業も増加しています。また、被災後の物流網の回復を担う港湾運用管理者や支援船舶の調整役など、災害対応に強い人材の確保は、サプライチェーン全体の強靭化に直結するため、製造業や流通業においても重要性を増しています。
さらに、こうした官民連携による災害対策の動きは、企業のESG経営やSDGsの観点からも評価されるポイントとなっており、企業が社会的責任を果たす上での一環として、港湾施設の活用方針や危機管理能力を高めていく姿勢が問われています。技術系職種に限らず、リスクマネジメントや公共政策、地域連携に明るい人材の採用を強化することで、組織全体としての防災対応力を底上げすることが求められています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ