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2025年8月6日

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配慮の有効性95%、企業担当者が選んだ「最も効果がある配慮」とは何か

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ともに働くための配慮とは:精神障害のある方の雇用の実態調査から考える(JEED)

2025年6月、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が発表した調査研究報告書では、精神障害のある方を職場で受け入れる際に企業が行っている配慮や措置の実態、その有効性と負担の程度について詳しく分析されています。報告書では、企業の現場担当者へのアンケートをもとに、22項目にわたる具体的な配慮の実施状況がまとめられており、精神障害のある従業員がより安定して働き続けるために、どのような工夫が有効なのか、そしてどのような課題が存在するのかが明らかにされています。

まず、調査の対象となったのは、精神障害のある方を雇用している企業の担当者であり、従業員一人ひとりに対する個別の配慮がどの程度実施されているかが詳細に確認されました。その結果、実施率が最も高かったのは「本人の適性・能力に合った業務や配置部署を設定する」という措置で、3,638人中2,775人、すなわち約76%の対象者に対して実施されていました。次いで「体調に変化があり、職務遂行や勤怠に影響する場合に対応する」が73%、「業務指導や相談に関して担当者を決める」が67%と続きました。このように、職務内容の調整や体調変化への対応、相談体制の整備といった配慮は、比較的広く導入されていることが分かります。

次に、実施された配慮が実際にどれほど効果を発揮しているかについて、有効性の観点から分析が行われました。その結果、配慮が実施された対象者に対しては、全22項目すべてで85%以上の高い有効性が認められました。特に有効率が高かったのは「本人の障害特性に応じてマニュアル・工程表等を作成する」「採用前に職場実習を行い、仕事への適合性を見る」「業務指導や相談に関して担当者を決める」などで、いずれも有効またはやや有効と評価した担当者の割合が95%に達していました。これは、事業所が自発的に、または専門機関からの助言に基づき「必要である」と判断して行った配慮が、実際に職場適応の支援に大きく寄与していることを示しています。

今回の調査から明らかになったのは、配慮・措置の内容によって、実施率や感じられる負担には差があるものの、いったん実施された場合の有効性は総じて非常に高いということです。また、導入されにくい項目の中にも、明確な効果をもたらすものが含まれており、支援機関による技術的・制度的な支援を通じて、企業がこうした配慮を行いやすい環境を整備することが重要であると示唆されています。

企業の採用担当者にとって、この調査結果は大きな示唆を含んでいます。精神障害のある方を雇用する際、適切な配慮を行うことで職場での安定した就業を実現しやすくなると同時に、組織としてのダイバーシティの推進や人材の定着率向上にもつながるからです。特に、採用段階からの職場実習の活用や、相談体制の整備といった初期対応は、導入に比較的少ないコストで高い効果が期待されるため、今後の雇用方針を考えるうえで検討に値するポイントといえます。

⇒ 詳しくは独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センターのWEBサイトへ

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