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2025年6月20日

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車椅子使用者用トイレの設置基準が明確化、建築設計標準34年ぶりの大幅改正

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「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」を改正しました ~バリアフリー基準の改正を反映、「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」を新たに策定~(国交省)

令和7年5月30日、国土交通省は建築物のバリアフリー化を一層推進するため、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」の改正を発表しました。今回の改正は、トイレや劇場の客席、駐車場といった利用者の利便性に直結する施設に関するバリアフリー基準の見直しを反映し、さらに構成や内容の全面的な見直しを実施したものです。これにより、すべての建築プロジェクトにおいて、より実践的でわかりやすく、実効性の高いガイドラインが整備されました。

今回の見直しでは、まずトイレに関して、車椅子使用者向け便房の設置数やその配置に関する基準の記述が変更されました。従来の「望ましい」とされていた整備内容を、「原則的な整備内容」として位置付け直すことで、実際の設計においてより明確な指針となるよう強化されています。また、便房の種類が明確に区分されるようになり、一つのトイレ内での機能分散に加え、施設全体での合理的な配置が求められるようになりました。

さらに、劇場や競技場などの客席についても、車椅子使用者用の客席設置数の基準が見直されました。とりわけ、どの席からでも舞台や競技場を適切に見渡せるよう、サイトラインの確保に関する検証方法が詳細に記述されるなど、質的な改善が図られています。また、これまで固定席として設置されがちだった同伴者席についても、スペースとして柔軟に設けることが明文化され、設計の自由度と実用性が高まりました。

駐車場に関しても、車椅子使用者向け駐車施設の設置数に関する記述が見直され、特に後部スペースの確保に重点が置かれています。これにより、乗降時の安全性と利便性の向上が期待されます。

今回の改正ではガイドラインの内容や構成そのものにも抜本的な見直しが行われています。従来は推奨事項とされていた整備内容を、原則的な整備内容として再定義したほか、設計や改修の好事例については、今後タイムリーに国土交通省のホームページにて随時公開される仕組みへと変更されました。これは、情報の鮮度を保ちながら、建築関係者が参考事例を手軽に入手できる環境を整備することを目的としています。

さらに特筆すべき点として、「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」が新たに策定されました。これは、建築プロジェクトの初期段階から利用者本人や支援者が積極的に設計・検討に参加できるよう促すためのもので、利用者目線に立った建築の実現を目指す施策として注目されています。

加えて、電子化への対応も進められており、PDF形式の設計標準にはしおり機能が追加されました。これにより、必要な情報にスムーズにアクセスできる構成となり、現場での実務においても使い勝手の良さが大幅に向上しています。義務基準や誘導基準、標準的整備内容が一目でわかる構成は、設計担当者や行政担当者にとっても極めて有用です。

このように、改正された建築設計標準は、これまで以上に現場での実装を意識した実務的な内容となっており、建築に関わる全ての人々がその恩恵を受けることができる仕組みに進化しています。バリアフリー化の取り組みを企業として進める際にも、今回のガイドライン改正内容を反映した計画づくりが求められることは間違いなく、採用担当者が障害者や高齢者の雇用環境整備に取り組む上でも、重要な知見となるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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