2025年6月6日
労務・人事ニュース
訪日外国人旅行者数が過去最高の3,687万人、2024年の地方誘客施策が企業戦略に与える影響
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診療放射線技師/八幡西区/クリニック/福岡県/黒崎駅
最終更新: 2025年8月2日 06:02
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介護職員福岡県/福岡市西区/JR筑肥線/下山門駅
最終更新: 2025年8月2日 06:02
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介護福祉士/介護職員・ヘルパー/デイサービス事業所/日勤のみ
最終更新: 2025年8月1日 23:33
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アイリスト/社員募集/8月2日更新
最終更新: 2025年8月2日 01:35
「令和6年度交通の動向」及び「令和7年度交通施策」(交通政策白書)について(国交省)
令和7年5月27日、国土交通省は令和7年版「交通政策白書」を閣議決定しました。本白書は、交通政策基本法に基づき、国の交通に関する動向と施策の進捗状況、さらに今後の取組方針について、国会へ報告する形で毎年作成される重要な政策文書です。今回で11回目の発行となる本白書では、人口減少や高齢化、訪日外国人の急増、物流・旅客の需要変化といった交通分野における現状と課題を網羅的に取り上げ、具体的な数値と共に対策が示されています。
まず、旅客輸送においては、コロナ禍で一時大きく減少した利用者数が、2023年度に入り多くの交通モードで回復傾向を見せています。鉄道は前年比7%増、バスは5%増、航空は16%増と回復が進む中、旅客船も17%の増加を記録しました。一方で、国内の貨物輸送では、鉄道は横ばい、トラックは1%減、内航海運は5%減となり、物流の回復は依然として限定的です。
国際輸送に目を向けると、2024年の訪日外国人旅行者数は約3,687万人と、過去最多だった2019年の水準を上回る結果となりました。ただし、訪問先が三大都市圏に偏在しており、地方誘客が課題として残っています。これに対応する形で、政府は「交通空白」の解消に向けた施策を強化しており、2025年度から2027年度までを集中対策期間として、全国的な地域交通の再設計が始まる予定です。2024年7月には「交通空白解消本部」が設置され、自治体支援が加速される見込みです。
家計消費の側面から見ても、交通にかかる支出には顕著な傾向が見られます。2024年の一世帯当たりの自動車等の購入・維持費は22.4万円で、2000年比で10.2%増加しました。これに対して、公共交通運賃の支出は5.3万円で24.9%減少しており、消費全体に占める交通費の割合は9.2%と、2000年の8.1%から上昇しています。この背景には、地方を中心に自家用車への依存が進んでいることが読み取れます。
さらに、地域別の支出動向では、たとえば東北地方では公共交通運賃の支出が約29,800円と2002年から26.7%減少している一方、自動車関連費用は約278,800円と54.4%も増加しており、交通手段の地域格差が拡大していることがわかります。沖縄では公共交通支出が64.9%減少し16,011円にまで落ち込む一方、自動車関連費は約179,700円で39.6%増となりました。
このような現状を受け、今後はデジタル化とグリーン化が大きな柱として掲げられています。自動運転やドローン配送、「空飛ぶクルマ」の実用化に向けた技術開発も進んでおり、物流や旅客のあり方そのものが変革期を迎えています。加えて、鉄道・航空・海運それぞれにおける脱炭素化の推進も本格化し、持続可能な交通インフラの再構築が求められています。
本白書は、交通の視点から国民生活の基盤を支え、地域経済の持続性を高める重要な指針となっています。企業の採用担当者や人事戦略を担う立場にある方にとっても、今後の人流・物流のトレンドや地方との関わり方を見極める上で、極めて参考になる内容が詰まっています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ