2025年6月30日
労務・人事ニュース
農業技術の基本指針が全面改定、不測時の食料供給確保を明記した令和7年版が公開
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「車通勤OK」/正看護師/訪問看護
最終更新: 2025年6月29日 22:37
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「夜勤なし」/正看護師/オンコールなし
最終更新: 2025年6月29日 22:37
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/リハビリテーション科/内科/消化器内科/クリニック
最終更新: 2025年6月29日 22:37
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初任者研修/介護職員・ヘルパー/デイサービス事業所/日勤のみ
最終更新: 2025年6月29日 23:05
「農業技術の基本指針」(令和7年6月)の公表について(農水省)
令和7年6月13日、農林水産省は「農業技術の基本指針」(令和7年6月版)を公表しました。この指針は、食料安全保障や環境対策、生産性向上といった農政の重要課題に的確に対応するため、関係機関が農業技術に関する施策を企画・立案・実施する際の基本的な方向性を示すもので、都道府県などの現場にとって極めて重要な資料となっています。今回の改定は、令和7年4月11日に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」との整合性を図るとともに、昨今の国際情勢や気候変動への対応、さらには農業経営のスマート化を視野に入れた内容へと全面的な構成の見直しがなされました。
今回公表された指針の特徴は、第一に、将来的な不測の事態に備えた食料供給の確保に重点を置いている点にあります。食料自給率の低さや輸入依存のリスクが高まる中、国内における安定供給体制を確立するための技術的対策が数多く盛り込まれました。特に平時と非常時における供給体制の違いを念頭に置いた作物選定や備蓄の体制、さらには生産段階から流通までの連携強化が求められており、行政と生産現場の協働による実効性の高い取り組みが期待されています。
また、今回の改定では、品種のグローバル展開という新たな視点が加わったことも大きな特徴です。農産物の輸出拡大を支えるためには、国内で開発された高品質な品種を国際市場においても競争力のある形で展開していく必要があり、そのための育種技術の高度化や知的財産保護、さらには現地の気候や需要に適合する栽培手法の確立が求められています。この方針は、農業分野における国際展開を推進する企業や農業法人にとって、明確な行動指針となるでしょう。
スマート農業に関しても、技術導入の手順や標準作業手順書(SOP)に関する情報が強化されました。特にドローンや自動運転トラクターなどの先進機械の活用、AIによる生育予測や病害虫診断といった要素技術の導入手法が詳細に記載されています。これにより、今後の農業経営はより高度なデジタル管理に移行していくことが予想され、企業が農業分野に進出する際にも、技術習得と導入コストを見極めた上での計画策定が可能となります。
一方で、農作業の安全確保についても重要な改定がなされました。夏場における熱中症のリスクに対応するための具体的な指導内容や、農業機械の安全使用に関する研修体制の整備などが追記されました。これらは現場作業員の健康と安全を守るだけでなく、企業にとっても労働災害のリスクを減らすマネジメントの強化策として活用できる情報であり、人材確保と定着を図る上でも効果的な施策といえるでしょう。
さらに、家畜や鶏の改良増殖に関する記載も令和7年4月に策定された新たな目標に基づいて更新されました。これにより、畜産分野における生産効率の向上や遺伝的改良の方向性がより明確となり、今後の経営計画に取り入れることが可能となります。特に家畜の繁殖成績や肉質向上など、消費者ニーズに合致した品種改良を通じて、ブランド力の高い畜産物の安定供給につながる施策が示されています。
これらの内容は、農業を取り巻く社会的・経済的背景が急速に変化する中で、現場が技術的に柔軟かつ迅速に対応するための道標となるものです。特に農業法人やアグリビジネス企業にとっては、事業拡大や新規参入を図る上で、どの技術分野に注力すべきか、どのような公的支援制度と連携できるかを検討するための実用的な資料として活用が期待されます。
企業の採用担当者の視点から見ても、農業技術の方向性を知ることは、今後の人材確保戦略にとって非常に有益です。スマート農業や海外展開、品種開発といったテーマは、従来の農業の枠を超えた専門知識や国際感覚、デジタルスキルを持つ人材の必要性を強く示しています。そのため、採用活動においては新たな人材像を描き、教育制度やキャリアパスを再構築する必要性が高まるでしょう。加えて、農作業の安全対策や研修制度の充実は、従業員の安心と信頼を生み、結果的に組織全体の生産性と持続性を高めることにもつながります。
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ