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2025年8月5日

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雇用保険の基本手当日額が最大235円引き上げ、令和7年8月1日から新基準

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雇用保険の基本手当日額の変更 ~8月1日(金)から開始~(厚労省)

令和7年8月1日から、雇用保険の「基本手当日額」が改定されることが明らかになりました。今回の見直しは、前年度と比較して平均給与が約2.7%上昇したことや、最低賃金の引き上げに伴う調整を反映したものであり、労働市場の変化に対応するための措置として位置づけられています。厚生労働省によれば、この改定は労働者が離職後も安心して次の仕事を探すことができる環境を整えることを目的としています。

雇用保険における基本手当とは、離職した労働者に対して支給されるもので、再就職までの生活を支える役割を果たします。給付の金額は、離職前に受け取っていた賃金をもとに計算され、1日あたりの金額として設定されます。さらに支給日数は、離職の理由や本人の年齢、これまでの被保険者期間によって異なるため、個々の事情に応じた柔軟な対応が可能です。

今回の改定では、年齢別に設定されている基本手当日額の上限がすべて引き上げられます。具体的には、60歳以上65歳未満の人ではこれまでの7,420円から7,623円へと203円増額され、45歳以上60歳未満では8,635円から8,870円に、30歳以上45歳未満は7,845円から8,055円に、30歳未満については7,065円から7,255円に変更されます。いずれの年齢層でもおおむね200円前後の増加となっており、失業中の経済的不安を少しでも軽減する狙いがうかがえます。

また、基本手当日額の最低額も見直され、これまでの2,295円から2,411円へと116円引き上げられます。この最低額の設定については、地域ごとに定められた最低賃金をもとに算出されており、全国加重平均額に基づいた日額計算が用いられています。今回の調整では、令和7年4月1日時点の地域別最低賃金の全国加重平均額である1,055円をもとに、20を乗じた後に7で割り、さらに給付率である80%を乗じるという計算式を適用した結果、2,411円という新たな最低基準が導かれました。

このような改定は、雇用保険法およびその施行規則に基づいて実施されるものであり、毎年の賃金変動に応じて見直される仕組みとなっています。特に、実際の最低額が最低賃金日額を下回る場合には、法律に従って最低賃金日額が優先されるため、働く人々が社会全体の賃金水準に見合った保障を受けられるよう設計されています。

雇用の安定と再就職支援は、企業にとっても重要な関心事項です。人材を確保し、組織を安定的に運営するためには、労働市場全体の動向を正しく理解することが求められます。今回の手当日額の引き上げは、企業の採用活動にも少なからず影響を与える可能性があります。求職者の再就職活動が活発化することで、適切な人材との出会いの機会が増える一方で、賃金面での競争力も求められるようになるため、企業は自社の報酬体系や人事戦略の見直しを行う良い機会とも言えます。

厚生労働省では、今回の変更に関する詳細を資料として別途公表しており、制度の仕組みや改定理由を含めた丁寧な説明がなされています。雇用保険制度は、労働者と企業の両方を支える社会的なセーフティネットであり、その運用においては透明性と公平性が強く求められます。今回のような制度改定に際しては、労働者にとっての安心感を高めるとともに、企業側にも正確な情報提供が求められるため、関係者にとっては注目すべき動きと言えるでしょう。

なお、この変更は令和7年8月1日より適用されます。企業の採用担当者や人事関係者は、最新の制度改正に応じた対応を講じることが求められます。特に採用計画や人件費の見積もりを行う際には、こうした法改正による波及効果を正確に把握しておくことが、将来的な労務トラブルの予防にもつながります。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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