2025年3月30日
労務・人事ニュース
診察までの待ち時間1時間未満が約7割、短縮化が求められる医療現場の課題
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最終更新: 2025年5月1日 11:34
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最終更新: 2025年5月1日 09:34
令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況(厚労省)
厚生労働省の調査結果によると、日本国内の医療機関における外来患者の診察環境に関する最新の状況が明らかになった。今回の調査では、予約の有無、診察までの待ち時間、診察時間の長さ、さらに患者満足度などが詳しく分析された。
まず、外来患者の予約状況について見ると、全体の79.4%が事前に予約をして受診していることが分かった。特に、特定機能病院では予約率が94.0%と最も高く、大病院でも90.5%に達している。一方で、中規模病院の予約率は81.5%とやや低めで、小規模病院では予約率がさらに低い傾向が見られた。これは、特定機能病院や大病院では専門的な診療を受けるための予約制度が確立されていることが背景にあると考えられる。
診察までの待ち時間に関しては、「15分未満」と回答した患者が27.8%と最も多く、次いで「15分~30分未満」が24.8%、「30分~1時間未満」が20.6%と続いた。これにより、約7割の患者が1時間以内に診察を受けることができていることがわかる。ただし、大病院では比較的長い待ち時間となる傾向があり、特に混雑する時間帯や診療科によっては1時間以上の待ち時間を要する場合もある。
診察時間の長さについては、「5分~10分未満」が40.9%と最も多く、「5分未満」も28.1%と一定の割合を占めている。特定機能病院では「5分未満」の診察割合が16.1%と最も低く、逆に療養病床を有する病院では36.1%と高い数値を示していた。これは、特定機能病院では高度な診療や専門的な治療を要するケースが多いため、診察時間が長くなる傾向があることを示している。
また、初診と再来患者を比較すると、再来患者のほうが診察時間が短い傾向があることが分かった。初診では「5分~10分未満」の割合が36.8%だったのに対し、再来では41.8%に増加している。この結果は、初診では病歴の確認や診断に時間がかかる一方で、再来時には治療方針が既に決まっているため、診察時間が短縮されることを示唆している。
外来患者の診察時間を傷病別にみると、「5分未満」の割合が最も高かったのは「腎尿路生殖器系の疾患」で34.3%、次いで「損傷、中毒およびその他の外因の影響」が31.9%だった。一方で、「30分以上」の診察を要する割合が最も高かったのは「消化器系の疾患」で8.9%、「精神および行動の障害」で6.7%となっていた。これは、消化器系の疾患や精神疾患では詳細な診察やカウンセリングが必要なため、診察時間が長くなることが影響していると考えられる。
次に、患者の受診理由についてのデータを見ると、「自覚症状があった」と答えた割合は66.3%だったのに対し、「自覚症状がなかったが受診した」と答えた割合は28.1%にのぼった。特に、「健康診断で指摘されたため受診した」という理由が45.2%と最も多く、次いで「他の医療機関等で受診を勧められた」が25.2%だった。このことから、定期的な健康診断の重要性が改めて確認される結果となった。
受診までの期間に関しては、「1週間~1か月未満」が19.8%と最も多く、次いで「1~3日」が15.0%という結果だった。自覚症状があった場合は「1~3日」が17.7%と最も多かったのに対し、自覚症状がなかった場合は「1週間~1か月未満」が25.4%と最も高かった。これは、急性の症状がある場合はすぐに受診する傾向があるのに対し、健康診断で指摘された場合などは比較的時間をおいて受診する傾向があることを示している。
患者満足度の調査では、外来患者の64.0%が病院に「満足」と回答し、入院患者では67.8%が「満足」と答えた。一方、「不満」と答えた割合は外来で4.4%、入院で4.9%にとどまっており、全体として病院に対する満足度は高い傾向にある。特に、特定機能病院での満足度が高く、質の高い医療サービスが提供されていることが伺えた。
さらに、診察までの待ち時間に関しては、「不満」と回答した割合が外来で25.5%と最も高かった。これは、多くの患者が診察までの待ち時間を短縮することを希望していることを示しており、病院側にとって今後の改善すべきポイントとなる。
総じて、今回の調査では、外来診療の予約率が高いことや、診察までの待ち時間が比較的短いことが確認された一方で、診察時間が短いと感じる患者も一定数存在することが分かった。また、患者満足度は全体的に高いものの、診察までの待ち時間に対する不満が依然として課題となっている。今後、医療機関がさらなるサービス向上を図るためには、予約システムの効率化や待ち時間の短縮、医師と患者の対話時間の確保が求められるだろう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ