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2024年11月17日

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障害者雇用数の実態と課題 2004年以降4倍増加した背景を解説

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  • 看護師/2025年5月1日更新

    会社名 介護老人保健施設みやこ 雇用形態 正社員 給与 時給1,500円~ 勤務地 福岡県

    最終更新: 2025年5月1日 11:34

  • 看護師/2025年5月1日更新

    会社名 特別養護老人ホーム洸寿園 雇用形態 正社員 給与 時給1,200円 勤務地 福岡県

    最終更新: 2025年5月1日 11:34

  • 看護師/2025年5月1日更新

    会社名 南福岡脳神経外科病院 雇用形態 正社員 給与 時給1,300円~ 勤務地 福岡県

    最終更新: 2025年5月1日 11:34

  • 看護師/2025年5月1日更新

    会社名 特別養護老人ホーム第三善興園 雇用形態 正社員 給与 時給1,500円~ 勤務地 福岡県

    最終更新: 2025年5月1日 11:34

『社会保障研究』第9巻第2号 障害者雇用の量的変遷と統計資料(社人研)

現在の日本の障害者雇用の動向について、様々な統計データを基に分析すると、障害者雇用は確かに量的に増加していることが確認できます。しかし、この増加の背景にはいくつかの重要な要因が影響していると考えられます。まず、企業規模の拡大や障害の種類の変化、障害者人口そのものの増加が関連しており、これらの要素が障害者雇用の推移にどのように影響を与えているかを総合的に理解することが重要です。

日本の障害者雇用を支える制度の基盤は、1960年に制定された「障害者雇用促進法」にあります。法改正を重ねることで現在は身体障害者に加え、知的障害者や精神障害者も雇用義務の対象とされ、さらに法定雇用率が民間企業には2.5%の義務として課されています。この法定雇用率制度に加えて、納付金制度も障害者雇用の促進に重要な役割を果たしています。この制度では、障害者を雇用していない企業から月額5万円の納付金を徴収し、法定雇用率を超えて雇用している企業には超過一人当たり2万9千円の調整金が支給される仕組みです。また、納付金を原資に各種助成金制度も設けられており、企業が障害者雇用を支援しやすい環境が整えられています。

障害者雇用の量的推移を見ると、1976年以降、雇用率制度の法的義務化や納付金制度の創設により、厚生労働省は毎年6月に企業から障害者雇用状況の申告を求めており、その集計結果が「障害者雇用状況の集計結果」として公表されています。これにより、障害者の実際の雇用状況が明確になり、ダブルカウント(重度障害者が複数回カウントされる)やハーフカウント(短時間労働者が半分としてカウントされる)などの処理後の数値も正確に把握できます。ただし、このデータは従業員数40人以上の企業を対象としているため、小規模企業での障害者雇用実態は把握できないという限界がある点に注意が必要です。

特に2004年以降は、知的障害者や精神障害者も雇用率制度の対象に加えられたことから、障害者雇用数はさらに大きな増加を見せています。例えば、知的障害者の雇用は2004年の約3万6千人から2023年には約15万人に、また精神障害者は2006年の約2千人から2023年には約13万人に増加しています。身体障害者の雇用も2004年の約22万人から2023年には約36万人と増加しており、制度の拡充が効果を発揮していることがわかります。

一方で「障害者雇用実態調査」では、より広範な企業規模での障害者雇用実態が明らかにされています。この調査は5年ごとに実施され、従業員数5人以上の企業が対象となるため、小規模企業での雇用状況も一部カバーされます。また、この調査では手帳の取得がない場合でも、医師の診断書による障害者も対象となっているため、より実態に即した障害者雇用の把握が可能です。例えば、最新の調査データでは、知的障害者の雇用が1998年の約7万人から2023年には約27万5千人と大幅に増加しており、この増加の背景には障害者そのものの増加も一因と考えられます。

また、「生活のしづらさなどに関する調査」では障害者数全体の推移も捉えられ、これにより障害者数の変動が障害者雇用の増加とどのように関連しているかが分析されています。身体障害者については、高齢者の増加とともに数が増加傾向にありますが、18歳から64歳の身体障害者数は1991年以降減少傾向を示しています。一方で、雇用数は継続的に増加していることから、高齢の障害者数の増加が雇用実数に影響を与えていると考えられます。

精神障害者に関しては、特に精神保健福祉手帳の取得者が増加しており、2003年に1万人程度だった雇用実数が2023年には21万5千人にまで増えています。しかし、これは単に精神障害者人口が増えたのではなく、精神科医療の普及と共に手帳を取得する人が増加していることが要因です。障害者手帳取得の普及とともに、雇用制度を活用する精神障害者が増え、これが雇用実数の増加に繋がっていると考えられます。

今後の障害者雇用に関する統計データの利用においては、以下の点に留意することが求められます。まず、障害者のカテゴリーは時代とともに変化してきており、例えば精神障害者や発達障害者も最近の法改正により障害者雇用の対象として加わりました。次に、障害者と健常者の境界にある人々が統計にどの程度含まれているかが、雇用状況の正確な把握に重要です。例えば、手帳を取得していない障害者や未開示の障害者も存在し、これらの人々が含まれるか否かで数値に差が生じる可能性があります。

また、障害者数やその就業率を評価する際には、単に雇用数の増加を指標とするのではなく、どの程度深刻な状態であったかも評価する必要があります。精神障害者に関しては、2003年の段階では支援の少ない中で28万人が雇用されていたと推計されており、制度介入以前の状態を考慮して雇用改善効果を評価することが今後の障害者雇用政策の有効性を測る指針となります。

以上のように、日本における障害者雇用は、政策と制度の進展によって拡大を続けていますが、その評価には、統計データにおける「障害者」の定義やその変遷を踏まえ、包括的に判断する視点が重要です。これからも障害者雇用の増加を支える制度改善が期待されますが、質の向上も同時に目指すことが求められるでしょう。

⇒ 詳しくは国立社会保障・人口問題研究所のWEBサイトへ

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