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2025年6月19日

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2025年4月徳島県の有効求人倍率1.16倍から読み解く企業が今取るべき採用戦略とは

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徳島市で1.30倍を記録した2025年4月の有効求人倍率から都市部採用の優位性を読み解

令和7年4月、徳島県における有効求人倍率は1.16倍と、前月と同水準を維持しました。全国平均の1.26倍と比較するとやや低い水準にありますが、徳島県の雇用情勢は全体として安定を見せており、求人は求職を上回る状態が続いています。特に正社員に限定した場合の有効求人倍率は1.00倍で、前年同月比で0.04ポイント上昇しており、企業による正規雇用への意欲も一定の高まりを見せています。

こうした中で、企業の採用担当者が注視すべきは、ただ単に倍率の数値だけでなく、その背景にある産業別・職種別の動向や求職者層の変化にあります。例えば、医療・福祉分野では、依然として高い求人倍率が続いており、特に看護師や介護職の人材確保は深刻な課題となっています。医師、歯科医師、薬剤師といった専門職については、有効求人倍率が6.50倍という極めて高い水準に達しており、採用は競争の激しい状況が続いています。これに対し、事務職に関しては0.52倍と、求職者数が大きく上回っており、人材確保に困難が少ないことがわかります。

こうした職種別の需給バランスを正確に把握することは、採用戦略の立案に直結します。たとえば、倍率の高い専門職を募集する企業では、従来の採用手法では優秀な人材を確保することが難しくなってきています。このような職種では、求人票に記載する待遇や業務内容の透明性を高めるとともに、柔軟な勤務体系の導入や、教育訓練体制の整備を通じて応募意欲を喚起する必要があります。また、応募者との初期接点となる求人票自体をより魅力的に設計することも求められます。特に、ワークライフバランスや職場環境の良さを訴求する情報を掲載することで、他社との差別化を図ることが可能です。

一方で、有効求人倍率が1倍を下回る職種については、採用のチャンスと捉えるべきです。事務職や清掃職などでは、求職者数の方が求人を上回っており、比較的短期間で人材を確保できる可能性があります。ただし、このような職種においても、ミスマッチを防ぐためには、求職者が求めている雇用条件を丁寧に分析し、条件面でのすり合わせを行うことが欠かせません。求人情報の出し方一つで、採用の成否が左右されるため、経験や志向に応じた職務内容の明確化が重要です。

また、新規求人倍率についても注目すべきポイントがあります。徳島県では4月時点で2.18倍と前月から0.09ポイント上昇しており、企業側の採用意欲が増していることがうかがえます。これは、将来的な人手不足への備えとして、早期に優秀な人材を確保しようとする動きが活発化していることを示しています。特に建設業や福祉分野では、新規求人の増加が顕著であり、競争がさらに激化する見通しです。このため、採用担当者は単なる求人の出稿だけでなく、選考フローや面接対応にも改善を施し、応募者にとってストレスのない採用体験を設計する必要があります。

さらに、地域別の求人倍率をみると、徳島市(1.30倍)や鳴門市(1.05倍)などの都市部に比べて、三好市(1.12倍)、阿南市(0.82倍)、美馬市(0.76倍)などの地方では採用がやや難航している様子も読み取れます。これらの地域では、地元志向の強い人材や、Uターン・Iターン希望者に向けた求人設計が効果的です。地域資源を活かした働き方や、地元での生活の魅力を伝えることで、採用力を高めることができます。

今後の課題としては、物価上昇や不透明な国際情勢など、外的要因による採用環境の変化への対応力が求められます。雇用情勢は一見安定しているように見えても、経済の先行きには不確実性が伴います。特に、求人倍率が高く推移する職種では、人手不足が業務運営に直結するため、将来的な人材の確保を視野に入れた長期的な採用戦略が必要です。

以上のように、2025年4月現在の徳島県における有効求人倍率をもとに、採用担当者が着目すべきは「倍率の意味を読み解く力」にあります。ただ数字を追うのではなく、その裏にある業種別、職種別、地域別、さらには時系列での変動を分析することで、自社にとって最適な採用方針を立てることが可能になります。人材の流動性が高まり、多様な働き方が求められる今、従来型の採用戦略から一歩踏み出した、柔軟かつ精緻な対応が求められています。

⇒ 詳しくは徳島労働局のWEBサイトへ

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