労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 南関東 高級レストランの客単価は前年比110.1%、でも来客数は85.1%に減少(令和7年3月調査)

2025年4月25日

労務・人事ニュース

南関東 高級レストランの客単価は前年比110.1%、でも来客数は85.1%に減少(令和7年3月調査)

Sponsored by 求人ボックス

景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 南関東(現状)―(内閣府)

令和7年3月に行われた南関東エリアの景気ウォッチャー調査では、地域経済の実態が多様な視点から明らかになりました。全体として見ると、インバウンド需要や季節要因により一部業種では回復の兆しが見える一方で、物価上昇や消費者の慎重な姿勢が個人消費全体に影を落としており、企業の採用活動にも大きく影響を与える構図が浮かび上がっています。とりわけ、売上や来客数が増加している業種においても、利益確保が難しく、今後の景気の先行きに不安を感じている現場の声が多く寄せられているのが特徴です。

まず小売業では、文房具店や生花店のように来客数が3か月前より20~30%増加している店舗がある一方、茶や印章、傘などのニッチな分野では販売量の低下や新規受注の停滞が顕著です。百貨店では訪日外国人観光客の来店数が落ち着きを見せ、かつてのような免税売上の大幅な伸びは見られず、前年比50%以上伸びていた実績が3月には微増にとどまるまでに鈍化しています。春物衣料の売上も気温の低さや物価高の影響で鈍化し、ファッション関連商品の動きが悪いことが売上全体の足を引っ張る結果となりました。また、消費者は値引き品の購入に敏感で、夕方に安売り商品を求めて来店する行動が増えており、価格に対する意識が非常に強まっている様子がうかがえます。

住宅関連では販売量が前月比で1.5倍に増加し、目標の110%を超える成果を上げる企業も報告されました。これは3月の決算期に合わせたキャンペーンや、子育て支援を含む住宅政策の後押しが大きく作用していると考えられます。特にインバウンド需要を見込んだ観光用ホテルの開発案件が増加しており、不動産市場においては観光業との連携が景気を支える構図も見えてきました。ただし、建設業では資材価格と人件費の高騰が続いており、公共工事のスムーズな受注が困難になっているとの声もあり、全体の利益確保には課題が残っています。

飲食業界では、レストランやカフェで来客数が3~4割増加したという報告がある一方で、高級レストランでは売上は前年比で93.7%、来客数は85.1%、一方で客単価は110.1%と高水準を維持していることから、客数の減少を高単価でカバーする戦略が見られます。しかしながら、仕入価格や光熱費の高騰により、実質的な利益は圧縮されており、外食業全体にとって収益性の回復は依然として厳しい状況です。特に居酒屋では、客単価を抑える傾向が強まり、より安価なメニューの注文が増えていることから、客の節約志向が鮮明に表れています。

通信業やサービス業でも、年度末特有の需要増加はあったものの、前年同期と比較すると販売量や受注数の伸びが見られないという報告が目立ちました。とくに通信業では、新規契約やコース変更の際に、消費者ができるだけ家計負担を抑える選択をしているという傾向が強く、新商材の動きも鈍化しています。広告代理店や出版・印刷業では、年度末に期待された駆け込み需要が薄く、物価上昇による仕入価格の高騰分を販売価格に転嫁できないという課題が利益率を押し下げています。

雇用関連では、人材派遣会社や職業安定所などから求人数の増加が報告されており、特に製造業やエンジニア職などでの需要が堅調です。年度末を迎えて契約更新による入れ替わりや後任需要が発生しており、短期的には求人動向が活発化しています。一方で、求職者数が求人の水準に追いつかない状況も続いており、人手不足が採用活動を難航させる一因となっています。企業側が求めるスキルや経験への要求水準が高まっており、マッチングの難しさが採用率を下げる要因となっているとも指摘されています。

特筆すべきは、若年層における転職に対する心理的ハードルが下がってきており、職場定着率の低下が中小企業にとって大きな課題となっている点です。これにより技能継承や人材育成の停滞が懸念され、事業拡大の足かせになる可能性も示唆されています。また、年度末には大量離職が発生した企業も複数見受けられ、雇用の流動性が高まっていることが景気全体に与える影響についても慎重な分析が必要とされています。

このように、南関東における景気の実態は、業種や立地によって明暗が分かれる複雑な様相を呈しています。採用担当者にとっては、人材確保の難易度が高まる中で、柔軟な雇用形態の活用やスキルマッチングの精度向上といった対策が求められる時期にあるといえるでしょう。今後も消費マインドや企業投資の動向を注視しながら、戦略的な人材活用を行うことが重要となってきます。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ