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2025年8月7日

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運輸業の給与が令和7年5月に32万2395円まで減少、前年比4.7%減で深刻な状況

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毎月勤労統計調査 令和7年5月分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)

業界別の給与動向に着目し、令和7年5月の最新データをもとに賃金の実態を明らかにすることで、採用市場における課題や機会についてより具体的に把握することができます。今回公表された「毎月勤労統計調査」確報によると、業界によって賃金水準やその変化率に大きな差が見られました。これは企業の人材戦略に直結する情報であり、採用担当者にとって見逃せない内容といえるでしょう。

全産業平均では、現金給与総額が30万1592円となり、前年同月比で1.4%の増加となっています。定期的に支給される給与は28万7118円で2.0%の増加、所定内給与も26万7678円と同じく2.0%の増加となりました。これに対して、所定外給与は1万9440円で1.4%の伸び、特別に支払われた給与は1万4474円と前年同月比で6.6%減少しました。これは多くの企業で賞与や一時金の支給を抑制している傾向が反映されています。

業界別に見ると、最も高い現金給与総額を記録したのは電気・ガス業で、月額49万1807円という水準でした。前年比でも4.2%の増加が見られ、業界の安定性と高い給与水準が際立っています。次いで金融・保険業は53万8002円と非常に高く、前年比で9.2%もの大幅な上昇を記録しました。とくに特別給与は12万615円と、全産業の平均を大きく上回っています。この数字は業績連動型の報酬制度が機能していることを示し、優秀な人材の確保と定着を目的とした高待遇の実態が読み取れます。

情報通信業も注目に値する業種で、現金給与総額は45万2311円、前年比では5.0%の増加となっています。この分野では、基本給に相当する「きまって支給する給与」が41万7918円で、前年から2.3%上昇しており、業界全体として安定的な賃上げが進んでいることがうかがえます。一方で、特別給与は前年比57.9%の増加となる3万4393円に達しており、企業による評価報酬やプロジェクト報奨金などの制度が成果に直結して支払われていると考えられます。

一方で、厳しい状況が見られる業種もあります。運輸業・郵便業の現金給与総額は32万2395円で前年比4.7%減少、特別給与に至っては8654円と半減の水準にまで下がっています。過酷な労働環境や人手不足に加え、物流の効率化や再編などが影響している可能性があります。建設業も同様に、現金給与総額は38万4213円と高水準であるものの、前年比では2.4%の減少を記録しており、業界全体の報酬調整が続いている状況が見られます。

製造業については、全体として安定した推移を示しており、現金給与総額は34万4089円で前年比3.1%の上昇でした。定期給与や所定内給与も堅実に伸びており、基本的な雇用安定が維持されていることが読み取れます。特別給与は9482円で前年同月比21.7%減少しているものの、全体の報酬バランスとしては安定的です。現場の技能者確保や人材定着のため、一定の賃上げ努力が継続されていることがうかがえます。

飲食サービス業や生活関連サービス業といったサービス産業においては、他業種と比べて給与水準が相対的に低いものの、堅実な上昇が見られました。飲食業では13万6041円で前年比2.6%増、生活関連サービス業は22万6139円で前年比8.5%増という結果となっており、賃上げを通じた人手不足の改善や職場環境の見直しが進んでいることが示唆されます。

教育・学習支援業や医療・福祉分野では、平均給与はそれぞれ31万1484円と27万6549円となり、前年比ではそれぞれ0.1%減、2.1%増となっています。これらの分野は公共性の高い職種であることから、給与水準の大幅な変化は少ないものの、所定内給与やきまって支給する給与には一定の上昇が見られました。医療・福祉分野では定期給与が3.1%の増加となっており、処遇改善加算などの政策的な要因も背景にあると考えられます。

不動産業や物品賃貸業では、現金給与総額が35万2184円、前年比1.0%増と緩やかな上昇傾向を維持しています。特別給与は1万7526円で前年比16.8%減となっており、一時的な支給は控えられる一方で、所定内給与は前年から2.2%上昇しており、安定した給与体系がうかがえます。

このように、業種ごとの給与の動向は大きく異なり、それぞれの業界が直面している課題や戦略が賃金水準に反映されています。人材獲得競争が激化する中、採用担当者は市場の平均水準と自社の報酬体系とのギャップを適切に把握し、魅力的な労働条件を打ち出すことが求められます。特に、高スキル人材を必要とする業種や、慢性的な人手不足に悩むサービス業などでは、柔軟な報酬設計とキャリア支援の仕組みが求められていることが、今回のデータからも読み取れます。

以上の分析から明らかなように、令和7年5月の賃金動向は、各産業の景気感、労働需給、政策影響を如実に反映しています。今後も継続的に統計データを活用し、業界ごとの特性を踏まえた戦略的な人材確保が求められるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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