2025年8月13日
労務・人事ニュース
2020年度以降170兆円超の補正予算、日本の財政再建に向けた課題とは
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診療放射線技師/クリニック/黒崎駅/八幡西区/福岡県
最終更新: 2025年8月14日 02:02
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施設内訪問看護のお仕事/看護師/残業なし/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年8月14日 09:34
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常勤・サービス業界の看護師/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年8月14日 09:34
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介護職員/久大本線/筑後吉井駅/朝倉市/お多福来。/福岡県
最終更新: 2025年8月14日 02:02
令和7年度経済財政白書 第1章 日本経済の動向と課題 第3節 財政の現状と課題(内閣府)
この記事の概要
令和7年度の年次経済財政報告では、新型コロナウイルス感染症の影響とその後の経済対策を受けた日本の財政状況が詳細に分析されています。特に2020年度以降、約170兆円もの補正予算が編成され、家計や企業への支援策が続けられてきました。記事では、支出と収入の両面から財政の現状を俯瞰しつつ、今後の課題や財政健全化に向けた展望についても掘り下げています。
新型コロナウイルス感染症の拡大が始まった2020年度以降、日本政府は前例のない規模で補正予算を編成し、経済と社会の安定に取り組んできました。この期間に実施された8回の補正予算の総額はおよそ170兆円にも達し、医療提供体制の強化から家計支援、企業への資金繰り支援、物価高対策に至るまで、幅広い施策が講じられてきました。特に2020年4月の第一次補正予算では、国民一人あたり10万円の特別定額給付金が支給され、同年6月には事業継続支援を含む第二次補正予算が組まれました。その後も2021年度から2024年度にかけて、需要喚起や成長型経済への移行を支援するための予算が継続的に投入されてきました。
このような補正予算の累積的な影響は、国の財政構造にも大きな変化をもたらしました。収入面では、社会保険料を中心に着実に増収傾向が見られ、税収においても法人所得税を中心に増加しています。これは、コロナ禍後の経済回復や円安による企業収益の増加に支えられており、特に2023年度には法人所得税収が大きく伸びました。消費税に関しても、2019年10月の税率引き上げが税収増に寄与し、間接税収全体も安定的な推移を見せています。
一方、支出面では、社会保障費を中心に増加傾向が続いています。高齢化の進行に伴い、医療費・介護費・年金給付費は着実に増え、特に社会保障基金の支出増加が顕著です。政府による臨時的な移転支出も、コロナ対応に加え、物価高対策としてエネルギー補助金や非課税世帯向けの現金給付などが続いています。2023年度には、家計部門においては「社会扶助給付」が、企業部門においては「補助金」の受取が大きくなり、いずれもコロナ禍前の水準を上回ったままの状態が続いています。
また、国際比較の観点から見ても、日本の一般政府支出の対GDP比は他国と比して高めであり、特に臨時的な経常支出の増加が目立っています。これは、コロナ対応の継続に加えて、ウクライナ危機や円安に起因するエネルギー・食糧価格の上昇対策に多額の支出が必要とされたためです。そのため、2023年度時点での日本の臨時経常支出の対GDP比の伸びは、主要先進国の中で最も高い水準となっています。
資産と負債のバランスという観点では、政府のバランスシートにおいても変化が見られます。実物資産や金融資産の増加により、一般政府の正味資産は2019年末の97兆円から2023年末には259兆円へと大きく改善しました。この背景には、建設工事費や地価の上昇による資産評価額の上昇、また外貨建て資産の円建て価値の増大があり、特に政府保有の対外証券投資や年金資産の時価評価額の増加が大きく寄与しています。しかしながら、額面ベースでの政府債務残高は依然として高水準にあり、名目GDP比で見ると日本の債務は2024年末時点で219%と、主要先進国の中で最も高い数値を記録しています。
このように、日本の財政は、税収の増加と資産価値の上昇に支えられて改善の兆しを見せる一方で、歳出の高止まりや高水準の債務残高といった課題も抱えています。今後は、コロナ禍からの一時的な政策支出を縮小しつつ、経済成長と財政健全化の両立を図ることが不可欠です。そのためには、企業活動の支援と投資促進、働き手の所得向上を促す政策が求められ、加えて、持続可能な社会保障制度の構築が急務となっています。また、長期的には、債務残高対GDP比の引き下げといった財政規律の確保に向けた取り組みも避けて通れません。
2025年に入り、日本の超長期金利が急速に上昇する局面も見られるなど、国債需給のバランスにも注意が必要です。国債の国内保有促進や市場の信認を維持するための措置も今後の政策課題として浮上しています。こうした中で、政府はより戦略的かつ持続可能な財政運営を進めていく必要があります。
この記事の要点
- 2020年度から2024年度にかけて約170兆円の補正予算が編成された
- 法人所得税を中心とした税収の増加が財政赤字の縮小に寄与している
- 社会保障費の増加が政府支出の大半を占めており、高齢化の影響が続いている
- エネルギー補助金や給付金により移転支出がコロナ禍前を上回っている
- 日本の政府債務残高は名目GDP比で219%と先進国の中でも最も高い
- 正味資産は259兆円まで増加し、金融資産の時価評価の上昇が影響している
- 今後は支出の平時化と財政健全化の両立が求められている
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ