2025年5月16日
労務・人事ニュース
雇用総数5,087万人突破、前年比1.7%増が示す採用拡大の波(毎月勤労統計調査 令和7年3月分結果速報)
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最終更新: 2025年5月15日 22:32
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毎月勤労統計調査 令和7年3月分結果速報 第3表 常用雇用及び労働異動率(厚労省)
2025年3月に厚生労働省が公表した毎月勤労統計調査(令和7年3月速報)の雇用データによると、国内の常用雇用に関する動向には明確な変化の兆しが見て取れます。雇用者総数の増減や入職率・離職率、さらにパートタイム労働者の比率の変動といった指標は、企業の人事戦略や採用活動の判断材料として極めて重要です。今回の調査は、事業所規模5人以上を対象としており、実際の雇用環境の変化をよりリアルに映し出しています。
総じて見た場合、全産業における労働者総数は5,087万6千人となり、前年同月比で1.7%の増加となりました。これは国内の雇用環境が回復基調にあることを示しており、多くの企業が新たな人材の確保に動いている実態が浮き彫りになった形です。特に建設業は2,540千人で前年比2.7%の増加を記録し、雇用の受け皿としての役割を強めています。一方、鉱業・採石業などでは労働者総数が12千人と極めて小さく、前年比で3.5%の減少を記録しました。これらの業種は人手不足や事業規模の縮小といった複合的な課題に直面しており、業界全体として雇用の安定化が求められる状況です。
パートタイム労働者の比率に着目すると、全産業平均で31.41%という数値が示されました。これは前年同月比で0.48ポイントの上昇であり、非正規雇用の活用がさらに進んでいることを意味しています。パート比率が特に高いのは宿泊業・飲食サービス業で、実に76.31%という極めて高い水準を示しています。逆に鉱業・採石業では6.59%と低く、業務の専門性や勤務形態の特異性が影響していると考えられます。このように産業ごとの雇用形態の違いを正確に把握することは、企業が採用時に必要とする人材のタイプや労働条件を明確に設計するうえで不可欠です。
さらに重要な指標となるのが入職率と離職率のデータです。全体の入職率は1.78%で、前年同月比では0.08ポイントの減少でした。一方で離職率は2.13%で、前年から0.19ポイントの減少となっています。つまり、今月は入職よりも離職の方がわずかに多く、労働市場における人材の流動性は継続していることが分かります。ただし、離職率が下がったことは、労働者の定着が進んでいる可能性を示唆しており、企業の労働環境改善の努力が一定の効果を上げていると評価することもできるでしょう。
産業別の詳細に目を向けると、製造業は労働者総数が7,609千人と全体の中でも大きな割合を占めていますが、前年比では0.1%の微減となっています。この業種においては、労働集約型の作業の一部が自動化・外注化される傾向が続いており、それが人員の増加を抑制している要因と考えられます。パート比率は13.08%で前年とほぼ横ばい、入職率は0.87%で離職率は1.08%とやや高く、若干の人材流出が見られます。これに対して建設業では入職率が0.89%、離職率が1.15%と、こちらも離職が上回る傾向にあります。特に離職率が前年比で0.58ポイントも低下していることから、一定の人材定着策が効果を上げている可能性があります。
注目すべきは医療・福祉業で、労働者総数は9252千人と多く、前年比でも2.2%の増加を記録しました。パート比率は39.91%と高く、非正規雇用者の活用が進んでいることが分かります。入職率は2.48%と高水準ですが、離職率も2.83%と依然として高く、医療福祉分野における人材の定着が課題であることが浮き彫りになっています。この分野では、キャリア支援やメンタルヘルス対応など、従業員の職場満足度を高める取り組みが今後の雇用安定に欠かせません。
一方、情報通信業では労働者総数が1,410千人で前年比1.1%の増加となっており、デジタル分野における雇用創出が着実に進んでいることが確認されました。パート比率は16.88%で、他産業と比べて正規雇用の比率が高いのが特徴です。入職率1.54%に対して離職率は1.87%と、こちらもやや人材の流出傾向が見られますが、情報通信分野ではリモートワークや柔軟な働き方が定着しつつあるため、離職率の低下には今後の労働環境整備がさらに求められるといえるでしょう。
なお、卸売・小売業の労働者総数は1,014万4千人と非常に多く、前年比では0.6%の微増でした。この業種ではパート比率が44.88%と非常に高く、非正規雇用者の活用が不可欠な状況です。入職率1.88%に対して離職率は2.39%と、離職の方が上回る構図が続いており、職場環境や待遇の改善が求められています。特にサービス業に共通して言えるのは、労働環境の厳しさが人材の定着率に大きく影響しているという点であり、ワークライフバランスを重視する姿勢がより一層重要になってきています。
このように、2025年3月の雇用統計は、労働市場全体における雇用の回復基調を示す一方で、産業ごとの課題や人材の流動性を明らかにしています。採用担当者にとっては、単なる人材確保にとどまらず、職場環境や労働条件、キャリア形成支援などの総合的な魅力づけが求められる時代です。人材の定着こそが企業の競争力の源泉であり、そのためには自社の状況を客観的に分析し、競合他社と比較して優位性のある雇用施策を打ち出すことが必要となっています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ