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2025年9月3日

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2024年(令和6年)北海道で申告件数が1,690件に増加、賃金不払が68.6%を占めた

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令和6年の申告事案を公表します(北海道労働局)


この記事の概要

北海道労働局は令和6年における労働者からの申告事案の取りまとめ結果を公表し、申告件数が1,690件と新型コロナ以前の水準に戻りつつあることが明らかになりました。最も多かった申告内容は賃金不払で、全体の約7割を占めました。業種別では接客娯楽業が最多で、監督署は是正指導を強化しています。


厚生労働省北海道労働局は、2024年(令和6年)における労働基準関係法令違反の申告事案について、その実態を明らかにしました。今回の発表によれば、北海道内の労働基準監督署および支署に寄せられた申告件数は合計1,690件で、これは前年と比較して101件、率にして6.4%の増加となりました。この増加は、2019年(令和元年)に記録された1,640件というコロナ前の水準にまで戻ったことを示しており、社会活動の回復とともに、労働者の権利意識が再び活発になっていることがうかがえます。

申告内容について詳しく見ると、最も多かったのは「賃金不払」に関するもので、1,160件を数えました。これは全体の68.6%に相当し、依然として給与支払に関するトラブルが多くの職場で発生している実情を浮き彫りにしています。次いで「解雇」に関する申告が178件、最低賃金違反が56件、労働時間に関する問題が41件となっており、これら上位4項目だけで全体の申告の大部分を占めています。特に最低賃金に関する申告は、前年から75%も増加しており、物価上昇や生活防衛の影響を背景に、労働者が最低賃金の確保をより強く求めていることが考えられます。

業種別に見ると、最も多く申告があったのは「接客娯楽業」で278件、次いで「保健衛生業」が267件、「建設業」が261件、「商業」が260件という順でした。これらの業種は人手不足や業務の多忙さが顕著であり、労働条件の管理が不十分になりやすいという構造的な課題を抱えていることが、今回の数字からも明確になっています。また、「製造業」は前年比で27件増加し、合計112件と大きく伸びており、特に中小企業を中心に法令順守の徹底が求められます。

具体的な申告事例も明らかにされており、たとえば有期雇用契約の更新時に労働条件通知書を交付していなかった社会福祉施設や、社用車の事故費用を労働者に無断で給与から差し引いた運送業者、終業後の残務処理に対する賃金が未払いだった小売業のケースなどがありました。また、旅館業では固定残業代を超える時間外労働に対する追加の割増賃金が支払われていなかったという事例も報告されています。さらに、自動車整備業では30日前の解雇予告が行われていなかったり、美容業では最低賃金を下回る報酬が支払われていた事例、さらにはクリーニング業で定期健康診断が未実施であった例も確認されています。

これらの事例はいずれも、労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法といった法令に違反する行為であり、北海道労働局は是正勧告を実施。企業側も指導を受けて是正対応を進めたとのことです。中でも注目すべきは、企業が違反に気付かずに行っていたケースが多く、法令に対する理解不足や管理体制の甘さが背景にあると考えられます。労働者との契約や給与支払いに関するルールを十分に把握していないことが、違反の温床となっている実態が浮き彫りになった形です。

北海道労働局は、今後も労働者からの申告に対して丁寧かつ迅速に対応し、違反が確認された場合には厳正な監督指導を継続する方針です。また、悪質な違反事業者に対しては送検手続きも含めた法的措置を講じることで、法令順守の徹底を図っていくとしています。企業にとっては、単に是正の対象となることを避けるのではなく、働く人々の安全と安心を守る責任を果たすという観点から、日々の労務管理を見直すことが重要です。企業の信頼性を高め、持続可能な組織運営を目指すためには、法令に基づいた健全な職場環境づくりが欠かせません。

この記事の要点

  • 申告処理件数は前年より6.4%増の1,690件でコロナ前水準に回復
  • 申告内容では賃金不払が最多で全体の約69%を占めた
  • 最低賃金違反は前年比で75%増加と大幅に増えた
  • 接客娯楽業での申告件数が最も多く278件に上った
  • 製造業では前年比で31.8%増の112件と急増
  • 具体的な違反事例には賃金未払い、解雇予告手当不払、健康診断未実施などがある
  • 北海道労働局は今後も迅速かつ厳正な監督指導を継続する方針

⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ

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