2025年6月27日
労務・人事ニュース
離婚母子世帯への児童扶養手当が65万件超、令和7年3月時点で779,222世帯を支援する現状とは
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介護職員/福岡市営地下鉄七隈線/賀茂駅/福岡市早良区福岡県
最終更新: 2025年6月26日 14:05
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看護師/福岡県/福岡市南区
最終更新: 2025年6月26日 14:05
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看護師/福岡市南区/福岡県
最終更新: 2025年6月26日 14:06
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看護師/北方駅/福岡県/北九州市小倉北区
最終更新: 2025年6月26日 14:05
福祉行政報告例(令和7年3月分概数)(厚労省)
令和7年3月時点において、我が国の障害児福祉及び関連手当に関する給付状況が詳細に明らかになっており、福祉行政の現状と今後の対応の方向性を把握する上で重要な資料となっている。障害児福祉手当、特別障害者手当、福祉手当(経過措置分)という3種の給付制度は、制度創設以来、子どもや重度の障害を持つ人々の生活支援を目的として展開されてきた。これらの手当を受給している人数は年々緩やかな増加傾向にあることが、月別の統計から読み取れる。
たとえば、障害児福祉手当の受給者数は令和5年4月時点で62,961人であったが、令和7年3月には63,964人に増加しており、2年間で1,000人以上の増加が確認されている。同様に、特別障害者手当も133,000人台から136,000人台へと増加し、特に令和6年以降は134,000人を安定的に上回る状態が続いている。経過措置分として支給されている福祉手当については、制度の性格上減少傾向が続いており、令和5年4月の2,065人から令和7年3月の1,639人へと減少している。
また、特別児童扶養手当についても詳細なデータが提供されており、支給対象障害児の総数は令和5年4月の260,954人から令和7年3月の276,421人へと、約15,000人の増加が確認された。特筆すべきは精神障害を有する児童が年々増加していることであり、令和5年4月には236,498人であったのに対し、令和7年3月には260,553人に達している。身体障害児数の増加も見られるが、精神障害児の増加幅の方が顕著であり、社会的な背景や診断制度の変化が影響している可能性が考えられる。
児童扶養手当の受給者数においては、特に離婚による母子世帯への支給が多数を占めており、令和7年3月時点での受給者数は779,222人で、そのうち約650,000人が離婚母子世帯となっている。一方で、未婚の母子世帯や障害者世帯、DV保護命令下の世帯など、多様な家庭形態が存在しており、単なる支給対象者数だけではなく、その背景にある複雑な社会構造を考慮する必要がある。とりわけ、令和5年4月から令和7年3月までの2年間で、DV保護命令世帯への支給対象が724世帯から761世帯へと微増しており、家庭内暴力への対応強化が求められている現実を浮き彫りにしている。
さらに、児童扶養手当の支給額についても変化が見られ、全額支給の対象者が約488,000人に上る一方で、一部支給の対象者は340,000人を超える規模となっている。これは、所得制限や就労状況、家族構成など多岐にわたる要素が反映されているためであり、行政がきめ細かな審査を行っていることの証でもある。手当の支給は1人児童世帯から6人以上の多子世帯まで多様であり、5人児童世帯が2,594世帯、6人以上の児童を抱える世帯も784世帯存在している。
加えて、中国残留邦人等支援給付に関するデータも報告されており、こちらも高齢化に伴い支援世帯数や実人数が緩やかに減少傾向にある。令和5年4月の支援世帯数は3,463であったが、令和7年3月には3,142世帯に減少している。これに伴い、支援対象実人数も4,814人から4,258人へと減少しており、今後はこの層に対する医療や生活支援体制の再構築が求められる。
このような詳細な統計データは、制度設計や政策立案において欠かせない基礎資料であると同時に、現場で子育て支援や障害者支援に従事する行政担当者や社会福祉関係者にとっても、業務の妥当性と優先順位を確認するための指針となり得る。とりわけ、企業の採用担当者にとっては、育児や介護など家庭の事情を抱える従業員の実情を理解する上で重要な知見を提供してくれるものであり、働きやすい職場環境の整備や福利厚生制度の設計にも直結する情報である。
これらの統計から浮かび上がるのは、児童や障害者、ひとり親家庭への支援がいかに日常的かつ継続的に求められているかという事実である。単なる数値の羅列ではなく、その背後にある生活者のリアルな声とニーズを想像しながら、支援の形を見直し、より実効性のある施策へとつなげていくことが、今後の社会保障制度の使命となる。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ