2024年9月23日
労務・人事ニュース
2023年の雇用情勢、求人倍率1.31倍で安定推移:正規雇用者数は過去最高を記録
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
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最終更新: 2025年4月30日 21:01
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
令和6年版 労働経済の分析 -人手不足への対応- 第2章 雇用情勢の動向(厚労省)
2023年の日本の雇用情勢は、経済の回復基調が続く中で、求人が堅調に推移し、着実に改善の兆しが見られました。特に、労働市場への参加率が高まっており、女性や高齢者が積極的に働くようになっています。この動きは、少子高齢化に直面している日本の労働市場において重要な意味を持ちます。労働力不足が深刻化する一方で、経済活動の活発化によって求人ニーズが依然として高い水準にあり、企業は優秀な人材を確保するために、従業員の待遇改善や労働条件の見直しに取り組んでいます。
2023年の有効求人倍率は、前年からわずかに0.03ポイント上昇し、1.31倍となりました。この数字は、1人の求職者に対して1.31件の求人があることを示しており、労働市場が依然として活発であることを物語っています。完全失業率は前年と同水準の2.6%であり、安定した水準を維持しています。リーマンショック以降の長期的な雇用情勢の改善傾向は続いており、新規求人倍率や正社員の有効求人倍率も上昇を見せています。2020年の新型コロナウイルス感染症拡大によって一時的に悪化したものの、その後の経済活動の再開とともに持ち直し、2023年には回復の兆しが確認されています。
就業者数については、2023年時点で約6,740万人に達し、就業率は約61.3%という数値を記録しています。このうち、約6,070万人が雇用者であり、雇用者の中でも正規雇用労働者は約3,610万人、非正規雇用労働者は約2,120万人となっています。非正規雇用者の割合は高齢者や女性を中心に長期的に増加していますが、それでも全体的な雇用情勢は改善の方向に進んでいます。
完全失業者は約180万人であるものの、求職活動を行っていない非労働力人口の中には、「働く希望があるが求職活動をしていない」人々が約230万人存在しています。これは、完全失業者数を上回る水準であり、今後の課題としては、こうした就業希望者を労働市場にどう取り込んでいくかが重要となります。特に、働く意欲がありながら求職活動に至らない女性や高齢者の労働力活用は、今後の日本経済にとって大きなテーマとなるでしょう。
男女別の雇用情勢を見ると、男性の就業率は約69.5%に達しているのに対し、女性の就業率は約53.6%にとどまっています。女性の非労働力人口が多く、約1,600万人が就業を希望しているものの、実際に求職活動に至っていないという現状があります。これにより、特に女性の労働市場参入を促進するための政策が求められています。育児や介護といった家庭内の負担が女性に集中する傾向が依然として強く、仕事と家庭の両立が難しい状況が続いています。そのため、企業における柔軟な労働時間制度の導入や在宅勤務の拡充といった、働きやすい環境整備が急務となっています。
さらに、2023年には正規雇用者数も過去最高を記録しました。特に女性を中心に9年連続で正規雇用者数が増加しています。この背景には、企業の働き方改革や育児休業制度の充実が寄与しており、女性が仕事を続けやすい環境が徐々に整いつつあることが伺えます。一方で、非正規雇用者の増加も見られます。景気変動に影響を受けやすい非正規雇用者は、特に2009年のリーマンショックや2020年の新型コロナウイルス感染症の影響で減少しましたが、長期的には再び増加しています。これにより、正規・非正規の雇用者の二極化が進む中で、労働市場の格差が懸念されています。
産業別の雇用動向を見ると、製造業や宿泊業、飲食サービス業で雇用者数が増加しています。特に製造業では、半導体不足の解消や自動車生産の回復が顕著であり、雇用者数が増加に転じました。また、宿泊業や飲食サービス業では、インバウンド需要や国内旅行需要の回復が追い風となり、雇用者数の増加が拡大しています。これらの業種は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた業種であり、回復の兆しが見られることは雇用市場全体の改善に寄与しています。
障害者雇用についても、2023年は大きな進展がありました。民間企業における障害者の実雇用率は、前年比0.08ポイント上昇し、2.33%と過去最高を更新しました。これで12年連続の上昇となり、障害者雇用の推進が順調に進んでいることが伺えます。雇用義務のある企業における障害者の雇用者数は約64.2万人で、こちらも20年連続で過去最高を記録しています。これにより、法定雇用率を初めて上回る企業が増加しており、障害者の労働市場への参入が進んでいます。ただし、雇用率の向上だけでなく、障害者が実際に活躍できる職場環境の整備が求められており、雇用の質の向上が重要な課題となっています。
さらに、外国人労働者の増加も顕著です。2023年の外国人労働者数は約205万人に達し、初めて200万人を超えました。これは、2007年に外国人雇用状況の届出が義務化されて以来、11年連続で過去最高を更新しています。特にベトナムからの労働者が増加しており、国籍別では最多となっています。また、技能実習制度や特定技能制度の見直しが進んでおり、外国人労働者の人権保護やキャリアアップを支援するための施策が重要視されています。外国人労働者の存在は、日本の労働市場にとって不可欠な要素となりつつあり、今後もその重要性は高まるでしょう。
外国人労働者の在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」を持つ労働者の増加が目立ちます。この分野では、過去4年間で約24万人が増加しており、特に高度な技能を持つ外国人材の需要が高まっています。日本国内の人材不足を補うために、こうした高度な技能を持つ外国人労働者の受け入れが一層進むことが期待されています。
全体として、2023年の日本の雇用情勢は、求人の堅調な推移と労働市場への参加率の上昇が特徴的でした。しかし、依然として労働力不足や非正規雇用者の増加が課題として残されています。今後は、高齢者や女性、外国人労働者、障害者など、多様な人材を労働市場に取り込み、持続可能な雇用環境を整備することが求められています。企業にとっても、優秀な人材を確保し、働きやすい職場環境を提供することが競争力を維持するための重要な要素となるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ