2025年5月30日
労務・人事ニュース
2025年5月の業況DIはマイナス18.0、大型連休も消費回復に至らず景況感は横ばい
- 「時短勤務可」/准看護師・正看護師/介護施設/駅から近くて通いやすい
最終更新: 2025年6月12日 22:31
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最終更新: 2025年6月12日 22:32
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最終更新: 2025年6月12日 22:32
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最終更新: 2025年6月12日 22:31
2025年5月 業況DIは、大型連休中の消費が振るわず、ほぼ横ばい。先行きは、米国関税措置への懸念拭えず慎重な見方(LOBO調査)
2025年5月に実施された全国商工会議所の早期景気観測(LOBO調査)では、中小企業を中心とした全産業の業況感が依然として厳しい状態にあることが明らかになりました。業況DI(景況判断指数)はマイナス18.0と、前月よりわずかに0.5ポイント改善したものの、好転とまでは言い難い状況です。特にゴールデンウィーク中の消費が振るわず、景気回復の足取りは重いままです。
業種別に見ると、建設業は設備投資の持ち直しにより改善傾向を示しましたが、小売業は長期的な消費低迷に加えて円高の進行で訪日外国人観光客の消費意欲にも落ち着きが見られ、業況が悪化しました。製造業やサービス業など、その他の業種においても明確な回復の兆しは見えず、物価高騰やコメの価格上昇、そして人手不足などが足かせとなっています。
加えて、今月の調査では米国の関税措置に関する影響も詳細に分析されました。調査に回答した企業のうち、「現時点で影響がある」としたのは4.4%、「今後、影響が及ぶことが見込まれる」との回答は38.1%にのぼり、合わせて42.5%もの企業が米国の関税政策に対して不安を感じていることがわかりました。特に製造業では影響の見込みを含めて過半数の53.7%が関税措置に何らかの影響を受けると考えています。
具体的な影響としては、「国内消費の冷え込みなどによる売上減少」が49.0%、「為替変動による仕入・原材料価格への影響」が47.4%と、直接的な影響というよりも、日本国内での間接的な影響が懸念されている状況です。実際に、飲食業や小売業ではコメなどの食料品価格が上昇しており、コスト転嫁が難しい中で採算が悪化しているとの声も多く寄せられました。
中小企業の多くは、トランプ関税を含むアメリカの政策変更により取引先の設備投資が抑制されたり、生産調整に踏み切る可能性があることから、今後の受注減を不安視しています。また、輸出依存度が高くない企業であっても、地域全体の経済活動が鈍化すれば、売上や従業員の収入減を通じて間接的なダメージを受けると懸念されています。
今後については、日米間での関税交渉の早期合意を望む声が49.2%と最も多く、次いで内需拡大政策の実施(40.1%)、適切な情報提供(26.8%)への期待が高まっています。企業現場からは、国内雇用を維持・拡大するための支援制度や、原材料コスト高に対する価格転嫁の余地を広げる政策への要望も寄せられており、政府への期待は高まる一方です。
こうした状況の中で、企業の採用や人材戦略にも影響が出始めています。人手不足感は継続しており、従業員DI(人手不足を示す指標)は全産業で20.5と高止まりしています。特に建設業では34.9、小売業でも15.9と、現場では慢性的な人手不足に悩まされており、人材の確保と定着が企業の重要課題となっています。
物価上昇に賃金の伸びが追いついていないという指摘も多く、採用担当者にとっては、待遇面の改善とともに働きがいのある職場づくりや業務の効率化、スキルアップの支援といった施策がますます重要になっています。特に若年層や中途人材に対して、こうした視点を持った採用戦略をとることで、企業としての競争力を維持することが求められています。
今後の景況感は慎重な見通しが続いており、全体の先行き見通しDIはマイナス17.4と、引き続き厳しい数値です。為替の円高や原油価格の下落といった一部の好材料があるものの、物価上昇や関税措置への不透明感が企業のマインドを冷やしていることに変わりはありません。
このような不安定な経済環境下においては、経営陣と人事部門が一体となって柔軟な対応を進め、外部環境の変化に耐えうる組織体制を構築することが今後の鍵となります。
⇒ 詳しくはLOBO調査のWEBサイトへ