労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 2025年4~6月期実質GDPが0.3%増加し企業設備投資が1.3%

2025年9月1日

労務・人事ニュース

2025年4~6月期実質GDPが0.3%増加し企業設備投資が1.3%

Sponsored by 求人ボックス

2025年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)(内閣府)


この記事の概要

2025年4~6月期の日本の実質GDPは前期比0.3%増、年率換算で1.0%の成長を示し、名目GDPは1.3%増、年率換算で5.1%となった。民間消費や企業設備投資は堅調に推移した一方で、在庫調整の影響や公的需要の停滞が成長の重荷となった。輸出は実質2.0%増と回復傾向を見せたが、輸入も0.6%増加し、純輸出の寄与は限定的であった。賃金は名目・実質ともに伸びを見せ、企業収益や家計の消費活動に前向きな影響を及ぼす兆しが見られる。


2025年4~6月期の日本経済は、緩やかながらも回復の動きを続けていることが示された。内閣府経済社会総合研究所が発表した一次速報値によると、実質GDPは前期比0.3%の増加となり、年率換算で1.0%の成長が確認された。これは2025年1~3月期の0.1%増から加速したものであり、景気が持ち直し基調にあることを示唆している。また、名目GDPは前期比1.3%増、年率で5.1%の成長となり、物価動向を含めた経済活動の総合的な拡大が読み取れる結果となった。

需要項目別に見ると、家計最終消費支出は実質で前期比0.1%の伸びにとどまり、名目でも0.1%増と控えめな水準にとどまった。依然として消費者心理には慎重さが残っているが、賃金の伸びが徐々に浸透することで、今後の消費拡大につながる可能性が高い。一方で、住宅投資は実質0.8%増と引き続き堅調さを維持しており、名目でも2.0%増となった。低金利環境や都市部での住宅需要が背景にあり、不動産市場が経済全体の下支え要因となっている。

さらに注目すべきは民間企業の設備投資で、実質1.3%の増加、名目1.8%の伸びを記録した。前期の伸び率1.0%を上回り、製造業や情報通信分野における投資の拡大が数字に反映されている。企業は人手不足や技術革新への対応を迫られており、省力化投資やデジタル化関連への支出を強めていることがうかがえる。これは将来の生産性向上を支える基盤として重要な動きであり、採用担当者にとっても人材需要の高まりを予測するための指標となる。

一方で、在庫投資の寄与度はマイナスに転じ、実質で▲0.3%となった。1~3月期には0.6%のプラス寄与であったが、在庫調整の進展が景気全体の押し下げ要因となった。企業が慎重な在庫管理に舵を切っていることは、供給網の安定化を図る一方で、短期的にはGDP成長率の抑制につながった。

公的需要については、政府最終消費支出が実質で横ばいの0.0%、名目で0.5%の増加にとどまり、公的固定資本形成は実質で▲0.5%と減少した。財政出動による景気刺激の効果は限定的であり、公共投資に依存する成長モデルが弱まりつつあることが明らかになった。採用市場においても公共事業関連の雇用増は抑制される可能性がある。

外需の動向では、輸出が実質で2.0%増加し、前期の▲0.3%から持ち直した。特にアジア向けの自動車や半導体関連の需要が押し上げ要因となった。一方で輸入は実質0.6%の増加にとどまり、前期の2.9%増から大幅に減速した。これにより純輸出はGDP成長に0.3%のプラス寄与をもたらした。名目では輸出が▲0.8%、輸入が▲4.8%といずれも減少したが、これは為替や国際市況の影響が反映された結果である。

デフレーターの動きも経済全体を把握するうえで重要である。GDPデフレーターは前年同期比で3.0%と高止まりしており、国内需要デフレーターも2.2%を記録した。物価上昇が企業収益や賃金上昇に結びついている一方で、消費者にとっては購買力の制約となり得るため、今後の物価動向は注視が必要である。特に輸出デフレーターが▲3.9%、輸入デフレーターが▲6.5%と大きく下落しており、国際取引条件の変化が企業活動に及ぼす影響は大きい。

2024年度通年では実質GDPが0.8%の成長、名目では3.7%の拡大が確認されている。通年を通じて内需が実質1.2%の寄与を示した一方で、外需は▲0.4%とマイナス寄与であった。名目においては内需が3.7%の寄与を果たし、外需は横ばいの0.0%であった。こうした構図からも、日本経済が引き続き内需主導の形で推移していることが明らかであり、採用活動においても国内消費や設備投資関連の需要を捉えることが求められる。

また、国民総所得(GNI)は実質で0.3%増、名目で0.7%増と堅調さを示した。これは海外からの所得や交易利得が加わることで、国民生活全体の豊かさを表す指標が改善していることを意味する。企業が海外展開を進めるなかで、外部環境の変動が国内所得に直結している点は、今後の経済戦略を考えるうえで無視できない。

雇用者報酬については、名目で1.0%、実質で0.8%の伸びを見せた。前年同期比では名目3.7%、実質1.3%の上昇が確認されており、賃金環境は改善傾向にある。2024年度通年でも名目4.6%、実質1.8%の伸びが見られたことから、労働市場における購買力の底上げが続いているといえる。これは企業の採用活動に直結する指標であり、労働者の待遇改善が人材確保競争をさらに激化させる可能性を示している。

以上のデータを総合すると、日本経済は緩やかな成長を続けながらも、消費の回復力不足や在庫調整、公的需要の減速といった制約要因を抱えている。他方で企業設備投資や賃金の伸び、輸出の回復といった前向きな要素もあり、経済の底堅さが維持されている。企業の採用担当者にとっては、こうした経済動向を踏まえて労働市場や人材需要の変化を敏感に捉えることが重要である。製造業やサービス業ではデジタル化や省人化への取り組みが進んでおり、成長分野への人材投入が今後の競争力を左右するだろう。

この記事の要点

  • 2025年4~6月期の実質GDPは前期比0.3%増、年率1.0%成長
  • 名目GDPは前期比1.3%増、年率5.1%成長
  • 家計消費は実質0.1%増と低調だが、設備投資は実質1.3%増
  • 在庫投資は実質▲0.3%と成長を押し下げ
  • 輸出は実質2.0%増、純輸出が0.3%のプラス寄与
  • GDPデフレーターは前年同期比3.0%、物価上昇が続く
  • 雇用者報酬は名目3.7%、実質1.3%と改善傾向

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ
それ以外はこちら