2025年8月19日
労務・人事ニュース
2025年6月岩手県で求人倍率1.19倍、経営戦略と連動した採用の重要性を考える
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岩手県内の一般職業紹介状況(令和7年6月分)について(岩手労働局)
この記事の概要
2025年6月の岩手県における有効求人倍率は1.19倍で、前月と同水準を維持しました。新規求人倍率は3か月ぶりに上昇し1.88倍に達しています。求人数の増加と求職者数の微増という動向を踏まえ、企業の採用担当者は環境変化に応じた戦略の見直しが求められています。
2025年6月、岩手県内の有効求人倍率は1.19倍となり、前月から変化はありませんでした。この数値は、求職者1人に対して約1.2件の求人が存在することを意味しており、全国平均の1.22倍および東北平均の1.21倍と比較してもほぼ同等の水準にあります。求人数は25,112人、求職者数は21,120人で、前月と比較するとそれぞれ0.3%増、0.5%増とわずかに上昇しました。これにより、雇用市場はやや活性化している兆しを見せているものの、その動きは慎重なものにとどまっています。
この状況を採用担当者の視点から見ると、明らかに求職者にとって選択肢が広がってきているという現実があります。つまり、企業側としては、ただ求人を出すだけでは人材を確保できない時代に入ってきており、より深い分析と戦略的思考が求められる局面にあるということです。例えば、同業他社との比較において、自社の募集条件や企業文化がどのような位置づけにあるのか、また実際の働きやすさや職場環境をどう可視化し、訴求していくのかという点がますます重要になっています。
さらに注目すべきは新規求人倍率です。2025年6月の新規求人倍率は1.88倍で、前月比0.07ポイントの上昇となりました。これは3か月ぶりの改善であり、新規求人数が9,086人、新規求職者数が4,840人であったことから導かれた結果です。新規求人数の増加は、企業が採用に再び積極姿勢を示し始めている兆候であり、経済活動の再活性化とともに雇用ニーズが高まっていることを示しています。反面、求職者数の増加は限定的であるため、今後も優秀な人材を確保するには競争が激しくなる可能性が高いと言えます。
業種ごとに見ると、求人の動向には差異があり、地域産業の構造によって採用の難易度は変動します。岩手県の場合、製造業や建設業、医療福祉業などが主要産業となっており、これらの業種では慢性的な人材不足が続いています。特に医療や介護の分野では、単に人を集めるのではなく、離職率の低下や長期的な定着を視野に入れた人材育成の仕組みづくりが喫緊の課題となっています。
このような背景を踏まえると、採用担当者は求人票の作成から面接、採用後のフォローアップまで、すべてのプロセスを再点検する必要があります。求人票に記載する情報の正確性や具体性、魅力的な表現、写真や動画を使ったPRの工夫、さらに自社ホームページやSNSを活用した情報発信など、多角的な施策を講じて求職者との接点を強化すべきです。とりわけ若年層に対しては、柔軟な勤務体制やキャリアパスの明確化、働きがいを感じられる環境の整備が、応募の動機に直結する要素として機能します。
また、岩手県内においても地域差は顕著であり、都市部と中山間地域、沿岸部と内陸部では求人倍率や労働力需給の状況に違いが見られます。そのため、採用エリアを限定せず、地域全体を見渡した採用計画を立てることが肝要です。場合によっては通勤手段の提供や移住支援、社宅の整備などを通じて、遠方からの応募者を迎え入れる体制を整えることも選択肢として検討すべきです。
加えて、近年ではオンライン応募やWEB面接の導入が一般化しており、採用活動のデジタル化は避けて通れない課題となっています。ハローワークインターネットサービスをはじめ、各種求人媒体がオンライン化する中で、自社の採用窓口も時代に即した形へと進化させることが求められています。これにより、採用のスピードと効率性が向上するだけでなく、より広範な人材プールから候補者を募ることが可能になります。
最後に、現在のような「雇用の持ち直しに弱さが見られる」状況下では、採用計画は長期的かつ柔軟に設計することが不可欠です。短期的な人員確保ではなく、将来的な組織成長を見据えた戦略的人事が鍵を握る今、採用担当者は経営方針との連動を意識し、人材を「資産」として捉える姿勢が求められています。数値の裏にある市場の実態を読み解き、それを具体的な施策へと落とし込む能力こそが、これからの採用成功を左右するのです。
この記事の要点
- 2025年6月岩手県の有効求人倍率は1.19倍で前月と同水準
- 新規求人倍率は1.88倍で3か月ぶりの上昇を記録
- 求人数と求職者数はいずれも微増し、雇用市場は慎重な回復傾向
- 地域差を踏まえた柔軟な採用戦略が必要
- 求人票の質と情報発信力が採用成功の鍵
- WEB面接やオンライン応募対応の強化が求められる
- 採用計画は長期的かつ経営戦略と連動させることが重要
⇒ 詳しくは岩手労働局のWEBサイトへ