2025年8月11日
労務・人事ニュース
2024年の平均寿命は男性81.09年・女性87.13年に到達!企業が知っておくべき長寿化時代の雇用と人材マネジメントへの影響とは
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最終更新: 2025年8月25日 09:34
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最終更新: 2025年8月25日 09:34
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精神科を中心とした訪問看護求人/看護師/車通勤可/残業なし/即日勤務可
最終更新: 2025年8月25日 07:01
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アイリスト/香春口三萩野駅/社員募集/8月25日更新
最終更新: 2025年8月25日 01:35
令和6年簡易生命表の概況 主な年齢の平均余命(厚労省)
2024年における日本人の平均寿命は、男性で81.09年、女性で87.13年となり、いずれも前年とほぼ同水準を維持しています。これらの数値は、厚生労働省が発表した令和6年簡易生命表によるもので、近年の長寿傾向が継続していることを明確に示しています。企業の人事や採用担当者にとって、こうした平均寿命の推移は、単に社会背景の一部として受け止めるのではなく、今後の雇用方針や人材マネジメントの在り方を見直す上で欠かせない視点です。
長寿化の進行により、働く人々の人生設計も変化しています。定年を迎えた後も働き続ける意思を持つ人が増え、企業にとっては60歳以降の人材をどのように活用するかが重要な課題となっています。今回の簡易生命表によると、65歳時点での平均余命は男性で19.47年、女性では24.38年です。これは定年後にも約20年、あるいはそれ以上の人生が続くということであり、雇用される側にとっても企業にとっても、退職後の期間を見据えた働き方の設計が求められることになります。
たとえば、60歳で定年を迎えた男性は、平均的にその後23.63年の余命があるというデータがあります。つまり、60歳の時点でもなお人生の3分の1が残っている計算になります。この時間をどのように社会と関わり、企業においてどのような役割を果たしていくかは、雇用延長制度や再雇用制度、シニア人材の再活用といった仕組みの整備に直結します。特に製造業や介護業などでは、長年の経験を持つベテラン層が担う現場力が大きな価値を持つため、単純な定年制だけでは対応しきれない状況が出てくることもあります。
また、企業の健康経営の観点からも、長寿化への対応は喫緊の課題です。健康寿命と平均寿命との乖離がある限り、長く生きることと健康で働き続けることの間にはギャップが存在します。この点を踏まえれば、従業員の定期健康診断の強化や職場の衛生管理の徹底、ストレスチェック制度の活用など、より実践的な予防策を講じる必要があります。特に、平均寿命の変動に寄与した要因として、男性では心疾患、自殺、女性では心疾患、新型コロナウイルス感染症といった疾患が平均寿命を押し上げる要因になっている一方で、老衰や肺炎などが寿命を縮める要因となっています。つまり、死亡要因の変化を注視することは、人材の健康管理にも直結する実務的な視点となり得るのです。
さらに、企業の人事制度にも変化が求められます。30歳時点での平均余命は男性51.71年、女性57.67年です。これは、30代で働き盛りの社員にとっても、定年までの道のりの先にさらに数十年におよぶ人生があることを意味します。この長期的視点に立てば、単なる役職定年や年功序列制度の継続では、多様なキャリアビジョンを描くことが難しくなってきます。職務給制度やジョブ型雇用制度、さらにはキャリアコンサルティングの導入など、多様な人材の成長と定着を促すための取り組みがより一層必要になるでしょう。
また、女性の平均寿命が男性より6.03年長いというデータも見逃せません。この男女差は少しずつ縮小傾向にあるものの、依然として大きな開きがあります。結果として、女性労働者のキャリアパスやライフプランを企業がどう支えるかが、長期的な雇用関係の維持にとって重要になります。育児・介護といったライフイベントに対する柔軟な対応はもとより、女性管理職の育成や定年後の再就職支援など、人生100年時代に対応する施策が不可欠です。
これらのデータに基づき、企業が検討すべきポイントは数多くあります。たとえば、福利厚生制度の設計においても、若年層から高年齢層まで多様なライフステージに対応した柔軟な制度設計が必要になります。住宅手当や育児支援、教育資金の補助に加えて、介護休業や再雇用者向けの健康支援、ライフキャリア支援などを通じて、従業員が安心して長く働き続けられる環境を提供することが企業の魅力となる時代です。
そして、採用活動においても、こうした社会の変化を背景に、求職者が企業に何を求めているのかを丁寧に把握する姿勢が求められます。長く働ける環境や、将来設計を見据えたキャリア支援が整っている企業は、求職者にとって魅力的に映ります。これからの採用広報では、目先の待遇だけでなく、人生設計に寄り添う企業の姿勢を言語化し、訴求していくことが不可欠となるでしょう。
このように、2024年の平均寿命に関する最新の統計は、企業にとって単なる数値ではなく、現実的な人材マネジメントと採用活動のあり方を見直す機会となります。時代の流れに沿って、制度や施策を柔軟に進化させていくことが、結果として企業の持続的な発展と従業員の安心につながるのです。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ