2025年7月11日
労務・人事ニュース
2025年5月の山口県における有効求人倍率1.45倍の現状と採用活動への影響
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認定こども園の保育士
最終更新: 2025年7月11日 02:03
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診療放射線技師/黒崎駅/クリニック/八幡西区/福岡県
最終更新: 2025年7月10日 17:35
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注目の在宅医療未経験者も歓迎しております/車通勤可/残業なし/即日勤務可
最終更新: 2025年7月11日 09:34
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常勤・医療業界の看護師/残業なし/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年7月11日 09:34
山口県の雇用情勢(令和7年5月分)について(山口労働局)
令和7年5月、山口県における有効求人倍率(季節調整値)は1.45倍となり、前月からわずかに0.01ポイント低下しました。この数値は、1人の求職者に対して1.45件の求人がある状態を意味し、依然として求人が求職を上回る売り手市場であることに変わりはありませんが、注意すべきは有効求職者数の増加と、有効求人数の増加のバランスです。今月は有効求職者数が19,480人で前月比2.3%増加した一方、有効求人数も28,283人で1.8%の増加にとどまっており、雇用市場は微妙な均衡を見せています。
このような雇用環境において、企業の採用担当者は単に有効求人倍率の高さに安心するのではなく、その裏にある労働市場の動きや応募者の質、求職者の動機、職種別の需給バランスなどを多角的に読み取る必要があります。山口県の各地域に目を向けると、たとえば宇部市では有効求人倍率が1.55倍と高水準を維持しており、他地域と比べて採用競争が激しい状況にあります。特に製造業や医療・福祉分野においては、専門知識を持つ人材の確保が難しくなってきています。
一方、下関市では有効求人倍率が1.12倍にとどまり、求職者数に対して求人がそれほど多くない状況にあります。このような地域では、求職者との接点をどれだけ早く、かつ効率的に持てるかが勝敗を分ける要因になります。地元ハローワークやオンライン求人サービスだけでなく、大学・専門学校との連携や地域の職業訓練機関との協力も視野に入れ、潜在的な候補者層へのアプローチを強化するべきでしょう。
また、令和7年5月における新規求職申込件数は4,397件となり、前年同月比では4.2%減少していることから、採用の母集団そのものが縮小傾向にあることも見逃せません。特に若年層の新規求職者が減少しており、企業にとっては人材の早期確保がより重要性を増しています。これに対応するためには、採用広報の早期展開、企業説明会のオンライン化、柔軟な雇用条件の提示など、求職者にとって魅力的な採用活動が求められます。
さらに注目すべきは産業別の求人動向です。建設業(1,284人)や医療・福祉(2,405人)、運輸・郵便業(881人)などは依然として新規求人が活発である一方で、宿泊業・飲食サービス業では前年同月比で約20.9%の減少(▲120人)と厳しい状況にあります。これは人手不足や人件費高騰、働き方改革の影響を受けやすい業界の特性が反映されていると考えられます。こうした産業では、給与水準だけでなく、勤務シフトの柔軟性や福利厚生の充実、職場環境の可視化など、求職者にとっての「働きやすさ」を訴求する施策が不可欠です。
また、パートタイムや短時間勤務希望者の割合も増えており、正社員登用前提の求人戦略だけでは限界が見えてきます。たとえば柳井市ではパートタイムを含む求人が大半を占めており、働き方に対する多様なニーズにどう応えるかが、採用の成否を分ける要素となっています。企業側がこれに応じた柔軟な雇用形態を提示できるかどうかが、結果的に人材確保の可能性を左右するのです。
人材を「選ぶ」立場にあった企業は、これからの時代、むしろ「選ばれる」立場に立つ覚悟が必要です。採用活動は単なる募集ではなく、企業の魅力を伝える広報活動であり、求職者との信頼関係を築く初めの一歩です。採用担当者は求人票に書かれた情報だけでなく、面談時のコミュニケーション、社内の雰囲気、キャリアパスの提示など、総合的な「企業価値」の訴求に注力すべきです。
加えて、令和7年5月の山口県における就職件数は1,393件で前月比3.6%減少しており、実際に採用につながるケースが減っている現実も明らかになっています。求人票の出稿数だけで安心することなく、実際に採用につながっているのか、応募から採用までの導線は適切か、候補者のニーズに対応できているかなど、採用活動の質を定期的に検証する体制を整えることが求められます。
今後も有効求人倍率は一時的に上下することがあるものの、長期的には人口減少に伴い、労働力不足は構造的に続くと見込まれます。だからこそ、採用活動は短期的な充足だけを目的とせず、中長期的な視点で人材育成・定着に繋がる施策を講じる必要があります。入社後のフォローアップ体制、キャリア形成支援、社内コミュニケーションの促進など、人を育て、活かす仕組みづくりが競争優位の鍵となるのです。
山口県の2025年5月時点の雇用統計から見えることは、求人倍率という一つの指標に一喜一憂するのではなく、それをきっかけにより深く労働市場を理解し、自社の採用・人材戦略をどうあるべきか再定義する機会にすべきということです。今後の採用は、数字の裏にある「人」の動きを読み解く力が問われる時代に突入しています。
⇒ 詳しくは山口労働局のWEBサイトへ